ヤマハ発動機は、来年1月に新しい人事制度を導入する。新制度では社員個人が「目指すキャリア、チャレンジの実現」と「長期ビジョン実現に向けたチャレンジ」の両立を目指し、一般職と定年後の再雇用社員などのエキスパート職を対象にしている。
新しい人事制度では、一般職は個人の強みを生かした自律的なキャリア形成に向け、これまでの役割を超えたチャレンジに取り組む行動や結果を、年功にとらわれず評価していく。同時に期待される行動や発揮されたパフォーマンスにふさわしい報酬としていくもの。
これまでのC職という「総合職」・G職という「業務職」・P職という「製造職」を、新制度では統合した共通の等級体系に変更する。昇格の申請要件からの在級年数廃止や飛び級導入など昇格要件・登用の運用方法も見直す。
これにより社員の適性や志向を生かした自律的なキャリア形成を促進していく考え。新制度では評価手法も、同社が掲げる企業目標の「感動創造」に向けた各等級で発揮すべき行動は何かという観点であるコンピテンシーと、業績を評価して結果を総合して基本給・賞与・昇格に反映させていく。
60歳定年後に再雇用制度で働く社員などの「エキスパート職」は、働き方の選択肢を複数設け、個人の働き方の実態に応じて役割を付与し、それに見合った報酬とする新制度を導入していく。シニアであってもチャレンジを後押しすることを目指し、現役同等の活躍を条件に定年前の報酬水準を維持する。働き方や短日勤務など、個人が役割・働き方を選択できる環境も用意する。
管理職である「基幹職」は、すでに2024年1月から、強みを活かしたキャリア形成実現の後押しを目的に、各基幹職の役割を明確化し、役割を超えたチャレンジに取り組む行動や結果に基づいた処遇を行う新人事制度を導入している。
部長やグループリーダーなど職制上の役割を担う「ラインマネジメント職」に加え、専門技術や知識
を活かした経営戦略上重要な役割「ストラテジーリード」職を新設するなど、これまでの能力をベース
とした報酬制度から、役割の大きさに応じて処遇する報酬制度に変更としていく。
同社では昨今の社会の急速な変化に適応・先行していくためには、個々が目指すキャリアを実現でき、チャレンジが後押しされるような制度が必要としている。2030年に向けた長期ビジョン「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」の実現に向け、人的資本投資を加速させ従業員一人ひとりが自分なりのチャレンジを見つけ、挑戦していくことが、“感動創造”につながると考えている。