BMW Motorradは、モーターサイクルを愛する人々の人生と情熱に迫るドキュメンタリーシリーズ「The Ones Who Ride」を展開。全3話で構成し、BMW Motorrad CEOのマーカス・フラッシュCEOやレーシングライダーなど、異なる立場でモーターサイクルと向き合う人々のことばや経験を映像化。車両そのものではなく「モーターサイクルと人との関係」に焦点を当てている点が特徴だ。
9月4日にすでにYouTubeチャンネルで公開した第1弾「Vision」では、フラッシュCEO自身がライダーとして登場。オーストリアのガレージやライディングの時間を通じて、モーターサイクルへの情熱が新たな発想やブランドの未来につながっていく様子を紹介した。BMW R20 conceptやBMW Motorrad Vision K 18といったコンセプトモデルの背景にある想いにも触れている。
9月25日に公開した第2弾「Insanity」では、マン島TTで活躍するDavey Todd氏とPeter Hickman氏を取り上げた。再びスタートラインに立つための挑戦と、その過程で直面する挫折、さらに2人の友情を通じて、ロードレースに情熱を注ぐライダーの姿を描いている。
第3弾「Polarized」は11月13日の公開を予定。異なる価値観を持つGSライダー、Adam Riemann氏とGreg Mansell氏が登場し、オンロードとオフロード、それぞれの走りへの向き合い方を通してGSとモーターサイクルへの情熱を描く。
■なぜBMW Motorradは「人」を描くのか
今回の取り組みから考えられる理由の一つは、モーターサイクルを「製品」ではなく「人生を豊かにする存在」として伝えることだ。スペックやデザインだけでは伝えにくい、走ることで得られる自由や挑戦する気持ち、人とのつながりといった価値を、実際のライダーの人生を通じてみせることができる。
また、映像によってブランドとの接点を広げる狙いも考えられる。モーターサイクルに接点がない層に対しても、ライダーの生き方や挑戦する姿は一つのコンテンツとして届けやすい。車両を購入することを直接訴えるのではなく、モーターサイクル独自の世界がある事や、楽しみ方をなどを知ってもらうことで、ブランドやモーターサイクルへの関心を喚起するとみられる。
さらに、BMW Motorrad自身のブランドイメージを、ライダーのリアルな体験と結び付ける意味も挙げられる。第1弾ではCEO自身がライダーとして登場し、第2弾では世界的なロードレースライダー、第3弾では異なるスタイルを持つGSライダーを取り上げる。異なる人物やジャンルを通して、BMW Motorradが考える「モーターサイクルと生きること」の幅を示そうとしているものとみられる。
特にアドベンチャーモーターサイクルを含む「体験」の価値を映像で伝えようとしている点が注目される。アドベンチャーモデルは、単に移動するための乗り物ではなく、未知の道を走る、自然の中に入っていく、旅をするなど、バイクを介した体験そのものが商品価値につながる。第3弾でGSライダーを取り上げるのも、そうした走る場所や走り方まで含めたモーターサイクルの楽しさを伝えているといえそうだ。
制作目的として、新規顧客獲得や販売促進などと明確にしているわけではないものの、シリーズ構成から考えられるマーケティング上の狙いとして挙げられる。ただ、製品を正面から売り込むのではなく、ライダーの人生や情熱を入り口としてブランドに触れてもらう手法は、デジタル動画との親和性も高い。
モーターサイクル市場では、車両そのものの魅力を伝えるだけでなく、バイクに乗ると何が変わるのか、どんな世界が広がるのかといったことを伝えることも重要だ。「The Ones Who Ride」は、そうしたモーターサイクルの価値を、人の物語を通じて発信するブランドコミュニケーションの一例といえそうだ。




