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【特集③】「カワサキプラザ山梨」開設から2年・吉田雄介社長  まさか自店で「若いカップルが手をつなぎ来店」

【特集③】「カワサキプラザ山梨」開設から2年・吉田雄介社長  まさか自店で「若いカップルが手をつなぎ来店」

2022.03.15

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【特集③】「カワサキプラザ山梨」開設から2年・吉田雄介社長  まさか自店で「若いカップルが手をつなぎ来店」

近年、国内外のオートバイメーカーがブランドを訴求した専売店化が進み、多くのオートバイ販売店が専売店を開設してきた。2020年3月、カワサキの専売店「カワサキプラザ山梨」(山梨県甲斐市)を開設した吉田雄介・社長は、「何しろ、やる前と、やってからの大きな違いに、びっくりした」と開口一番、カワサキの専売店前と、専売店化後の感想をこう述べる。開設2年で年間販売台数はカワサキプラザ以前の約3.5倍へと大きく拡大。吉田社長にカワサキプラザ開設前と開設後の違いを取材した。

 

同店は、それまで親の代からのオートバイ販売店を吉田・現社長が受け継ぎ、カワサキの新車販売を主体に夫婦とサービススタッフの3人で運営していた。以前によくあったカワサキ車に熱狂的な比較的に小規模なバイク屋であったと振り返る。2019年、吉田社長は岐路に立たされ迷っていた。

 

当時、すでに販社のカワサキモータースジャパンが全国にカワサキプラザネットワークの展開を進め、全国各地にカワサキプラザ店が次々と開設が進んでいた。2018年の山梨県内の販売は、約80店で126㏄以上の軽二輪車と251㏄以上の小型二輪車を合わせた合計は約430台であった。カワサキ車の販売を主体としていた当時の吉田社長は、「このままでは黙っていてもじり貧」。ただ、販売台数が多くはない、この甲府市場でカワサキプラザを開設し「果たして投資して回収できるものなのか」などと迷っていた。さらに甲府特有の盆地ではカワサキプラザは1席。2席目はない椅子取りゲームの状態であった。

 

だが、意を決し2020年3月、吉田社長はカワサキプラザ山梨を開設。実際、カワサキプラザを開設し「仕事の質が大きく変わった」と強調する。店づくりである店舗事態、もてなしとしての接客などは、実際にカワサキプラザの方針に沿って運営して初めて気づかされたことが多いという。以前は、それまでの接客方法などで適切、それなりに気配りをして自信を持っていたが、マニュアルや毎月の計画に取り組むと「確かにそうだな」と気づかされたという。

 

特に、カワサキブランドをイメージしたコーヒー、森林でバイクに乗っている時の様な店内の香りなど、五感に訴える店舗づくりを挙げる。半信半疑であったが「香りは人の記憶に残る」ことを学んび感銘したとする。それまで夫婦での来店客の多くは、同伴者の夫人が早く店を出たがっていたが、カワサキプラザ開店後は、多くの夫人は店内で笑顔でいるという。「当初は、なぜお客様の同伴女性が店内で笑顔なのか気づかなかった」と店内の香りの影響に驚きを隠せない表情だ。

 

さらにそれまでの店では見られなかった光景として「現在は若いカップルが手を繋いで来店するお客様もいらして、自分の店でこうした光景を目のあたりにするとは、想像もしなかった」とバイク屋の域を超えていることも驚きのことばを述べる。

 

 

また、マニュアルでは店内の内装をはじめ、所定のユニホーム、展示では車両を引き立たせるためにスポットライトの数や当て方、部位によりライトの色も指定され「当初は、ここまでやる必要があるのか」と疑問に思っていたという。しかし、昨今ではそうした取り組みが「理にかなっている」と理解を示している。

 

特に女性は、広く日常生活の中で様々な業種の店舗を体験しており、現在進めているカワサキプラザも、広く一般と比較すると「サービス業としてみれば、ごく当たり前のことなのかもしれない。これまでのバイク屋は世間とかけ離れていたのだろう。同業他社の中では、意識的には高いレベルでいると自負していたが、広く世間から比べるとたいしたことなかった。当初の1年間で思い知らされた」としており、こうした多くのことをカワサキプラザで学び「カワサキモータースジャパンは、予想を超える高いレベルで店づくりを目指していることが理解できる」と感銘の表情で語った。

 

カワサキプラザ開設で自身やスタッフの行動も変わったと語る。心機一転、奇麗になった店舗では「店頭に生える小さな雑草も気になるほど、目につくようになった」。何より変わったのは店舗運営における「オペレーションだ」と強調する。以前は想定以外であったが「現在は店舗内の窓やテーブル、床、展示車の清掃に加え、車両洗車、必要なものの買い出しなどを専門に働いてもらうアルバイトの方に来てもらっています。清掃などの細かい作業ですが、そうした小さなことが重要なことも気づかされました」と、以前ならそうした細かいことでスタッフを雇うことはなかったという。

 

自分たちの職場は自分たちで清掃するのが当たり前と考えていたが、出勤したらそれぞれの持ち場で時間を使い仕事を進めてもらうことの方が、効率が上がるとしており、「スタッフのマネジメントへの考えも一気に変わった」と強調する。

 

以前の店舗は全体で約20坪、吉田社長を含め3人であったが、カワサキプラザ開設後はショールームが約50坪、サービス工場約15坪、ストックヤードが約36坪で吉田社長のほかに6人に増強。さらに今年はストックヤードも約60坪に拡張予定で、指定工場の取得も目指している。スタッフは当初3人で充分であると考えていたが、6人体制まで増やす考えはなかったとしており「実際はスタッフが足りない」。カワサキモータースジャパンの指摘の通りになったと、頭が下がる思いであったとする。

 

業務の運営でも、以前は年間の新車販売は数十台で「お客様の顔や販売した車両、カスタムパーツを頭で理解できましたが、現在はそうした管理方法では限界があると痛感した」ともいう。商談についても突然の来店者は日時を改めてもらい「すべて予約制にすることで、お客様一人当たりの商談時間を確保し、内容の濃い説明を行う様にしている」という。「昔なら、せっかく来店して購入してくれると判断できるお客様を、その場で帰すことなど考えられないことだった」と変わりようを話す。

 

カワサキプラザではスタッフの意識も変わる。若いスタッフが「お客様にしっかり工賃などを説明して理解してもらい、その上で適正な料金を頂こう」と言ったり、カワサキサイドの経営者会議でも若い経営者らに「ちゃんとした職場で働く者に、カワサキプラザは働く夢を与えてくれる」と強調する。

 

 

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