
米ハーレーダビッドソン社(HD)は8月4日、今年10月1日付けでアーティ・スターズ氏が社長兼最高経営責任者(CEO)に就くと発表した。スターズ氏はTopgolf International,Inc.の子会社でCEOを務めてきた。
「アーティは、強力なブランドとグローバル事業の運営において豊富な経験を持つ、優れたビジネスリーダーです」と、プレジデント・ディレクターのトロイ・アルステッド氏が述べている。「売上高と利益の成長を実現してきた実績と、フランチャイズ主導の業界での経験は、HDの歴史におけるこの時期において、大きな資産となります。アーティは、HDが文化とライダーの生活の中で占める特別な位置を理解しています。アーティが既存のライダーとの絆をさらに深め、同時に新しい人々をハーレーダビッドソンコミュニティに引き込んでくれると確信しています」とも語る。
スターズ氏はTopgolfのCEOとして、ブランド全体のビジョンと成長を実現し、世界有数のスポーツエンターテインメント企業としての地位確立。3万人以上の従業員を擁する100以上の世界規模のレクリエーション施設を統括し、成長と財務実績の牽引役として確固たる実績を築きてきたとしている。この間の収益は2021年の11億ドルから年間18億ドルへと50%以上増加し、ブランドはヨーロッパとアジアの5カ国に拡大したという。
スターズ氏はワッサースタイン・ペレラで投資銀行家としてキャリアをスタート。ピザハット米国社長を務めヤム・ブランズ入社前はレイブ・シネマズの最高財務責任者(CFO)を務めていた。2013年から2021年にヤム・ブランズの子会社であるピザハットで指導的役割を担い、直近ではグローバルCEOを務めた。ピザハットでは同ブランドを110カ国1万8000店以上の店舗に展開。
スターズ氏は「HDの社長兼CEOに就任できることは大変光栄であり、この素晴らしい企業を率いる機会を得られたことに深く感謝いたします。私は長年、HDがライダーやファンの心の中で築き上げている独自の地位を高く評価してきました。HDほどコミュニティと反骨精神に満ちたブランドは他にありません。成長を促進し、すべてのHD体験をさらに向上させる大きな可能性に胸を躍らせています。献身的なHDの従業員やディーラーネットワークと共に、この道のりを共に歩んでいくことを楽しみにしています」と述べている。
これまでCEOを務めたヨッヘン・ツァイツ氏は、今年10月1日まで会長兼社長兼CEOとして留任し、その後は2026年2月までシニアアドバイザーに就き引き継ぎなどを行う。
プレジデント・ディレクターのアルステッド氏が述べる様に、スターズ氏はフランチャイズ主導の業界での経験は、HDのこの時期において、大きな資産となるとしており、オートバイ流通新聞でもこの点に着目する。フランチャイズ主導をHDに置き換えると、資本が異なるディーラーに値する。ディーラーをいかに展開していくかの課題の段階であったともいえる。これまでツァイツ氏は主にHD社本体の組織改革や製品構成を中心に取り組んできたとみられ、次の段階の販売体制であるディーラー段階での改革に進むものと推測する。