ピアッジオグループジャパンは新型「V85TTTravel」(トラベル)の受注を8月9日に開始、9月に発売する。新たなテクノロジーを採用し快適性、ウィンドプロテクション性能などを向上させた。
V85 TT は2019年、バイクによる冒険の黄金時代を彷彿とさせるスタイリングと、現代のトラベルエンデューロの価値観と機能性を両立させた新しいセグメントを創造、懐かしさを覚えるデザインと、最新のテクノロジーを巧みに組み合わせて誕生。新しいV85TTTravelの850㏄ユーロ 5+ Vツインエンジンには可変バルブタイミング機構を新たに採用することでパフォーマンスと快適なライディング性能の向上を実現したという。さらに装備の充実を図り、ツーリング バイクとしての基本性能をブラッシュアップしたとしている。
象徴的なスタイルは、よりモダンな解釈で進化し、タンク、サイドパネル、フロントマッドガードのライン、そして彫刻の様な 90°縦置き V ツインエンジンによって確立される基本的なデザインなど、本来の魅力を維持する多数のディテールを改良したという。ヘッドランプユニットとインストルメントパネルを固定するブラケットは、スチールパイプによるトレリス形状から、アルミニウム製ダイキャストに変更。リアグラブハンドルも同様にアルミニウム製が新たに導入し、パッセンジャーの快適性にも貢献。
燃料タンクの特徴は彫刻的な形状、さらにワイルドでダイナミックな印象を与え、シリンダーヘッドの真上にある“くぼみ”が、Vツインシリンダーとの自然なつながりに見せる工夫を施た。エンジンのアップグレードを象徴するシリンダーヘッドカバーも新たなデザインを採用。
搭載する853ccエンジンは、現在のすべてのMoto Guzziエンジンの構造スキームに従い、ローラータペットとアルミニウム製ロッカーアームを備えたタイミングシステムに、V85TT においてはチタン製のφ42.5 mm吸気バルブなどの優れたコンポーネントを導入当初より採用。新型エンジンは、トルクを向上させるために大幅な改良を施し、低回転でのスロットルレスポンスが改善した。
エンジン速度に応じてバルブリフトの作動法則を最適化する可変バルブタイミングの技術を採用した。可変バルブタイミングシステムは、カムシャフトと同軸に配置された位相バリエータの溝に沿って遠心力により移動する6個のボールを利用し、エンジン回転数が6500rpmを超えると作動し、カムシャフトを回転させて7000rpmに最大値でカムを7°(タイミングダイアグラム全体で14°) まで遅らせることができるという。
全開位置では、カムシャフトの巧みなタイミングにより、高回転域での吸気効率が促進、出力が向上。専用のタイミングセンサーがバリエータの位置を継続的に監視し、最適なエンジンパラメータ管理を可能にした。トルクの増加は3000rpmという早い段階で顕著になり、トルク曲線全体に広が3500 rpmまでに最大トルクの 90%を発生、最大トルクは5100 rpmで83Nmを発生する。
さらにスロットルレスポンスおよび低回転から高回転までフレキシブルに反応する。最高出力も先代モデルの76 hp/7500rpmから80hp/7750rpmへと飛躍的に向上。他の改良点は、ECU に重要なデータを供給するノックセンサーを追加した。
エキゾーストシステムは、ユーロ5+規格に対応させるため、3 つ目のラムダセンサーを追加。潤滑には2 つの同軸ポンプを使用したセミドライサンプ方式を採用した。セミドライサンプ方式は、別体のオイルタンクは必要とせず、ドライサンプ方式の利点をすべて備えオイルパンの小型化は、アルミニウム製のアンダーガードを装着、十分な最低地上高を確保する事に成功したとしている。
インジェクションシステムはφ52㎜のシングルスロットルボディに、マルチマップ ライド・バイ・ワイヤ スロットル制御を採用。スムーズで確かな燃料供給効率を最適化するほか、燃料消費量も削減するという。
空力におけるプロテクション性能では、広範囲にわたるCFD (数値流体力学) シミュレーションや数多くの風洞実験など、細心にわたりの改良。新しいウィンドスクリーンは、手動で高さを70 ㎜の範囲で5段階に調整できる。タンクの前部には新たに特許を取得したカバーを追加することにより、ライダーの胸部と顎に向かう空気の流れを効果的に減少させたるという。
TFTカラーディスプレイは、大型化し新設計5インチとし見やすく表示。ハンドルバースイッチも新しくなり、クルーズコントロールを含むすべての機能に、より簡単で直感的にアクセスできるとしている。
フレームは高張力スチールパイプで製作、独自のエンジンマウントを利用して頑丈なフレームワークを形成したという。オンロードでの正確性と安定性を向上さ、オフロード走行時の耐久性と安心感、快適性、安全性をさらに高めたという。リアショックアブソーバーには、便利なダイヤル式のスプリングプリロード調整機能が追加、バイクのセットアップを素早く行うことが可能としている。
サスペンションは前後とも170㎜の十分なホイールトラベル量を確保し、余裕のある 210 mm の最低地上高によってさらに高いオフロード性能を実現したという。 6軸慣性プラットフォームを搭載するなど電子制御も充実しており、加速度計とジャイロスコープを備えたこの高度なシステムは、路面に対するバイクの姿勢を検出し、走行から得られた入力を記録して処理、データをECUに送信することにより、電子制御の管理がさらに細かく正確になり、コーナリングABSやコーナリ ングトラクションコントロールの機能が有効化、リーンアングルに応じてブレーキ力とエンジン出力を調整する。
トラクションコントロール(MGCT)、ABS、ライド・バイ・ワイヤ スロットル レスポンスなど、すべての電子制御の作動調整は、ライディングモードを通じて簡単に切替が可能。ライディングモードではオフロード走行に特化したオフロードモードも設定。さらにカスタムモードも搭載、電子制御のレベルを完全にカスタマイズしてパーソナライズされたモードの作成も可能とした。
装備も充実させ、23ℓの燃料タンク。シャフトドライブ方式を採用し汚れやメンテナンスの点においても優位で、充実した装備を誇るロングツーリングを前提に開発。新デザインのアーバンサイドケースを装備、左側は容量27.5ℓ、右側は容量37ℓでフルフェイスヘルメットが収納可能。大容量ながら横幅の寸法を抑えた。
ヒーテッドグリップと左側のハンドルスイッチで温度調整が可能なライダー側シートヒーターや、スマートフォンを車両に接続してメーターパネルの機能を拡張できるマルチメディアプラットフォーム(Moto Guzzi MIA)も標準装備。、ハンドルバースイッチを使用して音声アシスタント、通話、音楽再生を管理するインフォテイメントシステムの利用が可能という。
【V85TT Travel 概要】
・税込価格:189万7500円
・カラー:デザートブロンズ
■主要装備:DRL 付きフルLEDヘッドライト、LED ウィンカー、コーナリングABSトラクションコントロール、クルーズコントロール、5ライディングマップ フルカラーTFT メーター、USB ソケット、手動調整式ツーリングスクリーン エアーディフレクター、アルミ製アンダーガード、ハンドガード、 MOTO GUZZI MIA マルチメディアプラットフォーム、アーバンサイドケース グリップヒーター、シートヒーター
■V85TT Travel 主要諸元
・エンジン形式:空冷4ストローク縦置き90°V型2気筒OHV 2バルブ(チタン製吸気バルブ)
・総排気量:853 cc
・ボア×ストローク:84×77 ㎜
・圧縮比:10.5: 1
・最高出力:80 HP (58.8 kW) / 7750 rpm
・最大トルク:83 Nm / 5,100 rpm
・燃料供給システム:電子制御インジェクション、Ø 52 ㎜シングルスロットルボディ
・ライド・バイ・ワイヤ
・燃料タンク容量:23ℓ(リザーブ5ℓ含む)
・クラッチ:乾式単板
・トランスミッション:6速リターン
・フレーム:高張力鋼管製フレーム
・フロントサスペンション:油圧式 Ø 41㎜テレスコピック倒立フォーク、スプリングプリロードおよびリバウンドダンピング調整式 トラベル量:170㎜
・リアサスペンション:アルミ製スイングアーム、右サイドシングルショック、スプリングプリロードおよびリバウンドダンピング調整トラベル量:170㎜
・フロントブレーキ:φ320 ㎜ステンレススチール製フローティングダブルディスク、Brembo 製対向4ピストンラジアルマウントキャリパーリアブレーキφ260 ㎜ステンレススチール製ディスク、2ピストンフローティングキャリパー
・フロントタイヤ:110/80 -19クロススポークチューブレスホイール2.50”×19”
・リアタイヤ:150/70 -17 クロススポークチューブレスホイール4.25”×17”
・全長/全幅:2240 ㎜/950㎜
・シート高:830 ㎜
・ホイールベース:1530㎜
・乾燥重量:211 kg(パニアケースを含まない)
・車両重量:243 kg(走行可能状態、燃料 90%・パニアケース搭載時)
・製造国:イタリア