バイクの販売ディーラーにおける多店舗展開が目立ってきた。輸入車をはじめ、国産でも各ブランドの専売店を多数展開する傾向は近年著しい半面、多店舗を運営するためには人材、スタッフが必要となり多数店舗を展開する販売店の経営では社内の統制、マネジメントが一層重要になっている。社内統制や情報の共有を図るディーラーの総会を取材した。
国産メーカー販社が展開する専売店はホンダ・ドリーム、ヤマハのYSP、そしてカワサキプラザ、輸入車ではハーレーダビッドソンやBMW Motorrad、ドゥカティストア、トライアンフモーターサイクルズ、KTMなど、ディーラーはこうしたブランド専売店を多数運営するディーラーが増える傾向にある。
9月上旬、輸入車ディーラーのグッドウッド二輪商会(千葉県市川市/関口敏晴・社長)は社員総会をヒルトン東京ベイで行った。同社はBMW Motorrad、 ハーレーダビッドソン、ドゥカティ、ベスパ、モトグッツィの正規ディーラーとして千葉と東京に全8店舗とテクニカルセンター1拠点を約60人にスタッフで運営する。
総会では関口社長が企業理念や方針、店舗づくりの考えについて挙げたほか、業績や財務状況、さらに輸入車市場、他社店舗などの状況について取り上げ、社内スタッフと情報を共有し確認を行った。この中で関口社長は「一流の商品を、上級のお客様に、一級の社員お届けする」という方針を取り上げ、スタッフへ一級になってほしいとの思いを述べた。また、「他社がやらないことろ」で展開していくなどと述べた。さらに30年前から掲げてきた企業理念の「モーターサイクルを通じ、国民の余暇の向上に寄与していきます。」を改めて取り上げ、全社で再確認した。
自社の店舗展開についても触れ、関口社長は「(お客様に)選ばれる店には、投資必要」との考えを述べ、昨今のハーレーダビッドソン浦安をドゥカティ東京ベイに店舗の変更や、モトラッド京葉やテクニカルセンター、本社の改装など各店舗の改装理由を挙げ社員の理解を深めた。
今後についても「店にはお金がかかる」とした上で、「パーツ管理やポスシステムを今後導入していきたい」などと課題を挙げた。また、今期の業績については、ある一定の売上を上げるまではワンマン経営でよいが、今後はその売り上げを超える領域にあるため、「マネジメントが重要になる」として、組織として各分野で役割を分担して展開していくなどと、将来へ構想を取り上げた。
このほかに輸入車市況や自社の財務状況などの情報を共有。二輪販売店ではなかなか目が行き届かないスタッフの身だしなみについても、一流の商品を販売し、上級のお客様に対応しているため、スタッフにも身だしなみに注意するように呼び掛けた。
旗艦分野のセールスとアフターサービスの分野では、各部門の責任者が、現況の説明と戦略などを全スタッフと確認。さらに、ビジネスマナーの講習会として、株式会社J-Laboより高梨洋子さんを講師に招き、お客様への応対などについて学び、実戦での知識を高めていた。総会後は社内懇親会を開き、永年勤続賞として該当スタッフに関口社長より表彰状などが手渡された。
こうしたディーラーでの全社をあげた総会の開催は、多店舗を展開していく上で重要になる。スタッフが多ければ多いほど社内統制が困難になる。企業の目指す方向として企業理念や方針、新たな展開などの事を起こすための理由を理解、浸透させることが必要だ。同時に外部講師を招いての講習や、スタッフの表彰なども受賞者当人はもとより、若いスタッフのモチベーションも高める重要な取り組みとなる。