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人手不足倒産、過去最多に 25年度上半期  帝国データバンク 「労働集約型」業種増加目立つ

人手不足倒産、過去最多に 25年度上半期  帝国データバンク 「労働集約型」業種増加目立つ

2025.10.23

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人手不足倒産、過去最多に 25年度上半期  帝国データバンク 「労働集約型」業種増加目立つ

2025年度上半期(4~9月)の人手不足倒産は214件発生し、上半期としては3年連続で過去最多を更新たことが、帝国データバンクによる調査・分析でわかったもの。特に道路貨物運送業や老人福祉介護などの「労働集約型」の業種での増加が目立った。

 

25年度上半期の人手不足倒産は214件で、特に道路貨物運送業で急増した。従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒(法的整理、負債1000万円以上)は、前年同期の163件から51件増加し、過去最多を3年連続で更新した。

 

業種別では、軽貨物を含めたトラック運送業を指す「道路貨物運送業」が33件となり、前年同期19件からプラス14件の大幅増であった。ドライバー不足による受注の減少、人件費の高騰が続くなか、人材確保が追いつかずに事業が存続できなくなるケースが相次いだとしている。また、介護スタッフの不足が続く「老人福祉事業」が11件で、前年同期比プラス3件。派遣人材の不足に悩まされている「労働者派遣業」は8件で、同プラス5件といった、労働集約型のサービス業を中心に人手不足倒産が増加。

 

今年7月に実施した「価格転嫁に関する実態調査」によると、コスト上昇分の販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は全業種で39.4%となり、2年半ぶりに4割を下回った。特に人手不足倒産が急増した道路貨物運送業では28.6%と、全業種と比較して10ポイント以上低い水準にある。

 

足元では人件費に加えて原材料やエネルギーなどあらゆるコスト高騰に直面しているが、それを運賃に転嫁することは容易ではなく「人件費や資材等が値上がりしており、利益確保が難しい」といった、苦しい経営状況が聞かれているという。

 

そうしたなかで2025年度は、最低賃金の改訂額の全国加重平均は、1121円と昨年度から66円引き上げられ、上昇幅は過去最高となった。今後も賃上げ機運は継続すると見込まれ、賃上げ余力のない中小・小規模事業者を中心に「賃上げ難型」の人手不足倒産が高水準で推移する懸念があるという。労働者から「選ばれる企業」となることが、人材確保の観点では欠かせないという。賃上げのほかにも研修制度や福利厚生の充実など、労働者にとっての働くメリットを増やしていくことが、企業の魅力アップに向けて重要となるとしている。

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