オークネットと環境プラットフォームの構築を手がけるMIRAI-LABO株式会社(東京都八王子市/平塚利男・社長)は業務提携し、使用済みのEV(電気自動車)などのリチウムイオンバッテリーを再利用した新たな製品流通のプラットフォームを構築する。
使用済みEVバッテリーを新たな用途で再活用したリパーパス製品流通プラットフォーム構築では、近年の欧米ではサーキュラーエコノミーの領域で、再利用を目的としたリユースだけでなく、廃棄されてしまうような”不要品”に新たな目的と価値を創造して再利用する“リパーパス”という手法が注目を集めている。
日本でもカーボンニュートラルや資源制約の観点から、EVバッテリーの有効活用が求められている。特に同製品に再利用するリサイクルの技術革新に依存するだけではなく、EVバッテリーを自律型街路灯や蓄電池など、目的を転じて別の製品に組み込んで再度活用する“リパーパス”への関心が高まっているとしている。
こうした中で、EVバッテリー性能を評価する劣化診断技術や、グレーディング技量とその結果に基づいた最適な用途のマッチングが重要となる。しかし、高精度の診断に時間とコストがかかることや、中~低グレードの用途が確立しておらず価値が算出できない、バッテリーの品質保証ができないなどの未解決課題が山積しており、リパーパスの可能性をもつバッテリーを廃棄せざるを得ない状況にあるという。
オークネットは、循環型流通の先駆者としてオークションを通じて中古車、中古デジタル機器、ブランド品、花き、中古バイク、中古医療機器など多様な商材における循環型流通事業を展開している中で、リパーパス製品の売り手と買い手となり得る企業ニーズも多いことから、同プラットフォーム構想に着手。
リパーパス製品流通の最初の試みとしてMIRAI-LABOと業務提携し、短時間かつ高精度な「EVバッテリーの性能/劣化診断」が可能な独自の測定法を確立。この技術を応用して「検査・評価基準」をバッテリーごとに付与することをはじめ、これまで他社ではできなかった安全制御システムであるBMS付バッテリーおよびリパーパス製品自体に「品質保証」を付けて付加価値を提供するなど、使用済みEVバッテリーのリパーパス製品を安心安全に流通できるプラットフォームを新たに構築するというもの。
プラットフォームは、EVに搭載されていた使用済みリチウムイオンバッテリーを、診断結果や買い手企業のニーズに応じてリパーパス製品として流通させることを目的としたBtoB流通プラットフォームとする。 オークネットがプラットフォームの開発・運営、顧客開拓など行い、MIRAI-LABOが劣化診断業務、BMS付バッテリーおよびリパーパス製品の商品化および評価業務などを担う。
利用可能な価値がまだありながらも不要になったEVバッテリーを持つ企業や団体に対して、バッテリー残存価値の可視化と経済合理性のある売却機会を提供する。買い手であるリパーパス製品の購入を希望する企業や団体に対しては、安全性や性能の保証された製品を適正価格で調達できる機会を提供していく。
また、オークネットの事業活動により“経済”とリユース品の流通などによる“環境”に与えた影響を数値化したオークネット独自の経営指標GCV(総循環型流通価値)の考え方で算定も行い、これらの流通を通じて発生するGHG(温室効果ガス)排出削減量についても、売り手と買い手企業の両社に提供していく。
今後はハイブリット車を含むあらゆる電動車両や電子機器、蓄電システムに搭載されるバッテリーや、太陽光発電設備などの劣化診断、リパーパス、およびこれら製品・素材のリサイクル領域への拡大を図る。