二輪車の国内新車「出荷台数」の足取りが重い。9月の出荷台数(自工会=日本自動車工業会調べ)は、全排気量クラスの合計が前月の8月は若干前年月を超えたものの、再び前年同月を割った。しかし、クラス別では251㏄以上の小型二輪車は比較的に安定して増加しており、1月からの累計台数も前年同期超えが続いている。
出荷台数は、メーカーの生産工場から出荷した台数で、50㏄以下の原付車から251㏄以上の小型二輪車まで、全クラスを通して一つの指標で流通台数が把握できる唯一のデータとして、バイク業界の関係者らが注目する重要な指標の一つとなっている。
9月の排気量クラス全体の合計では、前年同月に比べ7.2%減少の3万2300台であった。7月までは4カ月連続で前年同月を割り8月には5カ月ぶりにプラスに転じものの、9月で再び前年月を割った。1~9月の累計台数では4カ月連続で前年同期を割り5.8%減少となる27万0864台となった。
排気量クラス別では、50㏄以下の「原付一種」は前年同月に比べ15.5%減少に転じ、1万1058台であった。前月の8月の1万1603台に比べて4.7%減少した。原付一種の今年9月までの累計台数では、前年同期に比べ7.0%増加を維持しており9万8695台となる。
51~125㏄の「原付二種」は前月の8月までが前年月比8カ月連続の減少であったが、9月は前年同月に比べ2.8%増加して8881台であった。前月の8月と比較しても36.5%増え大きく増加した。しかし、9月までの累計台数では、1月から9カ月連続のマイナスが続き前年同期比29.7%減少の7万0946台にとどまった。
126~250㏄クラスの「軽二輪車」の9月は前年同月に比べ50.1%の大幅減少となり3839台であった。軽二輪車は3カ月連続の前年月割れとなる。前月の8月の5516台に比べても30.4%減少となる。9月までの累計台数では、前年同期に比べ8.4%減少となる4万6683台にとどまる。軽二輪車は毎月の台数が安定せずに落ち込み幅も比較的に大きい。
拡大を続ける251㏄以上の「小型二輪車」は、前年同月に比べ57.9%増加となり8522台であった。小型二輪車は前月の8月に6094台で9月では8月比39.8%と大きく伸ばした。9月までの累計台数では、前年同期比25.9%増加で台数が伸びた。
9月も8月に続き出荷台数は累計台数にみると原付一種と小型二輪車は比較的に安定した台数で推移しているが、原付二種と軽二輪車は台数が毎月のように不安定な状況で推移。特に生産遅延が続くのに加え、11月からの排ガス規制により生産を中止モデルや11月以降の排気ガス規制適合車の生産など過渡期とあって、出荷に影響していることが挙げられる。
同時に、排ガス規制までの10月までは既存モデルをフル稼働で生産しているものと推測され、こうした車両の生産在庫をある程度調整して出荷されることも予想され、今年中は台数で増減の激しさや、または減少も推測できる。こうした状況からメーカー系の専売店に出荷が優勢され、メーカー専売店以外の販売店は車両の入荷で厳しい状況が続きそうだ。
一方で、今年の「年間出荷台数」も視野に入ってきた。残る10月以降の3カ月間で先の排気ガス適合車との過渡期のため、それまで生産された車両は調整され出荷される予想から前年月よりも減少するものと推測できる。これにより今年2022年の年間出荷台数は昨年の37万8720台を割り、36万台強にとどまるものと予想される。