ヤマハ発動機は2022年12月期の連結会計年度の業績を発表。売上高が前年同期比で24 .1%増加の2兆2485 億円とし、営業利益は同23.3%増加2249億円、経常利益は同26.3%増加で2393億円、当期純利益では同12.1%増加して1744億円となり、過去最高の売上高と各利益を達成した。
同社が売上高2兆円、営業利益および経常利益で2000億円を超えたのは初めて。為替換算レートは米ドル 132円でユーロ138円であった。売上高は、世界的なサプライチェーン混乱による供給不足の影響を受けたが、先進国での船外機需要の堅調な推移、新興国の二輪車需要が回復したことで増収となった。営業利益は原材料や物流費をはじめコストが大幅に上昇したが、コストダウンの継続や価格転嫁の効果顕在化に加えて、円安によるプラスの効果により増益となった。
◆各事業の業績
二輪車事業が含まれるランドモビリティ部門
売上高は前年同期比で24.5 %増加して1兆4682 億円、営業利益が同27.2%増加し874億円であった。二輪車では、先進国において需要が堅調に推移し、欧州・北米で販売台数が増加。新興国でも各国で経済活動の回復が進んだことで需要が増加しインドネシアやベトナム、インドなどで販売台数が増加した。
半導体などの部品不足は想定よりも長期化しているものの、代替部品の調達、生産管理の徹底により影響を最小化し増収とした。営業利益は原材料価格や物流費などの生産コストが高騰し逆風を受けたが、価格転嫁の実施や円安によるプラスの効果もあり増益となった。
RV(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハ イウェイ・ビークル、スノーモビル)では、アウトドアレジャー需要は引き続き旺盛であったが、品不足やサプライチェーン混乱による供給制約が続いた。販売台数は減少したが、売上高は価格転嫁や円安によるプラスの効果もあり増収となった。営業利益は米国生産拠点における生産稼働率の低下や生産コスト高騰により減益であった。
電動アシスト自転車では第2四半期の連結会計期間に、上海ロックダウンに起因する部品不足やコンテナ不足による物流遅延の影響を受け、大幅な生産遅れが発生。その後は状況は改善に向かっているが、挽回には至らず販売台数が減少した。売上高は円安のプラス効果もあり微増であった。営業利益はコスト高に対して価格転嫁を進めたが、第1四半期の連結会計期間にバッテリーのリコールに伴う製品保証引当金を計上し減益となった。
マリン事業の売上高は前年同期比32.2%増加の5170億円、営業利益が同42.2%増加で1,092億円であった。ロボティクスが売上高で前年同期比3.4%減少の1159億円、営業利益では同32.6%減少で119億円であった。金融サービスでは売上高が前年同月比27.8%増加の622億円、営業利益は同8.4%減少の175億円であった。その他では売上高は前年同期比17.1%増加して851億円、営業損失12億円であった。
◆次期連結業績の見通し
次期2023年12月期の見通しについては、当期比9.0%増加の2兆4500億円、営業利益では同2.3%増加で2300億円、経常利益が同3.9%減少の2300億円、当期純利益では同8.3%減少で1600億円を見込む。為替換算レートは米ドル 125円、ユーロ135円を前提にする。
2023 年については、特に大型船外機や新興国二輪車需要は引き続き堅調と予想し、部品調達、生産、出荷を進めて、不足している製品の市場在庫水準の適正化を目指す。2022年に実施した価格転嫁の効果は、2023年にさらに顕在化し、海上運賃は前年比で低下する見通しとしている。
一方、リスクとしては自動車の生産回復にともなうアルミや貴金属、鉄鋼などの資材価格の高騰、人件費やエネルギーコストの継続的な上昇を予想。加えて世界経済の動向や為替変動などは不透明な状況としている。こうしたリスクに対してコストダウンや生産性向上など、本質的な構造改革、基盤強化を進める。
同時にマーケティング、技術部門が一体となり変革のスピードを上げて環境変化に対する新たな価値を創造し、持続的成長に向けて取り組んでいく。足元で続いている半導体などの部品不足が生産に与える影響に関しては代替開発の進捗もあり、2023年後半以降に改善していく見通しとしている。