
学校法人グロービス経営大学院などを展開するグロービスとヤマハ発動機は共同で、新規事業創造を担うリーダーの育成を目的とした研修プログラムを始めたとしている。国内の異業種企業11社が参画する。
プログラムにより次世代のリーダーを育成し、国内企業の新規事業開発を加速させる。両社でプログラムの企画・設計を行い、ヤマハ発動機のほかに花王、小野薬品工業、セガサミーを含む11社から、新規事業開発を担う社員が参加する。
グローバル市場での競争激化や技術の急速な進化にともない、既存の企業ドメインを超えた新規事業創出が求められ、多くの企業が新たな価値を提供する事業開発に取り組んでいる。しかし、事業開発などの推進役となる人材不足が課題、気候変動やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを通じ、企業が社会的責任を果たしつつイノベーションを実現することへの期待も高まっている。
こうした背景から、多様な視点と高度な判断能力を持つリーダーが企業変革を牽引する存在として重要になっていることから、同プログラムでは、異なる業種の参加者との連携や視点の共有を通じて、イノベーションを創出できるリーダーを育成していくとしている。
参加者には他業界の成功・失敗事例や多様な視点を学び、問題解決能力や新規事業推進に必要な判断軸を身につけてもらうというもの。
「感動創造企業」を目的にヤマハ発動機は、2030年に向けた長期ビジョン「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」を2018 年に発表。今後の6年間における「新中期経営計画」を今年3月に発表している。同計画の基本方針では二輪車やマリン事業の「コア事業の競争力を高め、人の可能性を拡げる新技術を獲得し、人の悦びと環境が共生する社会をヤマハ発動機らしい挑戦で実現する」ことを掲げる。また、ロボティクスやSPVなどの「戦略事業」、そして事業開発での「新規事業」へ取り組んでいくとしている。
ヤマハ発動機のコア事業である二輪車の世界市場での出荷台数は、2024年は前年比2.8%増加で496万1000台であった。新型コロナまん延が始まった5年前の2020年以降、個人での移動手段としてなどで出荷台数は増加してきたものの、伸び悩みがみられなくない。伸び悩みはヤマハ発動機に限ったことではない。海外メーカーを含めて同様だ。
ピーターFドラッカー氏が挙げる「今日の事業」といえる、ヤマハ発動機でいえば二輪車を中心としたコア事業を強化しつつも、将来を見据えた「明日の事業」の創造と事業を育てる必要があることから、同プログラムへの取り組みは新規事業への強化の一環といえる。
プログラムの概要
・参加者:ヤマハ発動機を含む11社の新規事業開発担当で構成
・参加企業:ヤマハ発動機、花王、小野薬品工業、セガサミーホールディングス、パーソルテンプスタッフ、 テルモ、ブラザー工業、パナソニック、くらしアプライアンス社、古河電気工業、ヤマハ、BlueLab
・会場:横浜シンフォステージ(みなとみらい)を中心に、都内各所
・実施期間:2025年3月~2025年8月(月2-3回実施予定)
・プログラム内容:顧客視点体験、現代アートセッション、スタートアップ企業や有識者の講演、事業開発ナレッジの理解確認、新規事業の質の高い判断軸を作るためのグループディスカッションなど
グロービスについて
同社は1992年に設立。以来「経営に関するヒト・カネ・チエの生態系を創り、社会の創造と変革を行う」ことをビジョンに掲げ、各種事業展開を進めてきた。「ヒト」では、学校法人「グロービス経営大学院」「グロービス・エグゼクティブ・スクール」「グロービス・マネジメント・スクール」、企業内研修事業を行うグロービス・コーポレート・エデュケーションとeラーニングやオンラインクラスのほか、動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」などを提供する。
「カネ」の面では、ベンチャー企業への投資・育成を行うベンチャー・キャピタル「グロービス・キャピタル・パートナーズ」。「チエ」の面では、出版事業ならびにオウンドメディア「GLOBIS 学び放題×知見録」により、これを推進するなど多面的に取り組んでいる。