ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)は6月16日、東京都内で同ブランド最高峰モデルの新型「CVOストリートグライド」「CVOロードグライド」両モデルを公開した。同日、米ハーレーダビッドソン社のヨッヘン・ツァイツCEO(最高経営責任者)が来日し「ハードワイヤー」戦略を説明した。このうち軽二輪車クラスの新型「X350」の日本での販売を示唆した。
新型「CVOストリートグライド」「CVOロードグライド」の販売は、6月8日に予約発売を行っており、両モデルともに税込価格は549万7800円からとなる。
CVOはカスタム・ヴィークル・オペレーションの略。ハーレーダビッドソン(HD)が既存モデルをベースに惜しみなくカスタムを施したメーカー純正カスタムモデルとなる。両モデルともにベンチレーションを内蔵した新型フェアリングと、LEDターンシグナルを内蔵したLEDシグネチャーライトを採用。トリミングされたフロントフェンダー、特徴的なサイドベベルを持つ新しい22.7㍑の燃料タンク、フェアリングや燃料タンクと調和した新しい立体形状のサドルバッグなどのデザインを変更。
各モデル2種類の特別カラーを用意。標準カラーのダークプラチナ/ピンストライプと、ハンドペイント仕上げのウイスキーニート/レイヴンメタリックを用意。ホイールはフロント19インチでリア18インチとし、特徴的デザインを施しブラックのマシンカットされたアルミ鋳造リムとレース状のスポークホイールを装備。タイヤ空気圧監視システムも搭載する。
ハーレー過去最高の排気量1977ccを誇る新たな空冷VツインのMilwaukee-Eight VVT 121エンジンは、可変バルブタイミングに加え、新吸気路とパフォーマンスエキゾーストシステムを備えたシリンダーヘッド冷却システムの改良で、従来のMilwaukee-Eight117エンジンと比べトルクは約8%、馬力は9.5%それぞれ高め、燃費も約3~5%向上させた。冷却システムも改良し、低速走行時や炎天下でのライダーの熱的快適性も改善した。サスペンションやブレーキシステムもカスタムにふさわしい性能と信頼性へとさらに高めた。
新型フェアリングは空力快適性も改善され、2022年モデル比で平均60%減少。両モデルではメーター回りも新しいSkylin OSを搭載し、新しいインフォテインメント・テクノロジーを導入。12.3インチTFTカラータッチスクリーンは、3種類のビューオプションでカスタマイズ可能でApple、Androidデバイスとも互換性を持つ。
両モデルは、シートの形状やパッドの素材も改良し疲労軽減や快適性を高めるシート形状とした。シート高はCVOストリートグライドが715mm、CVOロードグライドが720mmで、フロントブレーキとハンドレバーは、ライダーの手の大きさや好みに合わせて調整可能となる。
【CVOストリートグライド】
■車両本体税込価格:549万7800円(ダークプラチナ/ピンストライプ)、621万2800円(ウイスキーニート/レイヴンメタリック)■全長:2,410mm ■ホイールベース:1,625mm ■シート高(無負荷状態):715mm ■車両重量:380kg ■レーク・トレール:26°170mm ■フューエルタンク容量:22.7L ■フロントタイヤ:130/60B19 M/C 61H ■リアタイヤ:180/55B18 M/C 80H■エンジン:Milwaukee-Eight VVT 121(排気量:1,977cc)
【CVOロードグライド】
■車両本体税込価格:549万7800円(ダークプラチナ/ピンストライプ)、6,212,800円(ウイスキーニート/レイヴンメタリック)■全長:2,410mm ■ホイールベース:1,625mm ■シート高(無負荷状態):720mm ■車両重量:393kg ■レーク・トレール:26°170mm ■フューエルタンク容量:22.7L ■フロントタイヤ:130/60B19 M/C 61H ■リアタイヤ:180/55B18 M/C 80H■エンジン: Milwaukee-Eight VVT 121(排気量:1,977cc)
◆プレゼンテーション/HÐ本社のツァイツCEO、HDJ野田・社長
HÐ本社のツァイツCEOが日本市場での戦略など説明し、HDJ野田一夫・社長が新型CVOモデルを解説した。ツァイツCEOは、21年に掲げた「ハードワイヤー」戦略を取り上げ、HÐは「自由とアドベンチャー、そしてライフスタイルの会社です。ライフスタイルとしてのブランドを目指す」と強調。戦略では6つの柱である①プロフィットへのフォーカス②カテゴリーの再定義③モデルで電動化のリード④バイクを超えた成長⑤カスタマーエクスペリエンス⑥包括的なステークホルダーのマネジメント——に取り組んでいるとした。
この中でツァイツCEOは、新型モデル「X350」を今年発表したとして、HÐらしくアーバンなスタイルで、若者のHÐエントリーモデルとした上で、「日本での発表を検討している」と付け加えた。さらに4月には「X500」を追加し、中国ですでに披露したとした。
バイクを超えた新しいカテゴリーへ再定義では「一つの例としてアパレルのライセンスだ。HÐほど知られている認知度が高いブランドはそうはない」とした上で、「HÐブランドを活用して、アパレル産業へ参入したい」と強調した。すでにZOZOなどと提携しており「今後のこうしたコラボレーションを進める」などと述べ、若年層との接点や広告塔としての提携であることを示唆。「オンライン、オフラインでも強化していく」とした。
一方、電動分野では「ライブワイヤー」としてHÐとは別ブランドとして立ち上げ、事業を分社化しニューヨーク株式市場で上場したとし「日本でも発表したい」と述べ導入を言及。別会社はLiveWire Group, Inc.で、先の6月12日に同社の取締役として水野弘道氏が就く人事を発表している。水野氏は日本の金融業界のエクゼクティブであり、イノベーティブファイナンスとサステナブル投資に関する国連特使を務めるなど、サステナブル投資の分野で重要な役割を果たしてきたとしており、これまでに世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の常務取締役兼最高投資責任者を務め、テスラ社の非常勤取締役、ダノンのミッションコミッティメンバーも務めているとしている。
一方、HDJ野田・社長は公開した2モデルについて、主に魅力的なスタイルや新型エンジン、サドルバックの形状変更、新しいインフォテインメントなどについて取り上げた。特に600万円を超える価格については「スタイル、機能、装備などからして戦略的な価格に設定した」とアピールし、販売への自信の表情をみせた。