【調査】経営者の約65%「非金銭的報酬の強化は人材定着に有効」 組織づくり支援のOKAN調査
企業としては労働力人口の減少、物価上昇に対して賃上げが追いつかず、金銭的報酬だけでは従業員の満足度やエンゲージメントを維持しにくい状況が続く。「望まない離職」を生まない組織づくりを支援する株式会社OKAN(東京都豊島区)は、企業が優秀な人材を惹きつけ定着させるためには、金銭的報酬だけでなく、キャリアアップの機会、職場環境の改善、福利厚生、仕事へのやりがなど「非金銭的報酬」の充実が不可欠としている。企業の「人への投資」の実態と「非金銭的報酬」に対する企業の意識、金銭的報酬と非金銭的報酬のバランスの重要性を示すための調査を実施したもの。
調査は今年11月6日から11日の期間、インターネットにより関東地方在住の建設業や製造業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、医療・福祉の5業種の経営者や役員を対象に515人から回答を得たもの。質問では、直近1年で人への投資としてより意識・注力していることについて尋ねたところ、「金銭的報酬」との答えが68.5%で、「非金銭的報酬」の31.5%の2倍以上で大きく上回った。物価高騰や賃上げの要請といった社会的な背景を受け、まずはベースアップや賞与といった直接的な金銭的処遇の改善を最優先課題としている現状を示した。

非金銭的報酬の重要性としてあてはまると思うものでは、「給与だけでは定着しない」と約4人に1人26.0%が回答。重視は「モチベーション向上」、最も重要視される目的は「やりがい・幸福度アップ」が示された。非金銭的報酬の重要性について尋ねたところ、「モチベーションややりがいを高めるため」が36.9%と最も多く、次いで「社員の満足度や幸福度を上げたいから」が34.6%、さらに「給与だけでは人材の定着につながらないから」も26.0%を占め、全体の約8割が非金銭的報酬の重要性を感じていることが示された。多くの企業が金銭的報酬の限界を認識しはじめていることが明らかになった。
金銭的報酬への注力が高い一方で、短期的な生活の保障だけでなく、中長期的な人材定着と生産性向上を目指すためには、非金銭的報酬への戦略的な投資も並行して強化する必要性を、多くの企業が捉えていることが示されたとする。

次に、非金銭的報酬の強化は、人材定着に有効だと思うかについては、「とてもそう思う」が13.2%と「そう思う」の51.7%を合わせ、約65%が有効であると回答した。この結果は、非金銭的報酬が「人材定着」に繋がる有効な手段としての期待値が高いことを明確に示したとする。

調査結果では、金銭的報酬に投資が偏っている現状が示されましたが、結果を総合すると「金銭的報酬に注力せざるを得ないが、本質的には非金銭的報酬こそが定着に重要である」という、企業の葛藤と未来への期待が読み取れるとしている。
また、企業が今後、ベースとして金銭的報酬を確保しつつ、非金銭的報酬により人材定着を強化するという、バランスの取れた報酬へとシフトしていく必要性を示唆しているとしている。企業が持続的に成長し、多様な人材が長く活躍できる組織を築くためには、給与のほかに働きがいや良好な職場環境といった非金銭的報酬を、人への投資の中核に据え、その効果を測定・検証しながら戦略的に推進していくことが求められることを挙げている。



