
米国ハーレーダビッドソン社(HDI)は2024年度の通年連結業績と2025年度の見通しを公表した。売上収益は前年比11%減の51億8700万ドル(米ドル152円/7884億2400万円)、営業利益が47%減の4億1700万ドル(633億8400万円)、親会社に帰属する純利益は前年比36%減の4億5500万ドル(691億6000万円)であった。2025年通期業績は、HDMC(ハーレーダビッドソンモーターサイクルカンパニー) の売上高は横ばいから5%減などと見通す。
連結での売上収益は前年比11%減少した要因は、主力事業のHDMCの収益が15%減少したほか、電動モデルのLiveWire の収益が 1200万ドル(18億2400円)減少した影響としている。ただ、HDFS(ハーレーダビッドソンファイナンシャルサービス) の収益が9%増加したことで部分的に相殺した。連結営業利益は前年比47%減少であった。これはHDMCの営業利益が58%減少したことによるもので、HDFS の収益が6%増加したことで部分的に相殺。LiveWireの営業損失は予想通り1億1000万ドル(167億2000万円)であった。
HDMCの売上収益は前年比15%減少の41億2200万ドル(6265億4400万円)で、営業利益は同58%減少の2億7800万ドル(422億5600万円)、営業利益率が6.9ポイント下がり6.7%であった。全世界での二輪車出荷台数は14万8862台で、前年比17%減少した。
HDMCの収益は、販売台数の減少と不利な正味価格設定により15%減少したが、出荷構成のプラスの影響により部分的に相殺された。粗利益率は 2023 年と比較して 4.3 ポイント低下となる。粗利益率の低下は収益要因に加え、マイナスの営業レバレッジと正味出荷構成のマイナスの影響によるもので、物流費と原材料費の低下による恩恵により部分的に相殺されたとしている。
電動モデルを除く世界での販売台数は、前年比7%減少し15万1200台であった。地域別では、北米が前年比4%減少の10万2000台、欧州・中東・アフリカのEMEAは同11%減少の2万4100台、アジア太平洋は同18%減少で2万2200台、ラテンアメリカは前年同の2900台。
北米ではツーリング、トライク、CVO(メーカーによるカスタムモデル)の小売販売が8%以上増加した。ディーラーの新車在庫レベルは、前年比4%以上減少して年を終えた。EMEAでの低迷の大部分は非中核オートバイの低迷が影響した。アジア太平洋地域のAPACは日本と中国の低迷により減少した。
HDFS の売上収益は10億3900万ドル(1579億2800万円)で前年比9%増加、営業利益は2億4800万ドル(376億9600万円)で同6%増加した。2024 年通年の営業利益率は24%となった。
LiveWireの収益は、EV バイクと STACYC 電動バイクの販売台数の減少により、前年比 31% 減少し2600万ドルであった。営業損失は 1 億 1000 万ドルで、前年より700万ドル減少した。LiveWireの出荷台数は前年比7%減少の612台であった。
ハーレーダビッドソンのヨッヘン・ツァイツ会長・社長兼CEOは「2024年は消費者の信頼感に影響を与える高金利環境など、裁量的製品に対する継続的な周期的な逆風により、当社の業績が大きく影響を受けると予想しています」と述べる。さらに「新しいストリートグライドとロードグライドのツーリングバイクの発売は、米国のツーリングセグメントの約5%の成長に貢献し、24年のハーレーダビッドソンの市場シェアを74.5%に押し上げた」
「ハードワイヤー戦略の一環として下した決定と大胆な行動は、将来に向けた基盤を強化し続けている。業界は過去数年間、あらゆるレベルに影響を与える多くの課題に直面してきましたが、私たちは消費の増加を最大限活用できる立場にある」などとしている。

ツァイツ会長・社長兼CEO(撮影:2023年6月)
◆2025年の通期の予想
HDMCの売上高は横ばいから5%減、営業利益率は7.0%から8.0%を見込む。HDFSでは営業利益が10%~15%減少、電動バイクの販売台数は1000~1500台、営業損失は7000~8000万ドル。ハーレーダビッドソン社の資本投資額は2億2500万~2億5000万ドル(342億~380億円)としている。
2025年モデルCVOロードグライド ST