スズキは「世界中に、ワクワクの、アンサーを。」をテーマに、陸・海に加え、空への事業拡大を強調。今年で創立103年を迎える同社は、これまでの事業のワクに捉われない、将来のカーボンニュートラルに向けた多様な取り組みを、スズキらしいモビリティとサービスで、ワクワクを体感できる展示、演出とした。
鈴木俊宏・社長は、原点は「ユーザーの課題を解決したい」との考え。創業者の鈴木道雄氏は、母親を楽にさせたい思いから織機を製造した歴史を振り返り「これがスズキのワクワクの第1号」と述べた。さらに
「これまでの事業のワクを『空』にも拡大。スカイドライブとの協業では来年スズキグループ工場で、空飛ぶクルマの試作機の製造を始める。2025年に開催の大阪・関西万博での飛行実現に向け開発を進めている」として、映像で大型のドローンタイプの試作機を映写した。
同社はこれまでの事業のワクに捉われず、空とクルマや電動パーソナルモビモビリティなど、様々なスタートアップ、異業種とともに協力しながらユーザーにとって価値ある新たなモビリティを提案。新しいモビリティへの挑戦において、カーボンニュートラルへの取り組みは欠かせないことから、同社は各方面、各地域に適したことなど、適所・適材のカーボンニュートラルへの取り組み、いろんな方法や考えを直接現地に赴き調べ、そしてアンサーを見つるとしている。EVをはじめCNG(圧縮天然ガス)や、水素などいろいろな燃料の可能性でのカーボンニュートラル実現に挑戦していくなどとした。
そうしたワクワクのアンサーを同ショーでは紹介。二輪車では「e-choinori」を出展。ベース車は2003年に発売し話題を呼んだ50㏄スクーターの「チョイノリ」。気楽に近距離移動ができる電動モビリティ。アシスト自転車の電動ユニットを採用し、パナソニックサイクルテック製の電動アシスト自転車のバッテリー、駆動ユニットを使用した原付一種相当のEVスクーターとなる。
同社はカーボンニュートラルの実現に向けたマルチパスウェイでの取り組みの一環で、水素エンジンの研究開発を進めている。この水素エンジンを動力とする市販モデル「バ―グマン400 ABS」を披露。70MPaの水素タンクと水素エンジンを搭載した試験車両のカットモデルを展示。電動パーソナルモビリティでは「SUZU-RIDE」一人乗りの電動モビリティという、新たな車両区分の特定小型原動機付自転車で電動キックボードのような手軽さで、転倒しづらく四輪で安定した走行が可能。毎日の生活や通勤・通学を楽しくする移動モデル。
EV四輪車では、世界戦略車の第一弾の「eVX」、本格的な走行性能。電子制御の四輪駆動技術を進化させ、SUVの本格的な走行性能を実現するEVモデルで、航続距離は500kmとしている。軽ワゴンのEVモデル「eWX」は外観もシンプルで、操作が分かりやすいモデル。
世界中のどんな人にも移動の自由を実現してもらいたいとする思いで、新しい小型電動モビリティでは四輪で安定走行が可能な一人乗りの「SUZU-RIDE」は、街中で余裕を持って走れ、毎日の生活に密着したできるもの。さらに積載量を増やした「スズカーゴ」も特定小型原動機付自転車で、電動キックボードのような手軽さを持ちつつ転倒しづらく、四輪で安定した走行が可能な一人乗りの電動モビリティ。遊びや仕事を楽しくするタフタ使い方にも対応できる。
困りごとを解決する一つとして、階段や段差は課題で「MOQBA」(モクバ)は、車輪と4つの足を持たせることで、階段の上り下りができ、平地では車輪を使い移動できる次世代四脚モビリティ。ベースとなるシャシーとアタッチメントを組み合わせるこで「椅子モード」「立ち乗りモード」「担架モード」に変えることが可能という。緊急時などにクルマが立ち入りにくい場所でも人とモノを運ぶモビリティとしても地域社会に貢献できるとしている。
この他にも、海洋での船外機で、軽自動車に詰めるサイズでコンパクトな船外機で、電池パックはポータブル電源としても使えアウトドアライフにも利用できるという。また、2020年より海洋プラスチックごみに焦点を当てた新たな取り組み「スズキ・クリーン・オーシャン・プロジェクト」を進めていることから、世界初のマイクロプラスチック回収装置を標準装備した中型船外機も販売している。
同社は陸・海・空へとの事業領域を広げ、ユーザーへモビの新しい価値を提案。マルチパックウェイでのカーボンニュートラル社会の実現を目指す。ただ、現在の様々な燃料やバッテリーだけで補おうとするのではなく、バイオマス資源の活用にも着目している。この一環としてインドで約3億頭の牛がいるといわれることから、牛ふんから生成したバイオガスで走るのが「ワゴンR」を開発。同社によると牛10頭の1日の牛ふんが、クルマ1台の1日分の燃料になるとしている。さらに牛ふんを扱う農村の所得向上に寄与し持続可能な研究開発にも貢献できるとている。