
ピアッジオグループジャパンは、テクノロジーとスタイルともに新基準とするライトウェイトスポーツ、アプリリア「RS457」を2月に発売する。
同機種は「RS」の称号をあたえた生粋のレーシングラインを備え、軽量でパワフルな水冷DOHC4バルブのパラレルツインシリンダーエンジンを搭載。アルミニウム合金製フレームにライド・バイ・ワイヤ、調整可能なトラクションコントロール、3つのライディングモードを備えたフル電子制御パッケージなどを装備した。
アプリリアのMotoGP マシンであるRS-GPのグラフィックを彷彿とさせる、黒、赤、紫を巧みに組み合わせたカラーを採用し、フロントエンドを強く特徴づけるウィングレットのapriliaロゴや、フロントホイールリムの赤いストライプなど、GPマシンのデザインから魅力的なインスピレーションを得たという。
新型2気筒を搭載する同機種は、アプリリアにとって技術的な面に加えて、歴史的な一歩を踏み出すモデルとしており、乗りやすく、楽しく、技術的にもスタイル的にも画期的なバイクに対する世界的な需要の高まりに応えたという。「RS」はスポーティさを表現し、長期に渡り成功したレースの歴史から導き出された革新性は、アプリリア独自の設計がバイク文化を形成してきた。同時にレース界で存在感を示した2ストロークカテゴリーでは優位に立ち、ワールドスーパーバイクでの勝利で技術的優位性は、後にMotoGPでも頭角を現した。
2020年からのアプリリア「RS660」の成功は、ミドルレンジスポーツバイクの世界に革命をもたらし、新たなセグメントを生み出したとしている。同様に「RS457」 はまったく新しいプロジェクトとして始まり、MotoGP マシンを含むすべてのアプリリアが製造されるノアーレ本社で考案、開発した。
【スタイル】
スタイリングは、バイクの歴史を築いたスーパースポーツバイクである伝統「RS」シリーズを踏襲したという。スタイルを特徴付けるウィンカーを内蔵したトリプルフルLEDヘッドライトユニットから始まるスリム化されたフロントエンドが、軽快でダイナミックな印象を与えるという。加えてヘッドライトユニットの中心から、数多くの風洞実験とCFDシミュレーションを通じて導入された MotoGPプロトタイプマシンを彷彿とさせる2つのエアロエレメントを経て、ダブルフェアリングへと通じている。
ダブルウォールフェアリングには、スリット状のスプリットとフレームに接続する特殊なスポイラーを採用し、走行風圧とエンジンやラジエーターからの熱気を逸らし、ライダーの快適性を高めた。ライディングポジションは、ステアリングトップブリッジの上に取り付けられたセパレートハンドルバーと低めにセットしたステップにより、スポーティなポジションでありながら街乗りでの快適性を完璧にバランスしたとしている。燃料タンクの形状もライダーの胸部とヘルメットにフィットするようにデザインとし、バイクとの完璧な一体感に貢献しているという。いかなる身長のライダーであっても、最大限のコントロール性とリラックスしたポジションを提供する。
スポーティでダイナミックなボディラインは、2 in 1エキゾーストの取り回しにも大きく影響しており、エンジン下部のサイレンサーはアンダーカウルと一体化しているかの様に美しく収められており、バイク後部のデザインに自由度が増し、リアステップブラケットの位置を適切に配置できたという。
800mmの低シートは、地面にしっかりと足がつくように細い形状としており、洗練されたテールフェアリングにはLEDリアライトユニットが組み込まれ、側面の2つのウィングレット形状のグラブハンドルが特徴的だという。広いパッセンジャーシートは、別売りのシングルシートカウルに交換を可能にした。
【ツインシリンダーエンジン】
新しいツインシリンダーエンジンを軸に構築し、排気量457ccが、同プロジェクトにおける中心的な役割の証として、新しいイタリアンスポーツバイクの名前にその数字を与えたとしている。水冷DOHC4バルブ並列2 気筒エンジンで9400rpm で最高出力35 kW (47.6HP) に達する。6,700rpmで43.5 Nmのトルクを発生し3000rpmで既に最大トルクの82%を発生するという。
バイクの乾燥重量は159kgで、フルード類や90%の燃料を搭載した際の車両重量を175kgに抑えることに成功したという。エンジン設計時のレイアウトは、軽量かつコンパクトな寸法を最適化するために選択され、シャーシ設計の面で大きな自由度が生まれたという。
エンジン後部にはスイングアームピボット機能も備え、コンパクト化と車体全体の軽量化に貢献しているという。エンジニアは、確固たる技術基盤を基に、体積の最適化、冷却水のバイパス回路と、ブローバイの回路をエンジンに完全に統合し、エンジンの外部からホース類を極力見えなくした。クランクケースは水平方向に2つに分割され、容積が削減され、より堅牢な構造を実現したという。シリンダーはクランクシャフトに対して6.5mmオフセットし、ピストンによるの押し込み摩擦を軽減する。カウンターシャフトとウォーターポンプにはメタルブッシュではなくニードルベアリングを採用し、ピストンピンにはDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティング処理を施した。
ギアボックスはシンクロギアのシャフトにもブッシュではなく、ローラーベアリングを使用し、さらにギアボックスのフォークアクスルには、特許取得済みの統合された潤滑システムを採用した。サイドカムチェーン駆動によって制御されるカムシャフトは中空で、バケットタペットを使用してバルブ駆動時の慣性を低減し、湿式多板クラッチはアシスト機能付きで、スリッパーシステムも装備したという。エンジンレスポンスは、ライド・バイ・ ワイヤ電子制御マルチマップスロットルによる、3 つのライディングモードからを選択ができる。
【シャーシ構造】
エンジニアによる洗練されたシャーシ設計は、WGPの125cc・250cc 2ストロークエンジンユニット時代から脈々と引き継がれ。同機種もノウハウの蓄積を注ぎ、同セグメントで唯一アルミニウム製フレームを採用したという。剛性と重量の最適なバランス実現のため、実走行によるテストセッションとコンピュータ支援エンジニアリング (CAE) による開発を通じてフレームの形状を最適化した。結果、可能な限り軽量化に特化したレイアウト、ダイナミックなパフォーマンス、すべてのアプリリアが持つ高い旋回性能を生むフロントエンドのフィーリングを実現するという。
フレームは、左右で縦に分割されたアルミニウム製スパーで構成され、エンジンはボルトで固定。スイングアームピボットの軸受け要素としての機能も有しており、スチール製のスイングアームがエンジンブロックに直接取り付けられた構造により、コンパクトで軽量、高剛性な車体設計にした。サスペンションは、あらゆる状況で最大限の楽しさとコントロール性を実現する調整機能を備え、経験の浅いライダーにも最高のライディングプレジャーを提供するという。
フロントには、プリロード調整機能付きφ41mm倒立フォークサスペンションを採用し、リヤも同様にプリロード調整機能付きモノショックを採用。ブレーキシステムは、フロントにφ320mmディスクとByBre製ラジアルマウント4ピストンキャリパーの組み合わせで、調整可能なブレーキレバーを採用。リヤはφ220mmディスクとByBre製キャリパーを装着し、2つのマップを備えたBosch製2チャンネルABSシステムとしている。フロントに110/70、リヤに150/60サイズのタイヤがスポーティな17インチのホイールに装着。
【電子制御デバイス】
電子制御デバイスは、ライド・バイ・ワイヤ・システム、3種のライディングモードでエンジンを制御し、トラクションコントロールは3段階に調整することが可能。アプリリア・トラクション・コントロール (ATC) は、選択したライディング モードに関係なく、ハンドルスイッチ操作で走行中でも常に調整可能。豊富な専用アクセサリーには、AQS (アプリリア・クイック シフト)も含まれスロットルとクラッチレバーを操作することなく、高速なギアチェンジを可能にする。
夜間の視認性を向上するバックライト付きハンドルバースイッチや、5インチのTFTカラーディスプレイを備え、極めて先進的なインストルメント・システムを採用。メーターにはインパクトのあるグラフィックで表示され、中央のスピードメーターとタコメーターの目盛りを配置。スマートフォンとバイクを接続して、豊富なメーターの機能をさらに拡張するApriliaのマルチメディア・プラットフォーム(Aprilia MIAシステム)を別売り設定。このシステムはスマートフォンのバッテリー消費を最小限に抑え、直感的なハンドルバースイッチを通じて音声アシスタント、通話、音楽再生を管理するインフォテインメント・システムを備えるという。
・税込価格85万8000円
・ボディカラー:レーシングストライプ