ビー・エム・ダブリュー株式会社(長谷川正敏・社長)の二輪部門BMW Motorradは1月16日、新車販売でオンラインとリアル店舗を融合させた販売体制を本格的に始動。ユーザーがスマートフォン(スマホ)などからオンラインで、国内の新車在庫から購入希望車両を検索でき予約が行なえるようにした。納車やアフターサービスはディーラーで行う。
BMW Motorradは公式ウェブサイト上に、ユーザーが購入を希望する車両を国内にある新車在庫の中から検索・予約ができる専用ページ「STOCK LOCATOR」を開設、サービスの利用を始めた。国内の新車在庫をリアルタイムで確認でき、購入希望車両にはオンライン上で予約金の支払いができ、7日間車両を購入予約として確保も可能とする。選択した車両はユーザーが希望するディーラーで購入の契約ができ、納車とアフターサービスが受けられる。
これまではユーザーが車両を購入する際、ディーラーに出向いて店舗にある限られた店頭在庫の中から選ぶ、もしくは希望のモデルや車体カラーの車両を取り寄せてもらったり、他の複数のディーラーに出向いて希望車両を探すなど、時間や労力がかかり負担となっていた。
STOCK LOCATORは、BMW Motorradの新しいバイク購入体験をサポートするサービスとしている。オンラインの同サービスでユーザーの購入機会が拡大でき、リアルなディーラー店舗では同社ブランドの世界観、体験の場として、それぞれの役割が活かされている販売体系といえそうだ。
製品やサービスの購入の仕組みづくりであるマーケティングのポイントとしては、従来からの「4P」といわれるプロダクト、プライス、プレイス、プロポーションに加え、現在では1993年に米・ローバート・ラウターボーン教授が唱える「4C」であるカスタマーバリュー(顧客価値/ソリューション=課題解決)、カスタマーコスト(顧客コスト)、カスタマーコンビニエンス(顧客の利便性)、カスタマーコミュニケーション(顧客との交流)も重要視される。
同社のオンラインでの車両在庫検索、予約が可能になることから、ユーザーはディーラーに出向かなくても希望車両を手に入れる機会が大幅に広がる。ユーザーは店頭に行かなくても現在は、ウェブサイトやSNSなどで製品情報の入手が容易になり、購入意思が決まった時点で欲しい車両が検索できることは、ユーザーにとって4Cである価値・問題解決、時間的コスト、利便性が高いといえる。
一方で、人手不足にあるディーラーでも、保有在庫の削減、商談時間の大幅な短縮が望めメリットが大きい。ただし、ユーザーのSTOCK LOCATORの利用を高めるには、国内ディーラーの店頭での実売価格がSTOCK LOCATORで掲載される車両価格と同レベルな適正価格で提供されることが前提となるだろう。そうでなければユーザーは従来同様に、店頭に商談に訪れることになる。ユーザーのSTOCK LOCATORの利用が高まれば、ディーラーは商談時間の短縮、同時に適正な利益も確実に実現可能となるものとみられる。