トライアンフモーターサイクルズジャパンは6月15日、英国本社ニック・ブロアーCEO(最高経営責任者)らを招きカンファレンスを行った。同日、長野県の「トライアンフ松本」の開店セレモニーの場で行ったもの。
参加したのはブロアーCEO、ポール・ストラウドCCO(チーフ・コマーシャル・オフィサー)、マルセロ・シルバ アジアパシフィック責任者。カンファレンスではトライアンフモーターサイクルズの歴史や新モデル、電動バイクとモトクロス世界選手権への取り組み、トライアンフMの世界市場、および日本での販売実績などについて取り上げた。特に日本での2025年末までの販売目標にも言及し、トライアンフMの成長を強調した。
【ブロアーCEO/オフロード車拡大、若いライダーへアプローチ】
この中でブロアーCEOは「トライアンフはイギリスのモーターサイクルブランドの元祖。他にはない歴史がある」とした上で、「英国を故郷とする、若く野心的なバイエルン人のジークフリード・ベットマンの手によって、英国スタイルと高性能の代名詞になり世界中に広まった」
「1901年の最初のプロトタイプは、自転車に2.4馬力の単発エンジンを取り付けたもので、1937年にエドワード・ターナーが史上初のパラレルツインである、伝説的なスピードツインを生み出し、発売されたこのエンジンは時速90マイルを実現。トライアンフのアイコン、モーターサイクルで最も有名な1959年製ボンネビルT120です」
「ボンネビル・ソルトフラッツでのスピード記録の勝利を祝して、命名されたこのモデルは、それまでのパフォーマンスの基準を変え、スクランブラーからカフェレーサーまで、モーターサイクルの全く新しい流れを作り出し、今日でもその名を受け継いでいます」とトライアンフ復活以前の功績を述べた。
さらに1990年復活に向けては「1987年、旧トライアンフの事業が取引停止となったとき、 私の父であるジョン・ブロアーがその権利を買い取り、旧エンジニアリンググループから厳選し、新しいイノベーター達になれるデザインとエンジニアリングのチームを作り、時代に合わせた新たなトライアンフを復活させたのです」
「1990年に設立された新生トライアンフは、始まりの地であるミッドランドの中心部に本社と工場を構え、この33年間、モーターサイクルの革新と影響において、再びリードをとってきました。結果、トライアンフは今日のモーターサイクルの世界でも、プレミアムなポジションを確立し。販売台数、ライダー数ともに新記録を打ち立て、これからも、もっともっと新たな記録を樹立していきます」の歴史を取り上げた。
復活後、日本では四輪ホイールメーカーの株式会社レイズがトライアンフ正規輸入元として展開。2001年に英トラアインフ日本法人を開設している。
また、ブロアーCEOは「スクリーンの中でも、トライアンフは映画史に残る名場面で活躍しています」として、マーロン・ブランドやスティーブ・マックイーン、トム・クルーズ、ライアン・レイノルズ、映画主人公のジェームズ・ボンドもトライアンフと映画で登場したことを強調。さらにサッカー選手のデビッド・ベッカム、ブルース・スプリングスティーンやボブ・ディランといった、アメリカの伝説的なミュージシャンまでトライアンフのオーナーであることを上げた。
「そして現在、『クラス最高の』Tiger 900、Scrambler 1200、新型Tiger 1200を生み出し、史上最も成功したMXレーサー、リッキー・カーマイケルをはじめとする、オフロード業界の著名人たちの協力のもと、オールロード・オールデイ アドベンチャーを完璧なものにするために、私たちは革新し続け形にしています」
また「50~60年代、アメリカ・ユタ州の伝説的なボンネビル・ソルトフラッツで、地平線を追いかけるために選ばれたのが、新型『ツイン』による革新的な技術をベースとした、トライアンフでした。10年足らずの間にトライアンフが4回も記録を更新。ツインロケットを搭載した1000馬力を誇るカーボンストリームライナーで、トライアンフが、史上最速のスピードも記録しています」とは速さをアピールし、また、最初のTTレース、伝説のマン島TT、伝統の米国レースのデイトナ200でも数々のタイトルを獲得したとこを挙げた。
さらに「現在、世界をリードするレース選手権であるMotoGPにおいて、トライアンフは2019年からMoto2カテゴリーにクラストップのミドルウェイトスポーツである、ストリートトリプル765のエンジンを供給し、今やトライアンフのパフォーマンスと信頼性は、世界中で高い評価を受け続けています」と歴史と進化と信頼性を強調。
「いま、未来に向けて、私たちはすでに素晴らしいブランドストーリーの、次の章に向かって進んでいます。新しいカテゴリーに参入し、新しいベンチマークを設定する計画を立てています」とした上で、「その一端は、バジャージとのパートナーシップにより開発された、小排気量のモダンクラシックが、もう間もなく新製品発表となり、詳細が明らかになるでしょう。また、新ラインアップとなるレース用のモトクロスとエンデューロの発売日についても、間もなく発表となり2024年の世界選手権に参戦する、新しいファクトリーレーシングチームがキャンペーンを展開する」と述べ、発表は秒読みを示唆。
「そして昨年発表し、すでに多くの販売店で導入されている、OSET Bikesとの新しいパートナーシップを開始しました。オフロードバイクの裾野を拡大して、若いライダーへのアプローチに貢献します」として、新たなセグメントでの新ユーザー獲得、将来への成長を強調した。
【ストラウドCCO/日本で2025年末に年間6000台以上へ】
ストラウドCCOは「トライアンフ松本のオープンにより、国内のトライアンフ正規販売店は31店舗となり、そして全世界のトライアンフ正規販売店は800店舗となりました。昨年6月末、日本では長年の目標であった、正規販売店ネットワーク全体でトライアンフワールドブラックと呼ばれる、新しい店舗デザインへの移行を達成しました」と販売網拡大と新店舗デザインの進捗を報告。
さらに、この3年の日本市場の500cc以上の成長率を取り上げ、コロナ渦による二輪車への人気と需要の高まりにより、市場は25%成長したことを挙げた上で、「トライアンフは市場内で3番目に高い成長率30%を達成しました」これは日本での他の海外メーカーを大きく凌ぐ高い成長であるとこと強調。
世界の正規販売店網は、英国をはじめイタリア、フランス、米国、さらに中国と韓国で販売網が拡大していることを取り上げ、「トライアンフはディーラーネットワークの成長と、ニューモデルの継続的な進化により過去3年間、市場や主要な競合他社の成長率を上回る、国際的な大きな成長を達成することができました」近年の躍進を取り上げた。
今後についても触れ「実はここから6月以降の12ヶ月間、トライアンフでは6車種以上の新型車両の発売と、6つの既存モデルのメジャーアップデートを予定している」としながらも、詳細については避けて「最初の2つのモデルが今月(6月)27日に、ヨーロッパで最も高いビルである、ロンドンのザ・シャードで発表されます」と述べるだけに止めた。
最後にストラウドCCO は「これらのニューモデルの発売と、日本の素晴らしい正規販売店パートナーの方々のおかげで、2025年末には年間6000台以上のモーターサイクルを販売」と、日本での2年半後の販売目標に言及した。
日本で2年半後の2025年の年間販売台数6000台は、昨年2022年の3271台に比べ83.4%の増加を目指すことになる。