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「社内で副業」実施へ  ヤマハ発  部門超え従業員価値向上  担当者が気づかぬ点で改善も

「社内で副業」実施へ  ヤマハ発  部門超え従業員価値向上  担当者が気づかぬ点で改善も

2022.04.25

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「社内で副業」実施へ  ヤマハ発  部門超え従業員価値向上  担当者が気づかぬ点で改善も

ヤマハ発動機は社員の自己価値向上のため「社内副業制度」を始めた。部門を異動せずに広く新たなチャ
レンジができるようにし、社員個々の能力や知識を引き出し最大限に活用していく。

 

「社内副業は新鮮な刺激や気づきも多いですし、自分なりに一所懸命取り組めている手応えがあります。また、副業を通じて得られる新たな知識や柔軟な発想力は、本業でも活きてくると感じています」と話すのは、同社PF電技電子システム開発部の中村和樹さん。所属部門で電動モビリティのソフトウェア開発を担当する中村さんは、今年1月からスタートした「社内副業制度」を利用して、現在、人事戦略部で職場改善のためのデータ分析などの業務にも従事しているという。

 

社内副業制度は、従業員の自己価値向上の支援、部門を超えたつながりの強化、さらにはチャレンジする風土の醸成などを目的とした新たな人事制度。社内の各部門が業務テーマを掲げて人材を募り、テーマに応募した社員が社内審査を通過できれば、労働時間の一部をテーマの活動に充てるかたちで、部署を異動することなく新たな仕事に挑戦する機会をつくった。

 

また、中村さんは「私の場合は毎週4時間が目安。本業に近い電動系の副業募集もありましたが、正解・不正解が明確な技術と違って確かな答えのない領域にも興味が沸き、あえて人事の仕事に応募しました」と、所属の技術系部門とは全く異なる人事で、スキルを活かす。同時に「理系のアプローチが非常に新鮮」と、受け入れ側の人事部門もメリットを実感するとしている。

 

同社では25人の社員が同制度を活用する。当社には1998年より、同様の目的を持つ人事制度として実施してきたセルフ・バリュー・チャレンジ(SVC)がある。社内副業精度も自己価値を高めていくことを目的としたものですが、「SVCは異動を伴うことからチャレンジには大きな決断も必要。新たなチャレンジに、より柔軟に取り組める機会も提供したい」(企画担当者)と、新制度をスタートした。

 

一方、迎え入れる職場のメリットも小さくないという。「人事は基本的に文系出身者が多い職場」と話すのは、人事戦略部で社内副業メンバーとチームを組む佐原康介さん。「私たちが疑いを持たずに受け入れてきた一般論について、中村さんは理系のアプローチで『本当にそうですか?』と疑問を呈してきます。また、事業の視点を入れて分析をかけていきたいという私たちの課題にも貢献してくれる」としている。

 

現在、社内副業制度を使って、他部門の業務を兼務している社員は25人。「自らのユーザー視点を製品の企画・開発に活かしたい」「グローバル化のさらなる進展に貢献したい」などと、同制度を活用する動機はさまざま。「ソフトウェアを書くという技能で、ある程度の貢献はできるだろうと考えていました。でも、それを実感してもらうには、さらに勉強が必要です。新たな知識や技術の習得に向けた動機づけにもなります」と中村さんは語るという。所属部門の上司も応援してくれる環境としている。

 

「SVC」と「社内副業制度」の最も大きな違いは、所属部門の仕事を続けたまま、異なる業務にもチャレンジできることを挙げている。初となる今回は、DXやマーケティングなど高い専門性が求められる職場を中心に募集を行った。

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