ヤマハ発動機は2月10日、2021年12月期の決算を発表し、当連結売上高は前期よりも23.2%増加の1兆8125億円、営業利益は同123.3%増加して1823億円、経常利益が同116.0%増加で1894億円。当期純利益では同193.1%増加して1556億円を上げ、過去最高の売上高、利益を達成したとした。
売上高は、半導体をはじめとした部品供給不足を受けた生産減少や人員不足などの影響を受けたものの、販売台数や販売単価の増加により、増収を確保した。営業利益は売上高の増加に加え、リモートワークなどのデジタル活用による固定費率の抑制、為替影響などで物流費や原材料費高騰の影響を吸収し大幅な増益とした。
二輪車を含むランドモビリティ事業の業績は、売上高が前期比24.6%増加し1兆1797億円、営業利益は同272.4%増加で687億円であった。主に先進国での二輪車は、アウトドア・ファミリーレジャーの活況で、販売台数もすべての地域で前年比増加し、増収・増益となった。
一方、半導体等の部品不足とコンテナ不足による物流の遅れで市場での在庫不足が続き、黒字化は未達であったが、赤字幅を大幅に縮小させた。新興国の二輪車市場はフィリピンやインドネシア、タイなどで、感染対策と経済活動の両立へ戦略転換したことにより需要が前年比増加。同社も新型コロナウイルス感染症の再拡大影響による工場・販売店稼働率の低下があったものの、プレミアムモデルの販売増加でモデルミックスの改善がすすんだ。
四輪バギー、レクリエーショナルなどのRV製品も旺盛なレジャー需要が継続。部品供給不足などによる生産遅延が影響したが、Wolverine RMAXシリーズ好調な販売で台数が増加し、黒字化を達成した。電動アシスト自転車は通園、通学、通勤における自転車の有用性が見直されており、日本向けの完成車や欧州向けe-Kitの販売好調が続いた。
他方、マリン事業はでは売上高が前期比19.1%増加し3911億円、営業利益は51.7%増加し768億円。産業ロボットなどのロボティクス事業の売上高は、同44.9%増加で1203億円、営業利益176億円。金融サービスの売上高は同5.6%増加し486億円、営業利益が同153.1%増加で191億円。ゴルフカーや汎用エンジンのその他の事業で売上高が同7.8%増加し727億円、営業利益0億円で同97.6%減少。
■次期見通し
売上高で当期比10.3%増の2兆円、営業利益は同4.2%増の1900億円、経常利益で同0.3%増の1900億円、当期純利益では同16.4%減の1300億円を見込んでいる。為替レートは米ドル113円(当期比3円の円安)、ユーロ128円(同2円の円高)前提としている。
2022年も需要が引き続き堅調と予想され、さらなる部品調達、生産・出荷を進め、市場在庫を適正な水準に引き上げる。一方で資材価格の高騰に加え、物流費も大幅に上がると予想しており、これに対しコストダウンや生産性向上、さらにプレミアム商品の販売比率を上げ、収益性改善を図る。同時に広告宣伝やイベントなどでデジタルマーケティングを推進し、経費を調整する。また、足元で続いている半導体などの部品不足が生産に与える影響には、様々な対策により年内で挽回可能と見込んでいる。