オートバイユーザーの環境整備の改善などに取り組む、全国のオートバイ販売店組織であるAJ(全国オートバイ組合連合会)の大村直幸・会長は今年2月下旬、AJ茨城(茨城県オートバイ事業協同組合)が開いた通常総会に招かれ、AJの活動・成果についての講演を行った。大村会長はこの中で、AJの存在がなければ、「昨年は、50㏄以下の原付一種の出荷台数はゼロであった」などとして、昨年の出荷台数の約9万3000台はAJが作ったのに等しいなどと、AJの存在の重要性を強調した。
国土交通省と環境省による排気ガス規制で2020年に原付一種の生産が、22年10月末までと政府内で決まっていた事案を、大村会長らが両省に働きかけたことで生産が25年11月にかろうじて延期になったことを取り上げたものだ。
AJは全国のオートバイ販売店の各都道府県にある協同組合の連合会組織。全国47都道府県のうち昨年23年で42都道府県までに協同組合の開設が拡大。全国に2000店のオートバイ販売店が組合員になる。
大村会長はAJ茨城の講演で、内容も重要だが42都道府県に協同組合が拡大し数があることで「政府もAJの意見を聴いてくれるまでに成長した」などと規模、組合数の拡大は政府に対して重要な要素だとした。「各県のAJでは地域ごとに様々な考えがあるが、各組合で組合員を増やすことはそれだけでも大きな意義がある」と各組合の拡大の重要性も訴える。
AJはこれまでに大型免許取得制度の改定や高速道路二人乗り、二輪駐輪場の開設、高速道路の速度規制・料金区分、ETC助成とツーリングプランでの割り引きなどの様々なライダーのオートバイ環境の改善に取り組み結果を上げてきた。
しかし、「AJが存在しなかったら恐らく現在は、日本では1万台前後を販売するハーレーダビッドソンをはじめ、輸入車メーカーは撤退していただろう。さらには国産メーカーの販売ネットワークであるホンダドリームもカワサキプラザなどの販売ネットワークの発想の企画にも各メーカーでは達していなかったのではないか」などと言い放っている。
以下、大村会長が述べた50cc原付一種の生産期限延長と、警察庁が新基準原付を承認するまでの背景を取り上げた。