循環型マーケットデザインを展開するオークネットの二輪事業の子会社、株式会社オークネット・モーターサイクル(オークネットMC)が、業者向け中古バイクオークションをはじめ、バイク販売店の経営・運営業務を総合的にサポートする各種サービスを提供する。本連載の前回では「バイクの店頭在庫を持たなくて商売は可能だ」として、同社が提供する共有在庫の「モトバザール」の概要を取り上げ、同社の会員店の活用メリットに触れた。今回は特に車両在庫への「売り手」会員側の活用メリットについて、さらに注目していく。
モトバザールにおいては、買い手会員のメリットが主に注目されがちだが、売り手のメリットも多々ある。同社では主なメリットとして、以下の5項目を挙げている。
①無料で無料で店頭在庫を業販と並売できる
店頭での在庫車を掲載無料で出品できることで、同じ車両を店頭でも販売することができる。
②掲載手数料は無料、売買が成功した場合のみ
オークションとは異なり、モトバザールへの掲載手数料は無料となる。無料で販売機会を増やせる。
③平均の成約単価は80万円超え
同社オークションでの平均成約単価は、昨今、30万円台後半の一方で、モトバザールでの主な出品車は中型・大型排気量クラスで、比較的に良質車・高年式車が中心となり単価はオークションに比べて高値となっており、買い手がすぐに販売しやすい車両が中心。
④オークションでの取引車両が自動掲載可能
オークションで流札や落札した車両を、事前設定することで手間をかけずに自動的にモトバザールに出品・掲載できる。
⑤在庫掲載もスマホから簡単に登録可能
出先の隙間時間を使って、スマホから店頭の在庫車を登録し掲載できる。画像撮影もスマホで行い簡単に可能としている。


5つの項目のほかにも、利用の仕方や方法でメリットを高めることも可能だ。
一つは、同社オークションに出品して流札した場合だ。価格が買い手側の買いたい相場と合致しない時などは、買い手がつかずに流札する場合がある。通常の場合、流札車両を自動設定でモトバザールにそのまま出品可能であるが、出品車両の画面の下部にある「セールスP」のコメント欄に「流札車のため、値引き交渉可」「流札のため、値引きしました」などと、あえて記入することで、高値販売や希望販売価格での取引を諦めたような意識を印象付けるコメントが必要だろう。特に「流札」したことから諦めたという印象を残すことが重要だ。
二つ目も、セールスPのコメント欄の活用だ。特に店頭車両を登録する場合は、「店頭在庫車につき、即売」「買い手へ利益還元車両」などといったコメントで、買いを促すことも重要だ。小売販売でも同じだが、販売は買い手との心理作戦が重要となる。
三つ目の隠れたメリットとしては、先の5項目に挙げている「オークションでの取引車両が自動掲載可能」についてでは、確かに出品した車両が落札し自動掲載は手間がからずに便利だ。だが、オークションでの落札車の自動掲載については、自動掲載はやめて時間(週単位)を空けてから掲載した方がよいともいえる。
なぜなら、オークションで車両の売った会員からすると、自分が売った車両に利益がどのくらいの値が乗っているのかが判明するからだ。こうした情報は販売店同士の横のつながりで、○○店の車両は○○万円儲けているといった情報は、早く広がるものだ。可能であれば落札後、1週間後にモトバザールに掲載するのが望ましいのだろう。この点を指摘しておきたい。
4つ目に、同社オークション以外で仕入れた車両を、モトバザールに掲載することで、利益を上げやすくなる。外部で仕入れた車両であれば、買い手に利益がわかりづらくなることから、先の3つ目に挙げた売り手側の儲けがわかってしまうことが避けられ、売りにつなげやすくなることが挙げられる。
買い手のメリットとしては、通常の5項目のほかに、隠れたメリットを取り上げた。このほかにもモトバザールでの使い方によっては、メリットが多数挙げられそうだ。
次回は、買い手のメリットに注目していきたい。




