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【特報】車両査定の「講習・研修」「検定」実施  車両検査のAIS  バイクも全国的な基準望まれる  ユーザー・業者の損失回避に回避に

【特報】車両査定の「講習・研修」「検定」実施  車両検査のAIS  バイクも全国的な基準望まれる  ユーザー・業者の損失回避に回避に

2025.08.21

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【特報】車両査定の「講習・研修」「検定」実施  車両検査のAIS  バイクも全国的な基準望まれる  ユーザー・業者の損失回避に回避に

中古バイクや四輪車などの業者オークションを行うオークネットのグループ会社である、株式会社AIS(東京都千代田区)は、オークション出品車の車両検査事業のほかに、もう一つの研修事業を展開する。全国各地で開く中古車査定の各種講習を実施。多くの販売業者が参加し、車両下取りや仕入れ時の正しい査定技術を磨き、損失を回避している。ただ、バイク業界では現在、オークションでの相場や業者各自の基準による査定にとどまり、本格的な査定は行われていない。車両査定により販売店やユーザーにとっても損失回避に役立ち、バイク業界でも業者向けの査定講習・研修が望まれる。

 

AISは第三者機関として1985年以来、オークネットが展開する四輪車や二輪車の業者向けの車両情報だけで売買すされるネットオークションの信頼性の根幹を握る、車両評価のための検査を行う。このため全国的な検査基準として、自動車業界ではメーカー系の中古車取り扱い会社のTAA(トヨタユーゼック)、NAA(日産ユーズドカーセンター)、ホンダAA(ホンダユーテック)、マツダ中販より信頼を得ており、AIS査定基準を活用している。

 

こうした査定技術を同社では、販売店などの業者が仕入れ時に正しい査定ができることで、仕入れと販売での損出を回避できるように、講習事業を2021年より実施。これまでの総受講者は3万人を超える。

 

8月上旬、千葉県内にあるAISの研修センターでは「1DAY基礎研修」が行われていた。同基礎研修では1日の短時間で査定のための重要事項を中心に、座学と実車でのカリキュラムが組まれている。実車研修で受講者が実際に車両を確認しながら進めるため、1回の研修参加は約10人と限定して行われる。

 

「1DAY基礎研修」での座学の様子

 

実車での研修

 

1DAY基礎研修の当日、10人が参加していた。カリキュラムではボディなどの交換歴摘出、溶接パネル交換歴に摘出、新車時の溶接と修復された溶接などについて、座学が約3時間、実車による部位の確認や手順などで約1時間行われた。取材中に講習を聞いていた記者でも、理解しやすい説明により得るものは大きいと感じるほどだ。

 

講師は日々のオークション検査業務から得られたノウハウや情報を元に、新車時の特徴や民間工場による修理工程まで、幅広く理論立てながら解説することで、即実際の現場で活かせるものにしている。受講者には各自で実車による査定を行ってもらい、理解を深めてもらうようにしている。

 

外装査定の様子

 

さらに、同社では本格的な技能習得のための「検定研修」も実施する。「販売」「技能」「説明」の3分野における責任ある人材育成を行い、ユーザーに満足してもらえる人材育成を目指している。検定では3~1級の「AIS中古車検査検定資格」を設定。検定研修では豊富な教材や車両を備えた研修施設で、階級ごとに設定された、それぞれのレベルに合わせて基礎から応用の一貫したプログラム内容とし、現場で役立つ知識と技術を修得できるようにしている。各級検査検定の認定試験に合格すると合格証書と検査検定資格証が渡される。

 

こうした検査技能の習得は、販売店などの業者にとっては、車両の仕入れ時や販売時に大きなメリットをもたらす。試験内容は自動車公正取引協議会の監修のもとで制作され、法令順守による販売での責任の醸成につながる。同時に車両の正しい査定による適正価格での仕入れはもとより、ユーザーからの下取りでは安心感を与えられる。

 

バイクも「査定研修」で適正評価に期待   

現在、中古バイクの査定では、同社が実施する講習や研修、検定は行われていない。多くの販売店などの業者は査定基準として、業者オークションでの車両検査・評価や落札価格を基に査定しているといえる。しかし、オークションでの車両検査は主催企業が独自に基準を設けており、検査基準や評価がオークション主催企業により異なっている。さらに業者による独自の査定基準や主観も加わるなど、第三者による全国的な車両査定が行われているとはいいがたい。

 

こうした状況下にあっては、ユーザーが車両を下取りに出した時に、損害を被る場合がある。一方で、業者でも車両の状態が適正に評価、査定されていない場合があることから、実際には損害を受ける場合が少なくない。

 

ましてや業者にとってバイクは、四輪ほど単価が高くない上に利幅も大きいとはいえない。1台の査定での誤りの損出は大きい。バイクの査定研修が実施され研修費用を支払っても、長期的に考えるならば研修への投資は安いものだ。社内スタッフの人材育成にもつながり、研修を受ける者は将来的に個人としての技術も高められる。人への投資を惜しむ企業は衰退していく時代でもある。

 

バイクについても全国的な検査基準が求められる。そのためにもバイクの査定研修、検査検定資格が必要だ。

 

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