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「電動キックボード」公道走行など注意呼びかけ  国民生活センター

「電動キックボード」公道走行など注意呼びかけ  国民生活センター

2022.04.15

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「電動キックボード」公道走行など注意呼びかけ  国民生活センター

「電動キックボードの公道走行に関するルールや注意点。運転免許や保安基準に適合した保安装置が必要です」――。独立行政法人国民生活センターが3月17日、 電動キックボードの公道走行に関する相談が寄せられていることを受けて、同センターでは消費者に対し正しい情報をよく理解し、安心・安全な使用をよびかけている。

 

電動キックボードは歩道での走行は禁止されているが、公道で走行できるものもあり、その際は道路運送車両の保安基準に適合した構造、装置の備え、ナンバープレートの表示、自動車損害賠償責任保険(共済)への加入、運転免許の保有、ヘルメットの着用が必要となる。しかし、道路運送車両の保安基準に適合しないもので走行し発生した交通事故や道路交通法違反についての報道が増えていることから、法的な位置付けや乗車方法などを正しく理解していないまま電動キックボードを使用している消費者がいることが危惧されているとしている。

 

2016年度以降、電動キックボードに関して全国の消費生活センターなどに寄せられた相談は、124件あるとしている。このうち少なくとも7件は危害をともなった内容で、9件は公道走行の可否に関するものであったという。国民生活センターでは、電動キックボードの公道走行について正しい情報をまとめるとともに、現在、公道走行ができるとうたわれて販売されているものの構造および装備などを調査し、消費者へ情報を提供することにしたもの。

 

定格出力0.6kW以下の電動キックボードについては、キックボードに原動機(電動モーター)を装備したもので、歩道を走行することはできず、 公道を走行する場合、 搭載している電動モーターの定格出力により区分され、 道路交通法の区分に応じて原動機付自転車などの運転免許の保有が必要となる。また、道路運送車両法の区分に応じた保安装置も必要になることを挙げた。最高速度が20km/h未満の車両は、必須装備が異なる。

 

 

電動キックボード(定格出力0.6kW以下)に必要な主な保安装置は10種類。
1.後写鏡/2.※方向指示器/3.警音器/4.前照灯/5.制動装置/6.※速度計/7.※尾灯/8.※制動灯/9.※番号灯/10.後部反射器
※2.方向指示器、6.速度計、7.尾灯、8.制動灯、9.番号灯は、最高速度20 km/h 未満の車両には必須装備ではない。

 

●同センターに寄せられた相談情報 ※( )内は受付年月、相談者の属性

 

< 危害を伴った事例 >
【事例 1】
電動キックボードの無料体験をしないかと声を掛けられた。操作方法を簡単に説明され、公道にでた。急な坂道を上っていたら、車が出てきたので急ブレーキをかけたところ、弾き出されて転倒し、足にすり傷を負った。(2020年11月受付、50歳代、女性)

 

< 公道走行可否に関する事例 >
【事例 2】
公道を走れる電動キックボードのネット広告を見て警察に相談。原動機付自転車に該当しナンバープレートの取得等が必要と言われた。虚偽の表示に納得できない。(2020年6月受付、30代、女性)

【事例 3】
購入前に、販売事業者から、運転免許の必要はなく公道で走行できると説明を受け、息子が電動キックボードを購入した。警察に問い合わせたところ、公道を走行することはできないと言われた。返品を申し出たが販売事業者には「公道を無免許で走行できる。一度購入した商品を返品することはできない」と言われた。(2019年11月受付、50代、女性)

――などが寄せられた。

 

● 国民生活センター によるテストおよび結果
公道走行ができるとうたわれ、第一種原動機付自転車(定格出力0.6kW以下)に該当し、インターネット通信販売の大手ショッピングモールで売上ランキングなどが上位であった銘柄のほか、 実店舗で販売されていた電動キックボード計8銘柄をテスト。また、公道走行できることが明確な電動スクーター(型式認定原動機付自転車。第一種原動機付自転車に該当)1銘柄も参考品としてテストを実施。

 

テスト結果はテストのために購入した商品のみに関するも
「保安装置の調査」
・1銘柄で速度計の指示速度が計測した走行速度よりも下回り、他の1銘柄では大きな誤差があった。
・原動機の定格出力表示は全銘柄とも0.6kW以下であった。
・全銘柄とも、公道走行するために必要な保安装置を装備していた。
・1銘柄で道路運送車両法に定める基準よりも、停止距離が長くなった。
・1銘柄で走行中に前照灯を消灯できてしまう構造であったうえ、視認性が不足していると考えられた。
・4銘柄で後部反射器の反射性能が不足していると考えられた。
・2銘柄で方向指示器の視認性が不足していると考えられた。
・6銘柄で警音器の音の大きさが不足していた。
・3銘柄で後写鏡の大きさが不足していました。
・1銘柄で番号灯の視認性が不足していると考えられた。
・1銘柄で走行中に尾灯を消灯できてしまう構造であった。
・2銘柄で制動灯の明るさが不足していると考えられた。

 

「表示の調査」
・2銘柄の取扱説明書にはナンバープレートの取得など、公道走行に関する説明表示がなかった。
・4銘柄の充電器には、電気用品安全法で規定されている届出事業者名の表示がなかった。
・5銘柄で取扱説明書に雨天時の走行ができない旨の注意表示があった。他の3銘柄には、雨天時の走行可否や防水性能に関する表示がなかった。

 

「方向指示器や制動灯のない銘柄での走行中の合図について」
・進行方向を合図しながらの片手運転では、乗車状態が不安定になった。

 

「その他」
・1銘柄で紛らわしい灯火類が装備されていた。

 

●消費者へのアドバイスとして、以下を挙げた
・公道を走行する電動キックボード(定格出力0.6kW以下)は、第一種原動機付自転車に該当する。道路交通法の区分に応じた運転免許の保有とヘルメットの着用、道路運送車両法の区分に応じた保安基準に適合した構造および保安装置、交付されたナンバープレートの表示、自動車損害賠償責任保険(共済)への加入などが必要。
・公道を走行する目的で電動キックボードを購入する際には、道路運送車両の保安基準に適合した装置が装備されているか、購入した状態で公道を走行することができるかを必ず確認。
・方向指示器がない電動キックボード(最高速度20km/h未満)は、右左折時に手の動作による合図が必要。交通量の多い交差点での右折時は降車して歩道を押して通行するなど、安全を優先すること。
・電動キックボードは、車両や車輪がコンパクトで利便性が高い反面、凹凸や滑りやすい路面では不安定になる場合があるため、走行には十分に注意が必要。
・夜間に走行する際は、できるだけ目立つ服装にする。
・第一種原動機付自転車に区分されてヘルメットの着用が義務付けられている一般の電動キックボード(定格出力0.6kW以下)と、産業競争力強化法に基づく新事業活動計画における電動キックボードでは法律上の区分が異なり、適用規則が異なる。正しい情報をよく理解し、法律にのっとった方法で使用すること。

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