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雑誌の印刷紙が高騰  出版社に追い打ち  進まぬネット移行での収益

雑誌の印刷紙が高騰  出版社に追い打ち  進まぬネット移行での収益

2023.02.18

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雑誌の印刷紙が高騰  出版社に追い打ち  進まぬネット移行での収益

今年1月、帝国データバンクはバイク雑誌「タンデムスタイル」「カスタムピープル」「Lady’s Bike」などを出版してきた(株)クレタパブリッシングと、関係会社の(株)クレタが1月13日付で自己破産申請の準備に入ったとした。インターネットの普及に加え、昨今では紙の値段が高騰していることで、雑誌出版社は厳しい経営環境にある模様。

 

 

2021年2月にエイ出版社が民事再生法の適用を申請し、今年はクレタが事業の継続を絶った。総務省が公表する「日本の統計」によると、趣味の雑誌出版点数は、2018年は565点であったが、2019年が550点、2020年では539(うち月刊177)点となり、減少している。

 

 

日本の人口減少に伴い、兼ねてからのインターネットの普及によりネット上で様々な情報が得られるようになり、ユーザーの多種多彩な嗜好の分散などで、雑誌販売部数や広告収入の落ち込みを余儀なくされている。

 

 

さらに2021年から広まった新型コロナの影響で、まん延防止策として緊急事態宣言が発令され、外出禁止が発令されたことで、多くのユーザーが自宅での待機や外出自粛を余儀なくされ、家庭では一層インターネットでの利用が拡大し、ユーザーは無意識に日常的に一層インターネット利用が定着した。

 

 

他方で、出版にかかわる紙の出荷価格が再三にわたり高騰していることも出版各社のコスト増加に追い打ちをかけている。昨年、日本製紙は印刷用紙と情報用紙の価格を、今年2月の出荷分から引き上げると発表している。上げ幅は15~25%。原燃料価格の高騰や急速な円安を背景とした製造コストの上昇を理由に挙げている。

 

 

同社は22年1月出荷分から、22年6月には8月の出荷分からそれぞれ15%以上も値上げを表明しており、今回は21年秋以降で3回目の値上げとなる。1~3回目の値上げ幅の合計は45~55%になる。王子製紙や北越コーポレーションも3回目の値上げを表明している。

 

 

バイク関連情報誌の出版社では従来からの紙の情報誌の発行に加え、インターネットでの情報サイトへのシフトを進めているが、ウェブサイトでの講読や広告での収入をなかなか見いだせず、事業運営において紙の情報誌からウェブサイトに絞った移行に踏み切れないことも挙げられる。

 

 

雑誌発行における印刷紙の価格高騰は、バイク関連情報誌などの出版、発行において出版各社では一層厳しい環境、経営に立たされているといえそうだ。

 

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