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ホンダ 二輪電動開発「4つのコアバリュー」  伊で初の電動MC「WN7」公開

ホンダ 二輪電動開発「4つのコアバリュー」  伊で初の電動MC「WN7」公開

2025.11.18

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ホンダ 二輪電動開発「4つのコアバリュー」  伊で初の電動MC「WN7」公開

ホンダは二輪電動事業で、ホンダブランドが顧客に対して提供する「価値」について発表した。同事業では製品やサービスなどの提供で4つの価値を盛り込む。11月6日からイタリア・ミラノで開催された見本市EICMA 2025では、初の電動モーターサイクル「Honda WN7」も一般公開した。

 

同社は今年1月の二輪事業の説明で、2030年のグローバル市場で、電動二輪車の年間販売台数目標を400万台、2030年までに30機種の電動モデルの投入を目指すとしている。今年11月4日には二輪電動事業において新たな価値を創造することを目指し、新たに二輪電動事業のユーザーに提供する価値の約束であるブランドプロミスと、これに基づき提供する4つの「価値」であるコアバリューを定めた。

 

思うままの暮らし、思いがけない発見のある心地よさと興奮に満ちた世界を人々と共鳴することを目指しブランドプロミスを「Expected life. Unexpected discoveries」を掲げた。これに基づき二輪電動事業では4つのコアバリューを提供していく。

 

①不安や障壁から解放する

電動車だからこそ実現できる自由度の高い車体レイアウトやデザイン、制御・運転支援技術によって、ライダーの感じる不安や障壁を取り除き、ストレスフリーで自由な移動の喜びを実現。

 

②本能と感性を刺激する

ICE(内燃機関)車開発の長い歴史で培った高次元の「走る・曲がる・止まる」の基本性能と、電動車ならではの加速性能や静音性、ライディングに集中できる直感的なヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)が、操る喜びを最大限に高めてライダーの本能を刺激する。

 

③人と社会と共生する

無駄を削ぎ落とし洗練されたデザイン、電動車ならではの圧倒的な静粛性により人々の暮らしに溶け込むモビリティを目指す。コネクティビティ技術による車車間の協調制御、渋滞回避やより効率的なルート誘導による環境負荷低減にも貢献し、二輪車と人、社会が相互に心地よく共生できるモビリティ社会を創造する。

 

④知性を共鳴させる

環境変化に対し、リアルタイムで適応するUI(ユーザー・インターフェース)やアップデート機能で、購入後も使えば使うほどユーザーにパーソナライズされた二輪車へと進化させていく。また、ホンダが有するデータも活用し新しい提案を行うことで、ユーザーの一人ひとりに合わせたモビリティライフの可能性を拡張する。

 

二輪電動事業では先日、新たにビジュアル・アイデンティティを定め、製品マークでも四輪EVと統一した「Honda」のロゴタイプを採用することを発表した。

 

 

同社初の電動モーターサイクル公開

二輪電動車でブランドプロミスを具現化した初の電動もターサイクルとして、イタリア・ミラノで開催されたEICMA 2025で「Honda WN7」を公開した。同機種は同社が挙げるFUN領域向けた電動ネイキッドモデル。開発コンセプトを「風になる(Be the Wind)」とし、これまでのガソリン車では体験できなかった静粛性や走行中でも街中の人々の会話や笑い声、木々の葉がざわめく音など、自然と周辺の音や感覚を感じながら、同時にスムーズでトルクある走りと軽快なハンドリングで、風のように自由に走る楽しみを体験してほしいという思いを込めた。

 

Honda WN7

 

外観デザインは、「機能を研ぎ澄まし、本質を表現すること」を目指した。ライダーが触れるボディ部分はシームレスで滑らかな表面とし、独創的で力強いシルエットとした。採用したシグネチャーライトは特徴的な横一文字とし、今後ホンダの電動二輪車の顔として、共通アイデンティティーとして展開していくという。

 

カラーリングはブラックを基調とした車体色に、ゴールドカラーの部品をアクセントとした。シグネチャーライト同様に、グローバルで展開する電動二輪車にはこのカラーリングを採用していく。フレームやシャシーは、車体骨格には通常車体の前後をつなぐフレームが採用するが、WN7では車体の中心に配置したアルミ製バッテリーケースを骨格の一部とする構造にした。車体と前方のステアリングを保持するヘッドパイプと、車体の後方を保持するピボットブラケットは同じく車体中央に配置されたパワーユニットに直接締結。

 

フレームが存在しないことで、軽量化やスペースレイアウトの自由度が上がり、スリムでコンパクトな車体の実現。車両で大きな比重を占めるバッテリーパックを車体全体の中心に配置し、マスの集中化と軽快なハンドリングを実現するとしている。

 

駆動系では軽量コンパクトな水冷・インバーター一体型モーターを専用開発した。最高出力は50kWで排気量600㏄のガソリン車相当で、最大トルク100Nmで1000ccのガソリン車に匹敵する性能という。発進や停止時、郊外でのクルージング時でも、ゆとりのある走行を実現するとしている。モーターからの出力は新規開発したギアボックスを介してベルトドライブに伝達され、リアタイヤを駆動させる。

 

駆動バッテリーは新規開発した9.3kWhの固定式リチウムイオンバッテリーを採用。バッテリー充電には急速充電を可能にするCCS2※1規格と一般家庭にある普通充電Type 2という規格を採用。急速充電器により30分でバッテリー残容量20%から80%まで充電できる。普通充電では残容量0%から100%まで2.4時間以内で完了する。フル充電時の航続距離は140㎞としている。

 

WN7は、走行中のスロットルオフによる減速時は、モーターによって電力回生を行うと同時に、回生ブレーキを発生させスピードを減速させる。回生ブレーキの減速どの強さを、左手ハンドルスイッチ操作によって選択できるようにした。ブレーキを多用せずスロットル操作だけで極低速まで車速をコントロールしたり、少ない減速度で滑空するようなフィーリングで走行できるなど、ガソリン車とは異なる走行感覚を楽しめるようにした。

 

左手ハンドルスイッチとスロットル開度で速度を調節しながら前後進できる微速前後進機能(ウォーキングスピードモード)を搭載し、切り返しや街中の狭い駐車場スペースなどでも取り回しが容易に行えようにした。

 

同機種はホンダの二輪車生産の主力工場とする熊本製作所で生産していく。同社は今年1月28日に発表した二輪事業説明では、2030年のグローバルでの電動二輪車の年間販売台数目標を400万台、2030年までに30機種の電動モデル投入を発表している。

 

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