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【特集③】米HDツァイツCEO 「らしさ」見失わない!   22年新型発表のオンラインで  5カ年計画“ハード・ワイヤー”で大改革

【特集③】米HDツァイツCEO 「らしさ」見失わない!   22年新型発表のオンラインで  5カ年計画“ハード・ワイヤー”で大改革

2022.02.01

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【特集③】米HDツァイツCEO 「らしさ」見失わない!   22年新型発表のオンラインで  5カ年計画“ハード・ワイヤー”で大改革

米国ハーレーダビッドソン(HD)は日本時間の1月27日午前1時、世界同時でオンラインによるファクトリーカスタムの2022年モデルに8機種を追加し発表した。同社最大の排気量を誇る1923ccのパワフルな空冷エンジンMilwaukee Eight117を搭載したプレミアムモデルとなる。同社のヨッヘン・ツァイツCEOは、2020年7月よりHDの根本からの立て直しのため“トータル・リワイヤー”の必要を提唱してきたこともあり、「2021年は当社にとって大きなイノベーションの1年であった」など述べ、これを反映させ昨年発表している新型車を振り返る一方で、各部門の担当者らが2022年モデルの新型の特徴を紹介し解説した。

世界同時発表は、ウィスコンシン州・ミルウォーキーにある同社のHD博物館で収録された映像で送られた。同社は「Futher,Faster.」(さらに高みへ)を掲げ、2022年の新型車を開発製造。冒頭、ツァイツCEOは「革新と進化を通じて、しかしHDらしさと信念を決して見失うことなく、業界をリードし続けることができる」と、HDライダーの心に響く強い決意をことばにした。続けて「2021年は当社にとって、大きなイノベーションの1年であった」と述べた。ツァイツCEOは2020年の着任時に掲げた“トータル・リワイヤー”(すべての配線を見直す)の必要性、さらに指針として5カ年計画では“ハード・ワイヤー”をテーマにHDの歴史に残る大改革をスタートさせたことに他ならないからだ。

これまでの1年の成果などについて、新型のエンジンの水冷Revolution Max(レボリューションマックス)を搭載した新たなモデルファミリーの「Pam America」(パンアメリカ)と、Sportster(スポーツスター)の新型「スポーツスターS」を取り上げた。パンアメリカは北米で瞬く間にアドベンチャーツーリングモデルで「販売高でナンバーワンを記録した」とした上で、「数々の賞を受賞した。パンアメリカの躍進は2022年も続く」などと強調した。

スポーツスターSについては「スポーツスターの未来をつなぐ、全く新しいモデル」と述べ、これまでのスポーツスターに終止符を打ち、搭載する新型レボリューションマックス・エンジンのパワーと、革新的な技術は「世界中のメディアやファンに称賛された」と語った。また、「新世代スポーツスターは、まだ始まったばかりで、今後の情報に注目してほしい」などと、次世代スポーツスターで製品構成の充実を印象づけることに言及した。

また、エレクトラグライド・リバイバルも好評で「古き良きHDを現代的にアレンジした」述べた。近年、記者が振り返ると、HDの新製品の発表で“古き良きHD”のフレーズを使ったモデルの記憶はない。こうしたことからもツァイツCEOがHDのらしさ、原点回帰への取り組みがうかがえる。

他方で同社は、中古車へも注視し「HD1 Marketplaceを開設した」と述べた。これはHD認定中古車のオンラインショップで「開設以来に瞬く間に成功を収めた」などと強調。車両メーカーとして主事業の新車販売を市場と流通で、これまで以上にうまく潤滑せるには、ユーザーが乗り換え時の中古車流通への着手が結果的にブーメランのように新車販売へつながることから、中古車事業に着手したものと思われ、同社の取り組みに今後注目集まるところだ。

この後2022年の展開では、クルーザー部門とツーリング部門、CVOのラインアップ、さらに強化しているアパレルとアクセサリー部門の新製品について、各部門の担当者らが映像を通じて、順次、製品開発におけるテーマや目標、開発に至る考え、特徴などを語り紹介した。

 

 

■米HDが掲げている、5カ年計画「ハード・ワイヤー」の指針概要
米国HD社はそれまでの業績が思わしくないことから2020年5月、ツァイツ氏に社長兼CEOの任命を発表。ツァイツ氏はそれまで18年間、プーマの会長兼CEOなどを務めてきた。HDの立て直しでは、会社の構造や運用、戦略的に必要な包括的な見直しとして“トータル・リワイヤー”の必要を提唱。コア事業の利益の再活性化、製品モデルの見直しなど、複雑に絡まった配線をほどき直し、HDブランドと企業としての強みに焦点を当て、市場とHDがいつの間にかズレていた配線を、正しく再配線することに取り組んでいる。

製品ではそれまでの複雑化した製品構成やオペレーションなどで、グローバル事業全体で700におよぶポジションの削減を挙げた。同時に5か年計画として「ハード・ワイヤー」の指針を掲げている。製品開発ではユーザーの欲求に合わせた価値の高い製品の強化に取り組むため、それまでの計画車両を約30%合理化する一方で、既存のカテゴリー製品と新たな高いポテンシャルのセグメントへ投資でバランス。発売時期も8月から需要が高まる春に変更などを行った。パーツやアクセサリー、雑貨関連でもユーザーが自分のスタイルに合わせてカスタマイズするようにしている。

さらに、販売市場のリセットでは、潜在的なポテンシャルが高い北米やヨーロッパはもとより、日本を含む成長性が高いと判断するアジア太平洋地域の一部で約50の市場に集約することを挙げている。特に市場規模や収益性が将来の戦略や投資に見合わない市場への参加を終了することも挙げている。

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