ホンダは電子制御クラッチシステム「Honda E-Clutch」を搭載した「CBR400R E-Clutch」「NX400 E-Clutch」を発表。CBR400R E-Clutchは5月21日、NX400 E-Clutchは6月18日にHonda Dream店で発売。年間販売はCBR400R E-Clutchが500台、NX400 E-Clutchが400台の合計900台。
今年の国内二輪市場では、大型車が比較的堅調に推移する一方、中型二輪市場はやや苦戦傾向がみられる。車両価格の上昇や若年層人口の減少に加え、「MT車に乗りたいがクラッチ操作が不安」という潜在ユーザーの存在も販売の伸びを抑える要因として挙げられる。
こうした市場環境の中、ホンダは「運転の楽しさ」と「扱いやすさ」を両立するE-Clutchを400ccクラスへ投入し、新たな需要創出をねらう。Honda E-Clutchは、発進、変速、停止時のクラッチ操作を電子制御によって自動化するシステム。ライダーはクラッチレバーを握ることなく発進やシフトチェンジが可能で、信号待ちや渋滞時の負担を大幅に軽減する。
一方で、従来のMT車同様にライダーがクラッチレバーを操作することもでき、ワインディングやスポーツライディングでは自らクラッチを使った操作も楽しめる。完全なATではなく、MTの魅力を残しながら扱いやすさを向上させたことが特徴だ。
スポーツ性を磨いたCBR400R E-Clutch
CBR400R E-Clutchは、フルカウルスポーツモデルとして人気を集めるCBRシリーズの400ccモデル。搭載する399cc水冷DOHC直列2気筒エンジンは最高出力46PS/9000rpm、最大トルク38Nm/7500rpmを発生。中低速域の扱いやすさと高速巡航時の余裕を両立している。
車両重量は195kgで、倒立フロントフォークやダブルディスクブレーキを採用。スポーティーな走行性能を備えながら、シート高785mmと足つき性にも配慮している。
カラーはホンダレーシングをイメージさせる「グランプリレッド」と、「マットバリスティックブラックメタリック」の2色を設定。税込価格は99万9900~108万9000円。

CBR400R E-Clutch
ツーリング需要を狙うNX400 E-Clutch
一方のNX400 E-Clutchは、近年人気が高まるアドベンチャーカテゴリーに属するクロスオーバーモデル。19インチフロントホイールと長めのサスペンションストロークを採用し、街乗りからロングツーリングまで幅広い用途に対応する。シート高は800mm、最低地上高150mmを確保し、ツーリング時の快適性と走破性を両立した。
エンジンはCBR400Rと共通の399cc並列2気筒を搭載。車両重量199kg、燃料タンク容量17Lとし、長距離ツーリングにも適したパッケージとなっている。カラーは「マットバリスティックブラックメタリック」の1色設定で、税込価格は111万1000円。

NX400 E-Clutch
販売店は「体感価値」の訴求が重要に
ホンダの年間販売計画はCBR400R E-Clutchが500台、NX400 E-Clutchが400台の合計900台。注目は同モデルが単なる新製品ではなく「中型車の購入ハードルを下げる商品」である点といえそうだ。
販売店では、普通二輪免許取得者向け試乗会、リターンライダー向けイベント、スクーターからのステップアップの提案、女性ライダー向けの商談会などを通じて、E-Clutchの利便性を体感してもらうことが重要になる。
人口減少や若年層の二輪離れによって、国内中型市場は今後も厳しい環境が続くとみられる。その中でホンダが投入したE-Clutch搭載モデルは「MT車は難しい」という固定観念を変える可能性を秘めている。
販売店にとっては、新規ユーザーの獲得や休眠顧客の掘り起こしにつながる商材として活用できるかが、今後の販売成果を左右することになりそうだ。



