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人材獲得に従業員の「知人」紹介  ヤマハ発動機   「リファラル制度」で2800件超

人材獲得に従業員の「知人」紹介  ヤマハ発動機   「リファラル制度」で2800件超

2025.02.07

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人材獲得に従業員の「知人」紹介  ヤマハ発動機   「リファラル制度」で2800件超

人手不足や人材確保が注目をされる中、ヤマハ発動機は自社の従業員から友人や知人などを紹介してもらう方法「リファラル制度」を導入し、人材獲得の大きな力としている。

 

「リファラル」とは推薦や紹介という意味があり、人材市場が売り手市場となる昨今では、業界を問わず人手不足の中で注目をされる採用手法となる。同社はリファラル制度を4年前に導入し、これまでに2800件を超えたとしており、パターンは「前職同僚」「学生時代の同級生」などと紹介で、つながりは様々という。

 

同社では「新卒をベースに採用活動を進めてきましたが、事業拡大に向けて年々キャリア採用の比率が高まっています」(人事戦略部担当者)としており、「リファラル採用はキャリア採用の一つの手法ですが、信頼性の高い、かつ当社への理解が深い従業員の視点を経由していますから、ミスマッチが少ないなどのメリットも感じています」としている。当初は特定の事業部門から運用を開始し、効果的とあって現在は全社的に展開するという。

 

ただ、一方でリファラル制度では注意点を挙げる。「たとえば当社で働く派遣社員やグループ会社の方などの採用は、人材の引き抜きに該当すると考え、対象外としました。また、コネ入社などという誤解が生まれぬよう、紹介者の二親等以内の応募もできません」と制限も設けている。

 

これまで紹介があった2800件以上の実績の中には「前職の同僚からの紹介」「学生時代の同級生からの紹介」など、さまざまな機会があるとしており、「久しぶりに会った知人・友人から転職の相談を受けたタイミングで、社員が求人情報を即座に提供できることなども」とリファラル採用の強みを上げており、求める人材との出会いに、今後も大きな力として期待を寄せている。

 

リファラル採用を導入での主なメリットとしては「自社に合う人材採用」「採用活動のコストやプロセスの削減」「転職潜在者の採用に優位」「即戦力」「従業員の士気向上」などが挙げられる。

 

自社に合う人材を採用では、従業員からの紹介のため、企業が求めるスキルや人物像、人柄などで企業と合った人材を採用できる可能性が高い。紹介された側も仕事内容や社内の雰囲気などの情報を得られやすく、入社前後のギャップが少ないことでミスマッチが減らせる。

 

採用活動にかかるコストやプロセスの削減としても、リファラル制度では求人広告や転職エージェントも使用しないため、採用コストを大幅に削減できる。転職エージェントで採用では成功報酬が発生し、採用者年収の約30%の手数料がかかる。

 

転職潜在者の採用に優位な利点としては、転職活動を行っていない層にもアプローチが可能で、知人や友人からの紹介ならと考えて転職意識を高められる。また、公の転職市場にないこない人材と出会うことができる。

 

さらに、即戦力につながる場合が高く、従業員と同様な属性を持つ人材や、似たような経験などを持つ人材にアプローチできる可能性が高い。紹介者である従業員と候補者が同じような職歴・経歴を経ていることが多いことも挙げられる。

 

従業員の士気向上にもつなげられる。リファラル採用では候補者と紹介者が知り合いであることで、採用活動や入社後の印象について率直な意見も引き出しやすく、入社後の研修や採用活動のプロセスについて改善が容易となり、一層の職場づくりにつなげられる。また、企業理念や方針などで求める人物像を共有することができるため、従業員のエンゲージメント向上も期待できるなどとされる。

 

紹介される側としても、友人などの紹介のため信頼できる職場、入社後のフォローなども期待でき、早期離職を防ぐことにもつながる。

 

だた、メリットだけではなくデメリットもないわけではない。紹介者の従業員の負担、採用から入社までに時間が必要、情報の可視化が困難、人材配置や人間関係に対する配慮、採用する人材に偏りが生じるといった注意が必要となる。

 

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