ヤマハ発動機販売は、“Neo Retro”(ネオレトロ)カテゴリーの新製品「XSR155 ABS」を6月30日に発売する。税込価格は53万9000円。年間販売は4000台を見込む。
同モデルは、既存の「XSR125」と上位モデル「XSR700」「XSR900」の中間を埋める存在として投入される軽二輪モデル。高速道路走行が可能な155ccクラスとすることで、街乗りの中心から一歩遠くへ走りたいとするユーザー需要をねらう。
販売店にとって注目したいのは、このモデルが単なる上の排気量版ではなく「125では物足りないが、大型までは求めない」と考えるユーザー心理に応える製品であるといえる点。XSRシリーズのアイデンティティである“不変性を感じるスタイル”と“最新コンポーネント”を融合させ、さらにXSR155 ABSの開発コンセプトは“「ファッショナブル」と「乗って楽しい」の二刀流”としている。
丸型LED灯火類や丸型LCDメーター、タックロールシート、水平基調のデザインなど、ネオレトロ市場で人気の高い要素を凝縮。特に若年層やSNS感度の高いユーザーに対し、“映えるバイク”として訴求しやすい。
一方で、155ccの6速ミッション、ABS、倒立フォーク、VVA搭載エンジンなど、装備面は本格派。見た目だけでなく本格的な走行の楽しさを提供することが商品価値になっている。

販売では125からのステップアップや大型は重いと感じるリターン層、クルマ離れ世代の趣味バイク、ファッション感覚で選ぶ層など、複数のターゲットへ提案しやすいモデルといえそうだ。
近年、原付二種市場ではデザイン性を重視するユーザーが増加し、ネオレトロ系モデルへの関心が高まっている。その環境の中でXSR125は、“軽くて扱いやすい”“おしゃれ”という理由で支持を集めてきた。一方、販売店現場では、ツーリングで高速道路への走行ができない、もう少し余裕が欲しいなどという声も少なくなかった。
XSR155 ABSはそうした意見を埋める存在となる。車重137kg、シート高810mmと扱いやすさを維持しながら、最高出力19PSを発揮。軽快さを失わず、高速巡航にも対応可能で、ツーリング用途まで守備範囲を広げた。
販売店としては、125では行けなかった場所へ行ける、通勤から週末ツーリングまで1台でこなせるなどといった、“ライフスタイル提案”が有効になりそうだ。さらにカスタム提案との相性も高いことが挙げられる。XSRシリーズの特徴は、“完成された純正デザイン”でありながら、カスタムベースとしても魅力が高い点にある。特に販売店では、納車時カスタム提案による客単価向上が期待できるカテゴリーといえる。
また、オフロード調トレッドパターンタイヤ採用により、“スクランブラー風カスタム”とも相性が良く、アパレル提案まで含めた世界観販売も行いやすい。

「性能」より「世界観」を売る時代へ
現在の二輪市場では、単純なスペック競争だけでは差別化が難しい。そうした市場の中で同モデルは、“所有感”“雰囲気”“乗る理由”を提供するモデルとなる。販売店側にも機能などのではなく、同モデルで「どんな時間を過ごせるかを提案する」といった接客力が求められる。
ネオレトロ市場は、単価だけでなく、アパレルやカスタム、イベント、SNS発信など周辺ビジネスへ広がりやすいカテゴリーでもある。XSR155 ABSは、単なる新型車ではなく、“バイクの楽しさを再提案できる商材”として、販売店の提案力が問われる1台といえそうだ。






