二輪車の市販ホイール市場が活発化している。アフターパーツとして30万円から40万円前後を中心価格帯としながら、車種専用品が主流になったおかげで、取り付けはブレーキ周りを処理すればタイヤ交換時にも可能で、ユーザーだけでなく、販売店にとっても売りやすい商品へと変化しているからだ。ユーザーにとっては純粋なカスタマイズよりも作業にかかる費用を抑制できるメリットがある。軽量化による操安性の向上といった性能面だけでなく、ファッション性もアピールできる。
かつてアフターマーケットで人気だった四輪車の市販ホイール市場のように、二輪車についてもようやくホイールを交換してバイクライフを楽しむ環境ができつつあるといえる。アクティブ(愛知県日進市)はアルミ鍛造ホイール「ゲイルスピード」で国内外メーカーの車種対応品をラインアップする。オーヴァーレーシングプロジェクツ(三重県鈴鹿市)はスイングアームなど車体部品で培った信頼をいかし、ホイール商品を展開して販売をのばしている。
レトロモデルに新たなスポークホイールを提供するのがリム、チェーンメーカーの大同工業だ。チューブレスタイヤ対応のカワサキ・Z650RS用のスポークホイールの販売を開始し、2026年からZ900RS用の製品を市販化する。ボリュームゾーンへ新商品投入し、レトロテイストに対応したチューブレスタイプのスポークホイールという新たなジャンルを開発する。レトロ対応では、キジマ(東京都足立区)がタイムレスレトロとしてレッグシールドを開発しており、若年層にもアピールしている。

アクティブのゲイルスピード

アクティブのゲイルスピード

大同工業のチューブレス対応キャストホイール

キジマのレトロ
先進技術対応商品も進む。四輪車でカーナビゲーションに代わって純正オプションが増加しているディスプレイオーディオ・スマートモニターの波が二輪車にもやってきている。タナックス(千葉県流山市)は6インチ画面を採用した「スマートライドモニター」にバージョンアップし、より多くのライダーにアピールする。いままで主流だったスマートホンをそのまま車両に設置するケースに比べ、連動したディスプレイオーディオでナビ機能などを利用できるだけに、高温時や雨天時などの使い勝手が拡大に良くなっている、スマートホンの場合は振動による不具合や、真夏時の熱対策が懸念材料として問題視されており、ディスプレイオーディオが将来的に伸びる余地は大きい。同社では電子部品だけにアフターサービスが大切としてサポート体制を拡充し、信頼感のある製品として市場拡大を推進する。

タナックスのスマートモニター
四輪車メーカーによる純正部品の復刻が活発化するなかで、二輪車用品市場もこうした動きが出ている。ヨシムラジャパンは「YOSHIMURA HERITAGE PARTS」プロジェクトを展開し、コンプリートマシンや、同社の開発商品の復刻だけでなく、スズキ・油冷モデルの純正互換部品なども手掛ける。金型から起こしたゴム部品であるインシュレーターをはじめ、ガスケットなど愛車を乗り続けるために欠かせない部品を開発、販売する。自動車文化として英国や欧州で一般的になっている、愛車を長く乗り続けるための活動ともいえる。

部品の復刻に取り組むヨシムラ
ネット販売への対応を重視する動きも活発化している。ユーザーがダイレクトに購入した場合でも、取り付けしやすい製品の開発やわかりやすい説明書の添付、アフターサービスでの対応など、BtoCに対応したハード、ソフト両面のきめ細かい商品展開を重視する。用品メーカーによると、これまで用品の取り付けも含めて販売を担ってきた二輪車用品量販店での営業力が販売スタッフの人手不足から相対的に低下しており、こうした窓口の販売が弱体化していることがあるという。
結果としてネット販売に傾斜しているため、商品面でもBtoC対応が急務となっているわけだ。部品の性格上、専門店での取り付けが欠かせないメーカーでは販売だけでなく技術力を持った店舗との連携を重視する。専門店が減少するなかでも、専門技術を持った店舗を重視し、ともに歩んでいく姿勢を見せる。
量販店が中心だった補修用タイヤの販売も変化を見せはじめている。量販店が大きな部分を占めることに変わりわないが、ホンダドリーム店をはじめ二輪車メーカーのディーラー店舗でのタイヤ販売が伸びているという。メンテナンスパックなどにより顧客の管理化が進んでおり、補修用タイヤの伸長もこうした部分が大きい。もちろん、タイヤチェンジャーの導入やスタッフの育成など、タイヤの交換需要を伸ばすハードとソフト両面の対応が実ってきたといえそうだ。
新たな提案も多い。二輪車用ETCで知られるミツバサンコーワ(東京都板橋区)は、ドライブレコーダーをはじめオートバイ用曇り止めシールドや、駐車時のガソリンタンクやヘルメットの暑さ対策となる遮熱シートを提案するなど幅広い分野への展開をはじめている。TSR製品で知られるホンダ・ワールド(三重県鈴鹿市)は、CB1000F向けのパレットタイプメーターカバーを開発(意匠登録出願中)し、ホンダ―モーターサイクルジャパン専売品として販売ルートにのせる。年内にも販売が見込まれる新機種にも対応していく考えだ。

猛暑対策を打ち出すミツバサンコーワ

人気のCB1000Fにデザインで提案するホンダ・ワールド
オプティメイトの充電器で知られるテックメイトジャパンは(東京都東久留米市)は、二輪車用に特化したソーラーパネルのパルス充電器を販売し、電源がないエリアでも補充電が可能な充電器として販売する。バイクカバーの上からも設置できるなど工夫しており2万円を下回る価格設定で、電子化で今まで以上に重要になっている二輪車のバッテリー機能の維持をアピールする。簡易性については、キジマが充電式のバイクアラームを発売し、一充電あたり200日持つ特性をいかして、電源が取れない駐車場所であっても利用可能な製品性をアピールしている。

ソーラーパネルによる充電を提案するテックメイトジャパン
安全装備面では、アールエスタイチがエアバッグの世界的メーカーであるオートリブと共同開発したバイク用エアバッグの販売を今年のゴールデンウイーク前には開始する。スマートホンと連動し、エアバッグ展開時には事前に登録した連絡先に緊急メッセージを送信するなど先進自動車と同等の機能を備える。若年ユーザーを考慮し、サブスクリプション費用が発生しない購入時のみの価格としたのが特徴だ。本体価格が88,000円(消費税込)だ。安全装備へのライダーの関心は高く、新たな市場創生に意欲を示す。

エアバックを共同開発したアールエスタイチ
地球温暖化による猛暑が日常の風景となった日本。絶好のオートバイシーズンだった夏は、いかに熱中症を乗り切るかが課題となっている。その回答のひとつが暑さを抑制する冷却服だ。ワークマン(群馬県伊勢崎市)はペルチェ素子を用いた冷暖房服をライダーに提案、2026年モデルはより性能を向上したという。ベルチェ素子は電気の力で冷却と暖房を制御する仕組みで、バッテリーと組み合わせる。
アールタイチ(大阪府東大阪市)は、化粧品会社と共同開発した冷却水を使用し、風を利用して冷却する仕組みだ。冷却水はバッテリーによるモーターで配水する。価格はともに2~3万円前後と、オートバイ用品としては比較的高額な部類に属するが、猛暑対策として注目度は高い。
社会的にも求められる猛暑対策だけに、ワークマンは作業者用からライダー向けにユーザー層を拡大しているのに対し、アールエスタイチは、ライダーから作業者向けも市場を拡大、相互がそれぞれの得意分野に乗り出す格好となっている。それだけ社会的ニーズが高いことのあらわれだろう。二輪車の用品市場は、車両性能の向上や社会環境の変化によっても大きく変化しており、新たな商材の投入によってビジネスチャンスの拡大が進んでいるといえる。



