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【バイク業界「ウォッチ」.4】 「オートバイの運転の腕前」とは 千葉オートバイ事業協同組合・専務理事/読売自動車大学校非常勤講師 歌代徹氏

【バイク業界「ウォッチ」.4】 「オートバイの運転の腕前」とは 千葉オートバイ事業協同組合・専務理事/読売自動車大学校非常勤講師 歌代徹氏

2022.01.15

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【バイク業界「ウォッチ」.4】 「オートバイの運転の腕前」とは 千葉オートバイ事業協同組合・専務理事/読売自動車大学校非常勤講師 歌代徹氏

オートバイはご存知のように前後で2輪しかありません。運転の際には何かしらの操作をしないと地球の引力に負けて倒れてしまいます。オートバイはアクセルを開けて、後輪に前へ進む力(駆動力)を与えると引力に対して直立し、真っ直ぐに進むように設計された乗り物です。また、速度が上がるほど安定し動きますが、速度が落ちるほど不安定になっていきます。4輪車と違ってカーブを曲がる際には、カーブの内側に傾斜することで、遠心力と釣り合わせ、また、傾斜させることで、ハンドルが傾いた方に切れ、曲がり易くなるように設計されています。

従ってオートバイのタイヤは路面との摩擦で容易にするため、4輪車のタイヤと違って路面と接地する部分が丸くなっています。使い方によってはセンターばかり磨耗して、四角くなってしまったタイヤはオートバイの動きに対してネガティブな方向に働くことがあります。最近の車両はディスクブレーキを採用する車両が多くなってきていますが、ディスクブレーキはドラムブレーキに比べコントローラブル(操作に対する制動力の増減が判り易い)ですし、点検、保守がやり易いメリットもあり採用されるケースが多いのだと思います(ABS装着をにらんでと言うこともありますが)。

一方で、ドラムブレーキにも良い点もありますが、構造上で特にコントロール性に関しては、ディスクブレーキの方が操作については有利であります。サスペンションのイニシャル調整を備える車両も増えてきています。主にリヤサスペンションのイニシャル調整(高さ調整)ができるものが多いでのすが、前下がりにも後ろ下がりにも調整ができ、車両の姿勢を変えることでハンドリング特性(セルフステアの効き具合など)を変えることも可能です。

車両の性格でもサーキットコース志向、ツーリング志向、オンロード、オフロード兼用、速度レンジ(高速ユースかタウンユースか)、デザイン優先か実用優先かなど、最近ははっきりした性格を持つ車両も多くなってきています。車両の重心位置や重さの分布、車両重量そのものやトルク、馬力の出方、ホイールベースやスイングアーム長さ、キャスター角やトレール量、ハンドル、シート、ステップ位置などが車両の性格を決めています。もちろん材料の材質も重要で、車両設計者は意図を持って、かつコストも意識しながら決定しています。

オートバイの特性や性格をもっといえば、車両の設計段階での想定、ユーザー志向などをつかんでおくと、オートバイの特徴(クセともいう)をつかみやすくなり早く自分のオートバイに慣れたり、適切な操作が行えるようにもなると思います。当然、乗り手であるユーザーの身長、体重、経験などによって、調整したり、調整範囲を超える場合は部品を交換したりすることで、オートバイはもっと操縦しやすくなりますが、設計意図を超えての要求に対しての変更はとても乗りづらい、危険な乗り物になる可能性もあるので注意が必要です。

どのオートバイも万能ではなく、セグメントを絞って開発、製造されており特製や得意分野や不得意分野があります。オートバイの得意分野を生かして乗れる運転手が運転の腕前の良い人であるといえるでしょう。

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