
7年ぶりに世界一のヤマハ二輪車整備士を決める「ワールドテクニシャングランプリ(WTGP)2025」が11月19日に行われる。ヤマハ発動機は専売店のYSPネットワークなどの販売店で高品質なサービス技術を提供するため、技術向上の一環として2002年に始めたもの。日本代表として青森県の「YSP八戸」で活躍する二輪車整備士の清野貴裕さんが出場する。
ヤマハの二輪販売ネットワークは世界180の国と地域に拡がり、優れた整備技術でユーザーのバイクライフを支えているのが、各店の整備士。ヤマハではどこ国や地域でも、ヤマハ基準の高品質なサービス技術を提供するため、世界統一基準の教育プログラムであるYTA(ヤマハモーター・テクニカル・アカデミー)を展開している。YTA認定整備士は、世界に約3万5000人におよぶ。WTGPは世界に広がる整備士の技術を競う世界大会として2002年に始めたもので、コロナ禍は中止していたことで今年は7年ぶりで9回目の開催となる。
今年の日本代表として出場する清野さんは「(日本ラウンドの決勝大会では)緊張して手が震えたり、頭が真っ白になってしまう場面もありました。でも、実技競技に集中しているうちにどんどん楽しくなってきて、“やっぱり整備って面白い!”とあらためて感じることができました」と述べており、強豪ひしめく国内大会を2度目の挑戦で制し、11月19日に開催されるWTGPで整備技術を競う。

日本代表である「YSP八戸」(青森県)の清野貴裕さん(左)
今年の大会スローガンは“Master Your Craft, Make Your Mark(技を極め、名を刻め)”を掲げ、スポーツモデルクラスとコミュータークラス合わせて19の国と地域、22人の選手が出場する。磨き抜かれた整備技術とユーザー対応力で「世界一のヤマハ二輪車整備士」の称号を競う。実技競技の設定では、原因不明のトラブルで預かった車両に「隠された複数の原因を探り当て、制限時間内に適切な修理を行う。原因を発見して修理を完了させて、会場にエンジン音が響いた瞬間、毎回大きな歓声と拍手が沸き起こるという。

WTGPには各地域の予選大会を勝ち抜いた精鋭たちが出場。写真は欧州エリア大会の様子
WTGPは二輪車ファンにとっても、整備室の中で自分の愛車がどのように扱われているのかを目にする好機でもある。「ライブ配信をご覧の皆さんも、オリンピック中継で初めて見る競技を楽しむように、ぜひ二輪車整備の最前線で活躍するプロの技や、ピリピリとした緊張感に触れてほしい」と、担当する同社カスタマーエクスペリエンス事業部の松村芳宏さんが述べる。見どころは「整備の技術だけではありません。お客さまに安心感を抱かせる対応も、じつは勝負の大きな分かれ目です」としている。
なお、WTGPの模様は実況・解説付きで世界にライブ配信される予定。