
ヤマハ発動機販売は、ロードスポーツの新型「MT-07 ABS」を2月26日に発売する。“クロスプレーン・コンセプト”に基づく水冷4ストローク、DOHC直列2気筒の688cm3エンジンを搭載した。クラッチレバーやシフトペダルの操作が不要の自動変速トランスミッション「Y-AMT(ワイ・エーエムティ)」装備の「MT-07 Y-AMT ABS」も同時発売。両機種年間の国内販売数は500台を見込む。
同機種は“The Advocator of Riding Delight”をコンセプトに開発した。従来からのトルクフルなエンジンに扱いやすいボディ、コストパフォーマンスの高さなどに加えて、質感、先進性、軽快感を充実したという。
主な変更点は電子制御スロットル「YCC-T」の初採用、トルクフルなフィーリングを際立たせるサウンド、走行性アップに伴い剛性バランスを最適化した新設計フレーム&リアアーム、倒立式フロントサスペンションの新採用やリンク式モノクロスサスペンションのセッティング変更、同機種専用設計のスピンフォージドホイールなど足回りの強化、つながる機能搭載の5インチフルカラーTFTメーターや新作の小型LEDヘッドライト・LEDポジションライトなどの機能装備、大型バイクならではの走りの楽しさを予感させる新しいスタイリングとしている。
【主な特徴】
◆CP2 エンジンとして「YCC-T」を初採用し、全回転域で滑らかなトルク特性を実現
CP2(クロスプレーン・コンセプトの2 気筒)エンジンでは、ヤマハ発動機として初となる「YCC-T(Yamaha Chip Controlled Throttle=ヤマハ電子制御スロットル)」を新たに採用。吸入空気の取り込みの最適化と合わせて、全回転域での滑らかなトルク特性を実現。CP2 エンジンが備える扱いやすいトルクをよりリニアに、ライダーの意志に沿ったレスポンスや出力特性をもたらすという。
また「YCC-T」化によって、好みや路面状況にあわせてエンジンの出力特性や各種電子デバイスの介入度を選択できる機能「YRC(Yamaha Ride Control)」や、シフトダウン側にも対応するクイックシフターの装備が可能になり(スタンダードモデルにオプション設定)、より幅広い走行シーンへの対応を実現したという。
◆トルクフルなフィーリングを際立たせるサウンド
「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」搭載CP2エンジンが発する不等間隔爆発特有のサウンドは、高音と低音が混じり合った和音をベースとしており、スロットル開度とエンジン回転数の上昇によるサウンドを、よりトルクフルに感じられるよう吸気系をチューニングしたという。
エアクリーナーボックス、吸気ダクト、吸気ファンネル、吸気口カバーなどの形状やレイアウトを検証・調整しながら最適化。吸気口で発生した吸気音がライダーの耳に効率的に届くようレイアウトや燃料タンクカバー4か所の穴の設置など「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」を採用し、ゴロゴロと唸るような「ランブル感」を実現した。MTシリーズのキャラクターを際立たせる魅力的なサウンドとしている。
◆走行性向上にともない剛性バランスを最適化した新設計フレームとリアアーム
ライディングポジションもアップデートバックボーン型高張力鋼管フレームの設計を変更することで強度剛性を引き上げたという。電子制御スロットルや新たな変速機構(Y-AMT)の搭載とエアクリーナー容量確保の両立、倒立式フロントサスペンションの採用、スタビリティの確保などの要件を満たし、ヘッドパイプを除くすべての部位のパイプワークや径、肉厚、板金などを最適化したという。質量は、現行と同等(約14.8kg)としながら倒立フォークの採用と合わせ、スタビリティ向上と軽快なハンドリングを実現する剛性バランスの最適化したという。
フレーム変更などにともないライディングポジションも調整し、車体との一体感をさらに高めスポーティな走行を実現するため、ハンドル位置を手前かつ下方へ変更してグリップ幅を拡大したという。フットポイントを下げることでポジションに余裕を持たせ、燃料タンクとカバーのスリム化を実現し、ニーグリップ時のホールドのしやすさと一体感を向上させた。
◆倒立式フロントサスペンションの新採用など足回りを強化
フロントにφ41mmインナーチューブの倒立式サスペンションを新たに採用した。リヤはプリロードと伸側減衰力の調整機構を備えたリンク式モノクロスサスペンションを搭載した。サスペンションは前後共に車体各部のアップデートやディメンションに合わせて剛性を最適化し、旋回時や制動時の良好な接地感を実現、優れた応答性を発揮するという。
フロントブレーキキャリパーは、取り付け剛性に優れるラジアルマウント式を新たに採用することで安定した制動力と優れたコントロール性を実現するという。従来モデルと比べてさらに大幅な軽量化とそれに伴う慣性モーメントの低減に貢献するスピンフォージドホイールを専用に新設計し、俊敏なハンドリングを実現するようMT-07に初採用した。
◆つながる機能搭載の5インチフルカラーTFTメーターなど便利な機能
5インチTFTメーターを採用した。速度やデジタルバーによるタコメーターの他、燃料計、平均燃費、水温計、気温計、シフトインジケーターなどの表示機能を搭載する。各機能の情報操作、セレクトはハンドルスイッチの操作で行い、表示パターンは、4種から選択可能。専用アプリ「Y-Connect(Yamaha Motorcycle Connect)」をインストールしたスマートフォンと車両を接続し、手元でYRCのセッティング、さまざまな情報や画像をメーターに表示できる。車両の管理、電話やメールの着信通知など、多様なコンテンツが利用できる。
さらに「Garmin StreetCross」アプリをスマートフォンにインストールし、車両とペアリングすることによってメーター画面上でナビゲーション機能も使用できる。加えてMT-07 Y-AMTは、ハンドルスイッチ左側にシフトアップとダウンを担うシーソー式レバーを装備。ハンドルスイッチ右側には、AT/MT モードの切換ボタンを追加するなど直感的に操作可能な新設計のハンドルスイッチを装備した。また、新機能を搭載したフラッシャー(左右方向指示とハザード時の点滅機能に加え「二段階フラッシャー機能」「エマージェンシー機能」「消し忘れ機能」)を新たに追加した。
◆新スタイリング
“Natural Simplicity for everyone”をデザインコンセプトに、先代が築きあげてきた俊敏さに寄与する軽量スリムなボディ、トルクフルな走りを想起させるスタイリングを継承したという。様々な体格や幅広いライディングスキルをもつライダーが走る楽しさを享受できるよう、マシンのプロポーションやフォルムは、よりナチュラルかつシンプルに洗練したという。特にタンク周りからシートにかけてニーグリップしやすくし、マシンとの一体感を感じやすくした。イメージを一新した小型で薄い小径LED ヘッドライトを採用し、その下部に薄型のポジションライトを配置、二眼に見立てることによって、端正でありながら親近感を感じるフロントマスクとし、テールライトも薄型の新作とした。
カラーリングはヤマハのレースイメージを強調する“ブルー”、MT シリーズの新たな象徴カラーとして鮮やかなスカイブルーのホイールを組み合わせ、未来的でクリーンなイメージの“マットライトグレー”、シリアスなスポーツイメージを高める“マットダークグレー”の3 色を用意。
◆コンパクトなレイアウトの電子制御シフト機構のY-AMT搭載(MT-07 Y-AMTのみ)
MT-07 Y-AMTには、左手によるクラッチ操作と、左足によるシフト操作をアクチュエーターが担うことで、ギアチェンジを自動化したシステム「Y-AMT(Yamaha Automated Transmission) 」を搭載した。ショートホイールベースで軽量な車体と新採用のサスペンションにマッチするように専用セッティングし、同機種本来の楽しさを簡単な操作で感じられるという。
Y-AMT採用により有段トランスミッション特有のスポーティなシフトフィーリングを損なわず、ライディングの楽しさを最大限に引き出したという。MT-07 Y-AMTはATモードを搭載しており、街中やワインディングロードなどオールラウンドな走行に対応できるモードと、スポーティな走行が楽しめるモードを設定するとともに、迅速な加速を実現するためキックダウン機能を搭載した。MT-07のエンジンに合わせた専用セッティングを施したとしている。
◆価格や諸元
税込価格
・MT-07 ABS:96万8000円
・MT-07 Y-AMT ABS:105万6000円
ボディカラー
・ディープパープリッシュブルーメタリックC (ブルー/新色)
・マットライトグレーメタリック4 (マットライトグレー/新色)
・マットダークグレーメタリックD (マットダークグレー/新色)
主要仕様諸元 【 】は「MT-07 Y-AMT」
・全長×全幅×全高:2,065mm × 780mm × 1,110mm
・シート高:805mm
・車両重量:183 kg 【187kg】
・原動機種類:水冷・4 ストローク・DOHC・4 バルブ
・気筒数配列:直列2 気筒
・総排気量:688cm3
・最高出力:54kW(73PS)/8,750r/min
・最大トルク:68N・m(6.9kgf・m)/6,500r/min
・エンジンオイル容量:3.00L
・燃料タンク容量:13L(無鉛レギュラーガソリン指定)
・タイヤサイズ(前/後):120/70 ZR 17M/C(58W) / 180/55 ZR 17M/C(73W) (前後チューブレス)
・制動装置形式(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
・懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式)