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米ハーレーダビッドソン 新戦略「Back to the Bricks」発表  収益回復と販売拡大へ 27年EBITDAは542億円超へ

米ハーレーダビッドソン 新戦略「Back to the Bricks」発表  収益回復と販売拡大へ 27年EBITDAは542億円超へ

2026.05.09

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米ハーレーダビッドソン 新戦略「Back to the Bricks」発表  収益回復と販売拡大へ 27年EBITDAは542億円超へ

米ハーレーダビッドソンは5月5日、業績回復と収益性向上を目指す新たな中期戦略「Back to the Bricks」を発表した。ブランド力とディーラーネットワークを軸に販売台数の回復を図り、2027年にはハーレーダビッドソン・モーター・カンパニー(HDMC)の利払い・税引き・償却前利益であるEBITDAを3億5000万ドル(約542億5000万円)以上へ引き上げる方針を示した。一方、同日には2026年第1四半期の業績も発表。世界販売8%増加としたが、利益は減少。関税や販促費が収益を圧迫した。

 

新戦略は5つの柱で構成される。第一に、ブランド力や多角的な収益源、強力なディーラーネットワークといった、同社が長年培ってきた競争優位性を改めて成長の基盤として位置付けた。

 

第二に、独占ディーラーネットワークの強化を打ち出した。ハーレーダビッドソンはディーラーを「最大の競争優位性」と位置付けており、ディーラー収益性を2026年までに倍増し、さらに2029年までに再度倍増させる施策を進めるとしている。

 

第三に、新車だけでなく中古車、パーツ&アクセサリー、アパレル&ライセンス事業など既存市場でのシェア回復を推進する。ブランドの信頼性や顧客との結び付きを活用し、販売量拡大を目指す。

 

第四に、コスト削減や組織再編を通じ、フリーキャッシュフローとEBITDAマージンの改善を図る。すでに進めている構造改革が、中長期的な収益力強化につながるとみている。

 

第五に、経営体制の刷新を進める。外部視点と社内知見を融合したリーダー人材を配置し、ブランド本来の強みを最大限に引き出す考えだ。

 

財務面では、中期目標としてHDMCの小売販売成長率を中程度の1桁成長と設定。粗利益率は25〜30%、運営費率は売上高の20%未満、EBITDAマージンは10〜12%を掲げた。また、パーツ&アクセサリーおよびアパレル・ライセンス事業についても、年平均成長率(CAGR)が中一桁台の成長を目指す。

 

世界的に二輪市場の競争が激化する中、ハーレーダビッドソンは“原点回帰”ともいえる戦略でブランド価値を再強化し、収益性改善と販売拡大の両立を図る構え。特にディーラー収益改善を前面に押し出した点は、販売網重視の姿勢を鮮明にしたものとして注目される。

 

同社のアーティ・スターズ社長兼CEOは、「123年以上にわたりモーターサイクル業界を牽引してきたハーレーダビッドソンは、世界で最も象徴的なブランドの一つであり続けている」と強調。そのうえで、「Back to the Bricks」は同社の競争優位性をさらに強化し、ライダーの情熱を原動力に、ディーラーや株主を含めた持続的な成長を実現する戦略であると説明している。

 

 

第1四半期、北米販売好調に

一方、2026年第1四半期決算では、北米市場での販売回復を背景に世界小売販売台数は前年同期比8%増となったものの、関税負担や販売促進費増加などが影響し、営業利益は大幅減益となった。

 

第1四半期の世界小売販売台数は3万3507台で前年同期比8%増。北米では2万3803台となり14%増加した。特に米国市場ではツーリングモデルと新型26年モデルへの反応が好調だった。一方、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は3%減、アジア太平洋地域は9%減となり、海外市場は苦戦した。ラテンアメリカはブラジルとメキシコ市場の伸長で21%増となった。

 

世界のディーラー新車在庫は前年同期比22%減少。卸売と実需のバランスを重視した供給調整が進んだ形だ。

 

収益面では厳しさが目立った。連結売上高は11億7300万ドル(約1818億1500万円)で前年同期比12%減。営業利益は2300万ドル(約35億6500万円)と85%減少し、純利益は2500万ドル(約38億7500万円)で81%減であった。

 

HDMC単体では売上高が10億5500万ドル(約1635億2500万円)で2%減少。営業利益は1900万ドル(約29億4500万円)となり84%減少した。営業利益率も1.8%まで低下した。

 

利益圧迫の要因として同社は、新規関税や販促施策強化、不利な商品構成などを挙げた。加えて、戦略変更に伴うリストラ費用として1500万ドル(約23億2500万円)を計上した。一方で、EUにおける関税還付や為替効果が一部下支えした。

 

車両の売上高は、8億3600万ドル(約1295億8000万円)で3%減であった。パーツ&アクセサリーの売上高が1億4200万ドル(約220億1000万円)で1%減、アパレル売上高は5700万ドル(約88億3500万円)で前年並みを維持した。ライセンス事業は600万ドル(約9億3000万円)で98%増と大きく伸長した。

 

金融事業HDFSは、ローン資産売却の影響で売上高が1億1200万ドル(約173億6000万円)と54%減少。営業利益も2200万ドル(約34億1000万円)で65%減となった。四半期末の金融債権残高は24億ドル(約3720億円)で、前年同期比67%減少した。

 

電動ブランド「LiveWire」は売上高が500万ドル(約7億7500万円)で87%増加。営業損失は1800万ドル(約27億9000万円)と改善した。電動バイクとSTACYC電動自転車の販売増加が寄与した。

 

同社は2026年度通期見通しも維持。世界小売販売台数を13万〜13万5000台と予想し、設備投資は1億7500万〜2億ドル(約271億2500万〜310億円)を計画している。

 

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