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スズキ 2030年度への「成長戦略」発表

スズキ 2030年度への「成長戦略」発表

2023.02.20

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スズキ 2030年度への「成長戦略」発表

スズキは先月、2030年度に向けた「成長戦略」を発表した。同社はユーザーの立場になった「価値ある製品」づくりをモットーに、モノづくりの根幹である「小・少・軽・短・美」、柔軟さ・素早さ・チャレンジ精神を忘れない「中小企業型経営」、机上の空論を排した「現場・現物・現実」の三現主義で行動し、スズキらしい2030年度に向けた成長戦略を進める。

 

 

同社は2030年度に向け、主要事業地域である日本・インド・欧州を核に、カーボンニュートラル社会の実現とインド、ASEAN、アフリカなどの新興国の経済成長に貢献していく考え。ユーザーの立場になった製品・サービスづくりと進出国・地域と共に成長する「スズキらしい」解決策に取り組んでいくもの。

 

 

主な取り組みではカーボンニュートラルについては、各国政府が掲げる達成目標時期に基づき、日本・欧州で2050年、インドでは2070年のカーボンニュートラルの達成を目指す。ユーザーに選択肢を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスを届ける考えを軸に、地域ごとのカーボンニュートラル目標の達成に取り組んでいく考え。

 

◆製品分野

四輪車の製品では日本は2023年度の軽商用バッテリーEVの投入を皮切りに、小型SUV・軽乗用などの投入を予定。2030年度までに6 モデルを展開する。また、軽自動車や小型車向けに新型ハイブリッドを開発し、バッテリーEVとあわせることでユーザーに多くの選択肢を提供していく。

 

欧州では2024年度より、バッテリーEVを投入し、SUV・B セグメントなどに広げ2030年度までに5モデルを展開する。欧州各国の環境規制やユーザーニーズに合わせて柔軟に対応するとしている。インドでは「Auto Expo 2023」で発表したバッテリーEVを2024年度に投入し、2030年度までに6モデルを展開。バッテリーEVのほかに、あらゆる製品・サービスを提供するためハイブリッド車・CNG・バイオガス・エタノール配合の燃料などを使用したカーボンニュートラルな内燃機関車も継続的に投入していくとしている。

 

二輪車では日常生活の足として利用される小型・中型二輪車で、2024年度にバッテリーEVを投入する。2030年度までに8モデルを展開し、バッテリーEV比率25%を計画している。趣味性の強い大型二輪車でもカーボンニュートラル燃料での対応を検討していく。

 

◆製造分野

製造分野での取り組みでは、日本国内の工場は2035年度のカーボンニュートラル達成に挑戦。この一環で世界の生活の足を守り抜く企業であり続けるために、2030年度のものづくりのあるべき姿を描き、スズキ・スマートファクトリー創造を進めているとしており、同社のモノづくりの根幹である「小・少・軽・短・美」とデジタル化の推進を組み合わせ、データ・モノ・エネルギーの流れを最適・最小化、簡素化し、徹底的にムダをなくして、カーボンニュートラルへ繋げていく。

 

国内工場では国内最大の生産拠点である湖西工場で、塗装設備の刷新と塗装技術の向上により、使用する

エネルギーを効率化と最適化のため、塗装工場のCO2 排出量30%削減に取り組んでいる。さらに、太陽光発電等の再生可能エネルギーからグリーン水素を製造し、その水素をエネルギー源として荷役運搬車両を走らせる実証実験を2022年末に開始している。

 

二輪車の生産拠点である浜松工場は2030年のカーボンニュートラル達成を宣言していたが、エネルギー使用量の削減や太陽光発電設備の増設など、再生可能エネルギーへの転換によりカーボンニュートラル達成を2027年度に前倒しして実現する。浜松工場のノウハウを他工場にも展開することで、2035年度の国内全工場のカーボンニュートラル化に取り組んでいく。

 

◆インドのバイオガス事業

また、インドのバイオガス事業は2030年度に向けて、インド市場は今後も成長を見込んでおり、製品からのCO2排出量を削減しても、総排出量の増加が避けられない見通しを挙げる。これからもインドと共に成長していくために、販売台数の増加とCO2 総排出量の削減の両立に挑戦していく考え。

 

そのための同社独自の取り組みとして、インド農村部に多い酪農廃棄物である牛ふんを原料とするバイオガス燃料の製造・供給事業へ挑戦する。バイオガス燃料はインドCNG車市場シェアの約70%を占めるスズキのCNG車に、そのまま使用することができるとしている。

 

他方で、インド政府関係機関の全国酪農開発機構、アジア最大規模の乳業メーカーであるBanas Dairy社とバイオガス実証事業を実施することで覚書を締結したとしており、日本で牛ふんを原料としたバイオガス発電を手掛ける合同会社富士山朝霧Biomassに出資し、知見の蓄積を始めているとした。

 

インドにおけるバイオガス事業は、カーボンニュートラルへの貢献だけではなく、経済成長を促しインド社会に貢献するものと考えている。また、将来的にアフリカやASEAN、日本の酪農地域など他地域に展開することも視野に入れている。

 

インド自動車産業のリーディング企業として、新興国のカーボンニュートラルと経済成長に貢献することは、先進国と新興国が協調してCO2 排出量を削減するパリ協定の趣旨にも合致するもので、全世界のステークホルダーに対して貢献できるものとしている。

 

◆研究開発体制・外部連携

スズキ本社、横浜研究所、スズキR&Dセンターインディア、マルチスズキが連携し、将来技術や先行技術、量産技術の領域分担をしながら、効率的に開発。また、スズキがインドに徹底的に根付くため、スズキイノベーションセンターが探索活動を行っており、さらにスタートアップ企業、スズキ協力協同組合、日本・インドの大学との共同研究による産学官連携など、グループ外とも連携しながらモノづくりの力を高める。

 

トヨタ自動車とは、競争者であり続けながら協力関係を深化させ、持続的成長と自動車産業を取り巻く様々な課題克服を目指していく考え。自動運転や車載用電池党などはじめ、先進技術開発、将来有望な新興国でのビジネス拡大、インドでのカーボンニュートラルに向けた取り組み、また環境に配慮した循環型社会の形成に向けて協業していく。

 

2022年に設立したコーポレートベンチャーキャピタルファンドのSuzuki Global Venturesでは、企業および既存の事業の枠を超えてスタートアップとの共創活動を加速する。日本や海外においても、ユーザーや社会の課題解決に資する領域に投資をし、スタートアップとともに成長するエコシステムの発展に貢献。

 

◆研究開発・設備投資

2030年度までに研究開発に2兆円、設備投資に2.5兆円、合計で4.5兆円規模を投資する。4.5兆円のうち、電動化関連投資に2兆円、そのうち5,000億円を電池関連に投資。研究開発への投資は、電動化、バイオガスなどのカーボンニュートラル領域や自動運転などに2 兆円を計画している。設備はバッテリーEV工場の建設や再生可能エネルギー設備などに2.5 兆円を投資する。

 

◆連結売上高

2023年3月期の予想連結売上高は4.5 兆円で、中期経営計画で掲げた2026年3月期の売上高目標の4.8 兆円を超えるペースで成長を続けているとしている。2030年度には、2022年3月期の売上高3.5兆円から、倍増となる7兆円規模を目指す。100 年に一度といわれる大変革期に、カーボンニュートラルと新興国の成長貢献の両立に挑戦していく中でも、商品には「ワクワク」「元気よく」「個性的」といった感覚を重要視していくとしている。

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