旅行大手の株式会社JTBとモトツーリズム事業を展開するMOTO TOURS JAPAN株式会社は3月26日、訪日インバウンド市場の拡大と地域観光の活性化を目的に、モトツーリズム推進に関する基本合意(MOU)を締結した。オートバイを「移動手段」にとどまらず、“記憶に残る体験を生み出すメディア”として位置づけ、二輪を活用した新たな観光価値の創出を目指す。
近年、訪日外国人旅行者数は急速に回復しており、日本政府は2030年までに訪日客6000万人、旅行消費額15兆円を目標に掲げている。一方で、宿泊の約7割が東京・大阪・京都に集中しているとされ、地方への誘客や二次交通の不足が大きな課題となっている。
こうした背景のもと、JTBは2025年9月に訪日事業の新戦略「訪日インバウンドVISION2030」を発表。共創パートナーとの連携により、訪日旅行の目的となる新たなサービス開発を進めている。今回の合意はその一環で、オートバイならではの機動性や自由度を生かし、地方に眠る観光資源を体験型コンテンツとして再編集する取り組みとなる。
両社は今後、主に欧米豪およびASEANの富裕層などを対象に、オートバイで巡る高付加価値の旅商品を企画。日本の精神性や文化、美意識に触れる「Authentic Japan」をテーマに、バイクでしかたどり着けない地域の魅力に触れ、訪問そのものが目的となる新たな観光コンテンツを開発する。
また、レンタルバイクを軸に宿泊施設や観光地予約などをシームレスに結ぶサービスモデルの構築も検討する。これにより旅行者の自由度を高めるとともに、特定地域への集中を避け、地方での滞在・消費の分散化を促す狙いだ。
さらに両社は、モトツーリズムを通じて地域との関係人口の拡大や持続可能な観光の実現にも取り組む。日本の二輪メーカーが持つブランド価値やものづくりの思想を旅の体験として発信し、観光と産業価値の両立を図る。
今後はフィジビリティスタディ(実現可能性調査)を実施し、モトツーリズムによる体験価値創出の可能性を段階的に検証する計画。オートバイを活用した新たな訪日観光モデルの確立を目指す。
両社は今回の取り組みを通じ、観光・モビリティ・地域・産業を連動させた持続可能な観光モデルを構築し、日本におけるモトツーリズムの定着と訪日市場のさらなる拡大につなげたい考えだ。



