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【特集・インタビュー】オートバイは「交通教育の第一歩」  AJ埼玉/岡田隆幸・理事長  子供に「体験」「興味持ってもらう」

【特集・インタビュー】オートバイは「交通教育の第一歩」  AJ埼玉/岡田隆幸・理事長  子供に「体験」「興味持ってもらう」

2022.01.15

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【特集・インタビュー】オートバイは「交通教育の第一歩」  AJ埼玉/岡田隆幸・理事長  子供に「体験」「興味持ってもらう」

埼玉県では3年前に全国に先駆けて「三ない」運動が撤廃された。長く続いてきた高校の「3ない」運動とは、オートバイの免許は「取らない」「乗らない」「乗せない」ということ。しかし、「オートバイに乗ることは、高校生をはじめとする青少年にとって交通社会ルールを学ぶ最初の入り口」と、同県のバイク販売店組織であるAJ埼玉(埼玉オートバイ事業協同組合)の岡田隆幸理事長は強調する。そこで岡田理事長に埼玉県での「三ない」運動廃止後の現況や組合活動、理事長自身の活動などについて取材した。

――埼玉県では「三ない」運動が廃止されました。高校生のオートバイの免許取得などの現況は。
「三ない運動は撤廃されましたが、県教育委員会で「三ない」運動撤廃について特別に活動が行われるというものではなく、撤廃については各高等学校(高校)の判断になっている、というのが現状です。なかには撤廃後の現在でも「三ない」を依然として継続する高校もあり、さらには、「三ない」運動の撤廃について、県からの通達が学校側に伝わっていないケースも確認しています」

「学校側でも生徒に対して、申請すればオートバイの免許取得が可能なことはあえて伝えていない、というのが現状です。学校もPTAも、教育委員会もそれぞれの責任や立場があることは理解できます。ただ、「三ない」運動自体が廃止されたということは、オートバイ業界にとっても、そして、いずれ交通社会に出ていく高校生にとっても大きな前進であると考えています。運転免許を取得して、交通社会への一歩を踏み出すかどうかは、個人の選択の問題になると考えています」

「交通教育として、18歳で四輪免許を取得して初めて交通社会に出るよりも、16歳で原付一種の免許を取得し、より早い年齢で交通教育、交通社会を体験した方が、一層安全な運転技術を身に着けられると思います。つまり『オートバイは交通教育の第一歩』となるわけです。スケートボードや自転車に乗ってもケガなどのリスクは負います。けがや事故を起こさないためにも教育、そして何よりも体験が必要なんです」

――高校生の免許取得は、本人の意志になることをあげました。
「三ない」運動が撤廃され、今後我々がいかに若い人たちにオートバイに興味を持ってもらえるかが大きな課題です。今の時代の高校生は我々の時代と異なり、興味を引く対象そのものが多いですから、その選択肢の中に免許取得や、オートバイがあってほしいと思っています」

――高校生などの若い人たちに、興味を持ってもらうために、現在の組合として活動は。
「埼玉の組合では、教習所の協力を得て教習コースを借りて、「スキルアップ走行会」と称して、参加者の安全走行技術やスキル向上、マナーアップなどのための走行会を実施しています。こうした取り組みが県内の東西南北の各地域で行われると、安全意識が高まり、ひいては地域での活性化につながるとも考えています。実際一部の高校生向けには二輪車普及協会さんと埼玉県警察が協力して教習所等で講習会も行われています」

「今後は講習会だけでなく、オートバイ操縦体験も多数開催したいと考えています。いろいろな体験が本人の一生の安全に役立つのではないでしょうか。子供の頃に体験してもらうことで、その楽しさが記憶に深く残りますし、その経験は将来に役立つものになると思います。乗る体験と同様に、オートバイの格好良さも伝えていきたいと思います、是非、オートバイレースなどのモータースポーツも見ていただきたいと思っています」

――理事長は自店で若者向けに、早朝に練習会を行っていると聞きます。
「会長が45歳、私が25歳頃から継続し続けて約30年間、土日の早朝に朝の練習走行会を、我々は「朝練(あされん)」と称して行っています。参加者は10代から70代と幅広く、初心者からベテランまでと様々です。1回当たりの人数は10人から20人程度です。きっかけは、基本もできていなかったので『皆で上手くなりたい、そのために練習をしたい!』と思って自然発生的に始まりました。それからクラブ員やスタッフ同士で河川敷に行って朝練を始めるようになりました。目標は、オートバイをコントロールすることを体に覚えさせることです。現在では河川敷を借りることが出来なくなってしまったため『オフロードヴィレッジ』を借りて練習しています。組合としては、交通教育の場所として、ONロードもOFFロードも、皆で練習できる河川敷が借りられるよう働きかけていきたいと思います」

 

 

 

――今後、組合として若年層への取り組みは。
「オートバイの楽しさを伝えることです。ただ実際にはアピール不足を感じています。具体的には我々販売店が店の運営で余裕がないとできないことが多いです。現在は人手不足や車両メーカーによる政策の行方などでも将来が左右され、対応に追われている販売店も少なくありません。特に人手不足という問題では2人以下で運営する県内の販売店は、約3割はあるでしょう。さらに深刻な問題は、後継者問題です。店を継続してお客様が困らないようにしなければなりません。お客様はその販売店の財産ですから。同時に販売店が減ることで、若者がオートバイに接する機会も少なくなってしまいます」

「原付一種の免許を自動車免許取得以前に、単体で取得できることを知らない若者も少なくありません。もっと知ってもらう努力が必要だと感じています。」

「今後は、オートバイ文化の活性化のために、県内の東西南北の各地域で、若年層をはじめ、女性やリターンライダーを対象とした、ライディングレッスンやツーリングといったイベントも定期的に開催していきたいですね」

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