ベスパ　9億ユーロ超えるブランド価値へ　　伊ピアッジオG

ピアッジオグループは1月20日、ベスパの高いブランド価値の背景にある詳細を調査した新たな所見を発表。ベスパブランドが幅広いポートフォリオの中で重要な資産であることを明らかにしたとしている。 分析の結果、2021年のベスパのブランド価値の合計は9億600万ユーロに上るとしている。

 

ピアッジオグループ戦略・製品・イノベーションのミケーレ・コラニーノ総括責任者は「ベスパは単なるモビリティブランドではなく、アートやデザイン、テクノロジー、そして楽しさのシンボルであり、スタイルの象徴。 その独自性により、ファッションやライフスタイルブランドと同様に、プレミアム空間を彩る、最も称賛され熱望されたブランドの一つとなっている」と述べている。また、「このため、純粋なモビリティを超えて、他のグローバルブランドのベンチマークとなる必要があり、私たちは世界有数のブランドコンサルティング会社であるインターブランド社に、ベスパブランドの財務的価値を評価および分析を依頼。私たちがベスパの未来を構築し続けるための新たな出発点」と調査の理由などを述べている。

 

これを受けてインターブランド社のレポートでは「デザイン、ライフスタイル、そしてイタリアの遺産との完璧な融合により、ユニークで世界的に認知されているブランド」と評され、 最終的にベスパのブランド価値は9億600万ユーロと推定した。

 

インターブランドのグローバル最高戦略責任者であるマンフレディ・リッカ氏は「『象徴的』ということばが濫用されていますが、 このブランドを定義するには他にことばが見つからない。ベスパは伝統的なブランドでありながら、常に進化し続けている。イタリアに深く根ざしながら世界中で愛され、プレミアムでありながら全ての要素を網羅したブランド」と指摘する。査定では「ブランドに対する願望や要望を数値化することに加え、ベスパが本質的にモビリティ、自己表現、文化が交わり合う1つのカテゴリーとして存在していることを示している」と述べている。

 

インターブランドは、 ベスパブランドの財務的価値を決定するにあたり包括的なリソース、 市場データ、 ベスパの10倍規模の主要市場において実施した定量分析を取り入れ、実績ある独自のブランド評価手法を採用したと評価の様相を挙げている。

 

ベスパの総合ブランド力スコアの主な要因は、製品デザインの独自性と認知度、そしてイタリアの象徴と称される遺産による、業界内における差別化。また、ブランドに対する顧客の好感度の高さを示す親近感も、ブランド価値を高める上で重要な役割を担っているという。全体的にこのブランドはモビリティのみならず、自己表現やエンターテインメントといった幅広いニーズに対応していると分析結果を挙げている。

 

昨年の2021年にベスパは生誕75周年を迎えた。ベスパ 75th特別限定シリーズの発売と共に、1946年以来1900万台以上のベスパが生産販売されたとしており、この12ヶ月で驚異のマイルストーンに到達したという。 ベスパは新型ベスパ946クリスチャン・ディオールの発売、ジャスティン・ビーバーとのコラボレーション、ベスパが映画の構成とストーリーに不可欠なディズニーピクサー映画「あの夏のルカ」で世界的な反響を呼ぶなど、ブランド・エコシステムの拡大にも成功を収めている。

 

9億600万ユーロというブランド価値は、愛すべきイタリアブランドにとって重要なマイルストーンであり、世界中のユーザーとの関連性を示しているという。イノベーションと世界的なパートナーシップを通じて、新たな野心的な目標に向かってベスパが突き進む、長期計画の出発点と位置づけている。

 

【 ピアッジオグループ 】
1884年に設立。ヨーロッパ最大のスクーターおよびモーターサイクルのメーカーで、同分野における世界的リーダー的な存在となる。2006年にイタリア証券取引所（PIA.MI）に上場し、二輪車および三輪車（スクーター＆モーターサイクル）、小型商用車、ボストンを拠点とするロボティクス部門（ピアッジオ・ファスト・フォワード）の3つの主要事業を展開している。グループの製品ラインアップには、PIAGGIO、 Vespa、MOTO GUZZI、aprilia、DELBI、Ape、PIAGGIO Commercialなど、象徴的な小型モビリティのブランドが含まれる。 6600人以上の従業員を擁し100カ国以上で製品を販売しており、イタリア、インド、中国、ベトナム、アメリカに6つの製造拠点、４つの研究開発センターを保有し、約1000人の従業員が従事している。