一般社団法人日本自動車工業会(自工会)と一般社団法人日本二輪車普及安全協会は8月19日、東京・秋葉原UDXアキバ・スクエアで「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY」を開催した。18回目となる今開催は、イベント開催目的である交通安全啓発やバイクの魅力発信に加え、今回は来場者を「潜在的ライダー」「実用派ライダー」「求道派ライダー」「リターンライダー」の4タイプに分類。それぞれの興味・関心に合わせて国内4メーカーのモデルを展示するなど、従来とは異なる視点からバイクの魅力を訴求した。
同イベントでの展示で特徴的だったのは、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキというメーカー単位で車両を並べるのではなく「どのような人に、どのようなバイクが合うのか」というユーザー視点で展示車を再編成したことが挙げられる。
「潜在的ライダー」は、バイクに「かっこいい」「いつかは乗りたい」という憧れを持ち、きっかけがあればライダーになり得る層。ここにはカワサキ「W230」、スズキ「ジクサーSF250」、ホンダ「レブル250 E-Clutch」、ヤマハ「XSR155」を展示。いずれも初めてバイクに乗る人がバイクの楽しさに触れやすいモデルを揃え、「まず乗ってみる」という入口をつくった。


「実用派ライダー」には、生活の中でバイクを活用するユーザーを想定。カワサキ「KLX230 SHERPA」、スズキ「アドレス125」、ホンダ「CUV e:」、ヤマハ「AEROX」を展示した。通勤や日常の移動からレジャーまで、バイクを生活に取り入れるという視点から車両を選んだ。
一方、「求道派ライダー」は、バイクが生活の中心で、走ることやバイクそのものへのこだわりが強い層。カワサキ「Ninja ZX-10R」、スズキ「GSX-R1000R」、ホンダ「CB1000F」、ヤマハ「YZF-R7」といったスポーツモデルを集め、バイクを趣味として深く楽しむ層の関心を刺激した。
そして「リターンライダー」向けには、過去にバイクに乗っていたものの、いったん離れ、再びバイクへの復帰を考える層を想定。かつてバイクに親しんだ世代が、現在の技術や車両の進化を確認しながら、もう一度バイクに戻るきっかけとなる構成とした。
この4タイプによる展示は、単なる車両展示から一歩踏み込み、「メーカーが何を売りたいか」ではなく「来場者が何を求めているか」から車両をみせるという点が特徴となった。メーカーの垣根を越えて同じ志向のモデルを並べることで、来場者はメーカー名を先に意識するのではなく、自分のライフスタイルやバイクとの関わり方に合った車両を比較しながらみることができた。

会場ではこのほか、新基準原付モデルの展示、鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦したマシン、白バイ、最新のヘルメットやプロテクターの展示・試着体験、バイク応援自治体のPRブースなども展開。新基準原付については、2025年11月の排出ガス規制を背景に50cc以下モデルから新基準原付への移行が進むなか、新たな選択肢として紹介された。
ステージでは、電動トライアルバイクによるデモンストレーションや警視庁・クイーンスターズによる交通安全啓発をはじめ、「バイク×ライフスタイル」や最新のライディング技術、令和時代のライディングマナーなどをテーマにトークを展開。ゲストMCに平嶋夏海さん、スペシャルゲストにユージさんらを迎え、幅広い層にバイクの楽しさと安全を訴えた。
今開催では二輪市場を取り巻く環境の変化も反映されている。自工会資料によると、2025年度の二輪車市場動向調査では新車購入者の平均年齢が56.5歳となる一方、若年層ライダーの増加も報告されている。また、バイクによる町おこしやバイクツーリズムなど、二輪車を取り巻く新たな動きも広がっている。
こうした市場環境の中で、今回の「バイクの日」は、単に最新モデルを紹介するイベントではなく、「誰に、どのようなバイクの楽しみ方を提案するのか」まで踏み込んだ展示となったことが挙げられる。
とりわけ4メーカーのモデルを「潜在的ライダー」「実用派ライダー」「求道派ライダー」「リターンライダー」というユーザー像から横断的にみせたことは、二輪市場の裾野を広げるうえでも重要の試みといえる。
バイクをまだ所有していない人、移動手段としてバイクを使う人、バイクそのものを深く楽しむ人、そして再びバイクに戻ろうとする人――。異なる4つのライダー像に対して、それぞれに「自分に合うバイク」を提示することで、二輪車の楽しみ方をより具体的にイメージしてもらう場となった。

主催者あいさつに立つ、日本自動車工業会副会長兼二輪車委員会委員長の設楽元文氏

来賓と主催者ら

「バイクの日」から販売店へ――次の一手に期待
一方で、今回のイベントを見ていて気になったのが、イベント会場から二輪販売店へ来場者を誘引する仕組みが見当たらなかったことだ。
今開催の会場は東京・秋葉原。来場者の多くは首都圏から訪れたとみられ、全国からユーザーを集めるイベントとは性格が異なる。そのため、主催者側もイベント会場から特定の販売店へ来場者を誘導することについては、あえて踏み込まなかったのかもしれない。



