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【特集・トップに訊く2023】 KTM Japan/西光寿ジェネラルマネージャー  「今年の入荷は順調」  店は「お客様に夢を提供する場」接客、陳列・演出で改善へ

【特集・トップに訊く2023】 KTM Japan/西光寿ジェネラルマネージャー  「今年の入荷は順調」  店は「お客様に夢を提供する場」接客、陳列・演出で改善へ

2023.02.02

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【特集・トップに訊く2023】    KTM Japan/西光寿ジェネラルマネージャー  「今年の入荷は順調」  店は「お客様に夢を提供する場」接客、陳列・演出で改善へ

KTM、ハスクバーナ・モーターサイクルズ、GASGASのKTMグループ3ブランドの輸入元KTM Japanは、排気量251㏄以上の登録車両の販売だけで、昨年は3ブランドで2000台を超えた。昨年も多くの国内外のメーカーで生産や入荷、納品の遅れが目立った1年であった。今年2023年の市場や入荷の見通し、取り組みについて、同社の西光寿・ジェネラルマネージャーに聞いた。(取材:鈴木香)

 

 

――昨年2022年もコロナの影響で、オートバイ市場が大きく変わりました。昨年の市場や流通をどのように捉えていますか。

「需要が多いにもかかわらず、多くのメーカーで供給が追いつかずにバイク市場全体がもがいている状態が続きました。振り返ると市場全体がコロナ禍前の19年までは販売台数が徐々に下がってきましたが、コロナ禍における感染リスクの少ない移動手段やレジャーとしての需要で販売が伸びました。本国KTMグループでも昨年の上半期は、生産段階で半導体やカラー液晶モニターなどの各種部品の調達など、足並みが揃わない状況が続き、この結果入荷が遅れました。

 

 

ただ、日本ではロシアとウクライナの問題が起こる前の2021年に、多めの仕入れをしていたために昨年の上半期はある程度まかなうことができました。懸念していた下半期では遅れていた主力の390 DUKEの入荷がやっと開始されましたが、昨年は市場からの需要があっても商品が足りないといった、歯がゆい状況でした。

KTM 390 DUKE

 

 

その一方で、我々の強みはオフロードモデルをラインアップに持っていることです。オフロードモデルはパーツの交換頻度が高いためディーラー収益に貢献します。車両の販売が拡大することで、その後の点検やパーツの販売にも期待できます」

 

――ディーラーでは人材不足が続いています。

「例年、ディーラーにおける人材不足が懸念され続けてきました。市場やディーラーの規模、賃金面でもこれまでは二輪整備士よりも四輪車の整備士への流入が目立ってきましたが、近年のバイク需要の高まりによりバイクディーラーでも収益性が以前に比べ改善しているのではないでしょうか。また、先ごろ政府から経済界に賃上げ要求が行われるなど、今後はバイクディーラーでも四輪ディーラーや社会的な水準に引けを取らないレベルへの改善が求められていくと思います」

 

 

――昨年から経済回復、ユーザーの移動も活発になりました。バイク業界でもイベント開催が一気に拡大しました。

「私どもでも昨年6月以降オーナー向けのブランドミーティング、アドベンチャーチャレンジやオフロードチャレンジなどを開催。ブランドミーティングは箱根で開催し悪天候に見舞われましたが、それでも約400人もの参加を頂き大変感謝しています」

 

 

――近年では販売ネットワークの整備、改善を進めてきました。

「ネットワークの改善では、来店したお客様にブランドの世界観を感じて、乗ってもらえる環境づくりを目指し、しっかりしたブランドを演出するショールームで豊富なラインアップをご覧いただくことで認知度も徐々に高まってきました。現時点(1月18日)ではKTMが37拠点、ハスクバーナ・モーターサイクルズが24拠点、GASGASは13拠点体制で、今後も各拠点の商圏を確保したうえで空白地域にディーラーを開設していきます」

 

 

――拠点数が増えるとネットワークの中で質や取り組みでの格差が生じます。

「ネットワークの拠点数が比較的に多くはないため格差は目立ちませんが、3段階レベルに分けて毎月3回ほど行うサービストレーニングに加え、昨年より本格的にセールストレーニングもはじめたところです。セールストレーニングでは主に競合車種との比較の説明や自社製品の特長の説明など、実際の接客や商談などを想定してカリキュラムを組んで行っています。

 

 

トレーニング強化のため、2021年に当社オフィスと同じ江東区の新木場にトレーニングセンターを確保しました。広さは約400㎡で昨年7月より本格的に稼働を開始しました」

 

 

――今年のバイク市場を、どのように視ていますか。

「先が見通しづらいですね。広くは日銀が昨年暮れより利上げ方向に振れだし日本経済全体が変わるでしょう。それにともない少なからずバイク市場も影響することもあるでしょう。ただ、バイク業界は需要が高まっているので、ここ2年間の拡大傾向を今後うまく生かして伸ばしたいと考えています。

 

 

バイクはユーザーの情熱、趣味で成り立っています。日常生活に無くても生活できる半面、趣味で消費する金額にはリミットがないに等しく、また景気にも左右されにくく大きく落ちこむことがない良い側面があります。お客様の情熱にこたえられる商品の提供や楽しめる体験機会の提供、そして心を満たせるもののため、将来的に伸ばせると考えています」

 

 

――社会や経済が一気に動き出し、アイドリングなしのフルスロットルな状況下で、今年の注力分野は。

「一つは、販売力の強化、そしてブランドを体感できる販売環境の整備、さらにお客様への楽しみ、遊びの場・機会の提供です。

 

 

楽しみの提供では、昨年開催したブランドミーティング、アドベンチャーチャレンジやオフロードチャレンジを今年も開催予定で、さらに充実させていきたいと考えています。将来的には大規模なイベントが開催できるようにしてお客様の期待に応えていきたいと考えています。

 

 

販売力強化や販売環境の整備では、サービストレーニング、セールストレーニングと新型車のメディアローンチに併せてディーラーローンチを実施。新型車の商品理解と既存モデルの再認識を行っていく予定です。

 

 

さらにセールス分野では2018年ごろから始めた、ディーラー店舗での商品の陳列や視覚的な演出であるビジュアル・マーチャンダイジングへの取り組みで、これまで以上に改善していきます。店内の整理・整頓・清潔は当然ですが、専門スタッフを店舗に派遣してディーラースタッフを交えて、実際にユーザーの視点でレイアウトや陳列の方法、季節ごとに商品構成を変えるなど、お客様が来店した時に買いやすさや新鮮さの演出、変化を感じて頂けるように取り組んでいきます。

 

 

ショールームはブランドにおいて『お客様に夢を提供する場』であり、そうした取り組みで単に車両の収益だけでなく、魅力あるパーツやアパレル用品でも収益性を高めていきます」

 

 

――ネットワークの強化でもある、拠点の拡大については。

「ディーラーの拠点では空白地域に、商圏を確保したうえで増やしていきたいと考えています。特に大阪北部や福島の郡山、茨城の水戸などで、そのほかにもお客様が存在する地域で検討していきます。

 

 

――気になる車両の入荷については、これまでの様に遅延が続くのでしょうか。

「本国での生産が回復しており、3ブランドともに昨年までのような入荷の遅延は改善されていく見込みです。

 

 

他方、これまでの入荷遅延とは直接関係がありませんが、2021年から当社の日本法人では、メーカーである本社の購買部門の一部としても機能しています。各モデルには信頼性が高い日本製の部品が多く採用され、日本のサプライヤーと法人の私どもが部品の調達、交渉なども行っています。これにより購買でのコミュニケーションや商談が早くスムーズに進み、本社でのメリットは大きいものになっています。

 

総体的には今年も各ブランドで期待できる新製品の投入を控えています。昨年以上に入荷の改善、楽しみの提供、ネットワークの強化などで、成長が見込めると考えています」

 

 

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