バイク専門旅行会社のMOTO TOURS JAPAN株式会社(東京都大田区)は、群馬県長野原町にバイクを中心とした総合レジャーの屋内アクティビティ施設「ASAMA PEAKs」(アサマピークス)を開設。4月26日に営業を始める。手始めに軽量な電動バイクに乗って楽しめるサービスを提供していく。開業前の18日には同町と同社グループ会社で包括連携協定の締結を行うなどした。
場所は群馬県長野原町が運営する長野原町営浅間園内に位置し、2021年3月に閉館された旧浅間火山博物館の建物を、同社が長野原町より借り受けインドアアクティビティ施設として開業。浅間山北麓ジオパークの拠点施設内に位置することで、周辺には鬼押出し溶岩の中や浅間高原の原生林を歩ける自然遊歩道などもあり、自然豊かな地域として多くの環境客が訪れる地域。
ASAMA PEAKs では、同社グループ会社で「レンタル819」運営の株式会社キズキレンタルサービスが展開するe-TRAIL PARK浅間のサービスを提供。16歳以上から楽しめる軽量な電動バイクを使って、アクティビティな障害物などを超えたりする、広さ約1,500平方メートルのフロアに全長約800mのコースが用意される。象徴は浅間山に見立てた高さ約2.5mの立体の橋を登り降りする迫力満点のセクションもあり、子供から大人までが楽しめる仕掛けとした。
e-TRAIL PARKとしては神奈川県の海老名、静岡県の南箱根に続き3拠点目となる。
MOTO TOURS JAPANの原田美和・社長は、次の展開については「まだまだ伸びしろが充分あります」と述べ、今後のいろいろな展開を示唆。その一方で「長野原町の皆さんへの理解をさらに深める活動を行いながら、国内外の観光客、ツアー展開などで地域に還元できるようにしていきたい。私どもの施設だけではなく町全体の観光施設も世界に発信していきます。町があっての私どもですので」と町の活性化支援に積極的な姿勢を示している。
◆開業前に町と包括連携協定の締結、施設披露会
ASAMA PEAKs開業に先立ち4月18日は、長野原町と同社グループのキズキホールディングス株式会社の間で包括連携協定の締結を行ったほか、関係者やメディアに施設を公開した。
締結では同町の萩原睦男・町長と同社の松崎一成・社長が協定書にサインをして互いに連携していくことを誓った。協定では地域の課題や移動手段にEVバイクを活用し、町民や観光客の移動手段の確保、地域社会の形成にも寄与、町民開発の提供を目的としている。
当日、開館のあいさつに立った原田・社長は、海外旅行者のインバウンドが増える2017年に、自社のバイク専門ツアー会社を立ち上げたが間もなく新型コロナの蔓延に合い、辛い3年間が突然訪れ思い描いていた事業計画も白紙になり「思わずオフィスで泣いてしまったことも」などと述べ、開館までの思いを振り返った。
ただ、悪いできごとばかりではなく「長野原町の萩原町長はじめ、観光協会の方々、私たちを支えて頂き暖かく迎え入れてくれた長野原町の多くの方々との出会いです」などとして、同施設は「我々の宝となりました」と強調し、ASAMA PEAKsの開業に至る多くの関係者への感謝を示すことばを述べた。
ASAMA PEAKsは「総合レジャー施設として楽しん頂きたいとして計画。『心のアクセル全開で遊ぼう』をテーマに、まずは電動EVバイクで遊んでいただきたい」などと、4月26日の施設の開館を案内した。
また、「今後も継続的に魅力的なものに育て、長野原町の方々のお声や耳を傾け、より一層にオートバイを介して街の方々に恩返し、お役立てできるように歩みを進める。近隣の方はもとより、日本全国、海外の方にもASAMA PEAKsを含む長野原町の多くの魅力を国内外に発信し、多くの観光客を誘致する」と誓いのことばを述べた。
松崎・社長は、1985年に二輪車販売店の株式会社キズキを創業し、2007年に株式会社キズキレンタルサービスを立上げ、レンタル819のフランチャイザーとして現在120店まで成長したと述べた。さらに2017年にバイク専門のツアー会社モトツアーズジャパン株式会社を立ち上げ、3つの事業会社で「スポーツバイクを中心に様々な事業展開で、ユーザーのバイクライフに感動と笑顔を届けるビジネスを展開」と事業展開を述べた。
また「『バイク好きのコミュニティをつくる』をテーマに、その一環で北軽井沢の地に毎年ツーリングでお客様をお連れして訪れていた」とする一方、「20年に新型コロナで再び創業時の思い。原点に立ち換える必要があると考え、全社員でバイクツアー体験として北軽井沢の地を再び訪れた」。
さらに「バイクライフプランナーを目指すことを再確認した。これがきっかけとなり2021年4月にレンタルバイクとバイクツアーの基地『kitakaru BASE』を開設し、町長との面談機会を設けて頂き、ASAMA PEAKs開設に至った」と述べ開設の経緯を話した。
北軽井沢は歴史的に日本初のバイクレース浅間火山レース開催の地としてバイクとの関係が深いことから「バイクの聖地で新たなバイクツアー文化を根づかせたい。ASAMA PEAKsから再びバイクの聖地を甦えらせたい」との考えを述べ「この地域に新たな魅力と活力をもたらすことを目指し、ともに未来を歩んでいくことを楽しみにしている」などと語った。
祝辞として萩原町長と日本ライダースフォーラムの風間深志・会長と日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)の鈴木哲夫・会長、ビデオメッセージではホンダモーターサイクルジャパン(HMJ)室岡克博・社長があいさつをした。
萩原町長は「Eモビリティ構想など長野原町にとっても大きな夢が広がる。新たな魅力的な施設」と述べ、風間会長は「新しいモーターサイクルの文化が広がればいいな」などと述べた。また、鈴木会長は今年2月に大阪で世界大会の電動車によるFIM E-XPLORER WORLD CUPが開催されたことを取り上げ「男女ペアで競うもので、来場した家族から静かでいいねといわれた。女性誘因には新しいモータースポーツとして期待している。ASAMA PEAKsのような場所でもやってみたい」などと期待のことばを述べた。
室岡社長は「HMJではHondaGOという6つのサービスを提供。それらを通じてHMJはお客様の心が動く体験を見つけるお手伝いをしたいと考えている。モトツアーズジャパンさんとはHondaGOツアーで女性限定の公道デビューを応援するプリンセスツアーをはじめ、様々なツアーをともに展開。そうしたモトツアーズジャパンさんが観光や地域に根差した施設、e-TRAIL PARKという電動バイクで遊ぶパークと聞く。これも私たちが目指すお客様の心が動く体験を提供されるものと、心より応援している。お客様にバイクの興味を気づかせていく場所、お客様の心が動く場所、そうなることを願う」などとエールを贈ることばを述べた。