
スズキは10月30日から11月9日まで開催される「Japan Mobility Show 2025」 (主催:一般社団法人 日本自動車工業会)に出品内容を公開した。前回の“世界中”から、より“パーソナル・個人ユーザー”に向けたメッセージとして四輪や二輪をはじめ、次世代コンセプトモデルを多数披露する。
同社はコーポレートスローガンに「By Your Side」を掲げており、前開催の「世界中に、ワクワクの、アンサーを。」から、「あなたに、ワクワクの、アンサーを。」と、メッセージをより個人ユーザーへ進化させ、By Your Sideを体感してもらえる展示、演出とする。
軽乗用BEVコンセプトモデル「Vision e-Sky」、二輪BEVコンセプトモデル「e-VanVan」をはじめ、次世代四脚モビリティ「MOQBA(モクバ)2」、船外機などを展示。総合モビリティメーカーとしての技術を集結し、スズキが目指す「お客様ひとりひとりの困りごとの解決に寄り添う」インフラモビリティを提案する。さらに、電動モビリティベースユニット、家畜の廃棄物CBG(圧縮バイオメタンガス)事業などの取り組みも紹介するほか、軽トラック「スーパーキャリイ」の荷台を活用したスズキの用品販売コーナーも設け幅広く利用可能なことを提案する。
【二輪車】
◆遊びゴコロのあるBEVファンバイク「e-VanVan」(参考出品車)
同モデルは世界初公開。EVであってもバイクに乗る楽しさ、操るワクワクを感じたいというユーザーの願いを叶えるコンセプトモデルとしている。1970年代より人気を博した同社のレジャーバイク「VanVan」をモチーフに、独創的なスタイリングとデジタルテーマのユニークなカラー&グラフィックで先進性を表現。ファンバイクとしてEVの新たな楽しみ方を提案する。
・主要諸元(参考値)=サイズ:全長1810mm×全幅825mm×全高1050mm/車両区分:原付二種相当

e-VanVan
◆「GSX-8T/GSX-8TT」(市販予定車)
今年7月に発表した新型ネオレトロモデル「GSX-8T」「GSX-8TT」を初公開する。GSX-8Sをベースに、レトロとモダンを融合させたスタイリングデザインと、最新の電子制御を組み合わせ、走りに安心感・楽しさを享受できるミドルクラスモデル。
・主要諸元(参考値)=サイズ:全長2115mm×全幅775mm×全高1105mm/エンジン:4サイクル775cm3

GSX-8T
◆ペダル付折り畳み電動バイク「e-PO」(参考出品車)
「普段使いからレジャーまで、身近な移動をもっと自由に!」をコンセプトに、電動アシストとEVバイクを融合させた新ジャンルの原付一種相当のモビリティとしている。ペダルを漕ぐことで、強力なアシスト走行が可能なことに加え、アクセル操作のみでも快適に走行することができる。カーボンニュートラルな時代でも、環境に配慮しながら身近な移動や出先での移動を楽しみたいという願いを叶える電動バイクとして提案する。
・主要諸元(参考値)=サイズ:全長1531mm×全幅550mm×全高990mm/定格出力:0.25kW(原付一種相当)/航続距離:30km以上(航続距離は開発車両によるフル電動走行時の実測値)
◆二輪BEV世界戦略車第一弾 BEVスクーター「e-Address」(参考出品車)
今年1月にインドで開催された「Bharat Mobility Global Expo 2025」で発表したモデルを日本で初披露する。十分な航続可能距離と洗練された外観を持つ実用性に優れた原付二種相当のスクーター。「最新の技術を活用したバイクに乗って、日常生活をよりスマートにしたい」というユーザーの願いを叶えるモデルとして提案する。
・主要諸元(参考値)=サイズ:全長1860mm×全幅715mm×全高1140mm/定格出力:0.98kW(原付二種相当)/WMTC航続距離:80km

e-Address
◆海外仕様モデル「GSX-R1000R」(市販予定車)
今年8月に鈴鹿8時間耐久ロードレースで発表した「GSX-R1000R」を展示する。展示ではレース走行時のようなフルバンク状態を体験しながら撮影ができる体感フォトスポットも用意する。
・主要諸元(参考値)=サイズ:全長2075mm×全幅705mm×全高さ1145mm/エンジン:4サイクル999cm3

GSX-R1000R
◆二輪技術展示車の「水素エンジンバーグマン」
同社はカーボンニュートラルの実現に向けたマルチパスウェイでの取り組みの一環で、水素エンジンの研究開発を行っている。「バイクの楽しさのひとつである、排気音を楽しみながらも環境に配慮した乗り物に乗りたい」を叶えるモビリティとしている。ブースでは、Japan Mobility Show 2023で参考出品したモデルからの進化がわかるよう、カットモデルを展示する。

水素エンジンバーグマン
◆フレックス燃料車の海外仕様モデル「GIXXER SF 250 FFV」(参考出品車)
今年1月にインドで発売した、インジェクターや燃料ポンプ、エンジン制御等を改良してバイオエタノール85%の混合燃料が使用可能なフレックス燃料車(FFV)。植物を原料とするバイオエタノール燃料を使用することでCO2削減に貢献しながら、ガソリンの使用も可能として高い利便性を実現している。
・主要諸元(海外仕様モデル):サイズ:全長2,010mm×全幅740mm×全高1,035mm/エンジン排気量:249cm3
◆その他にも先日に市販した新型「DR-Z4SM」を展示予定。
【四輪車】
◆生活に寄り添う”ちょうど良い”軽乗用BEV「Vision e-Sky」(参考出品車)
軽自動車を「生活の足」として愛用されるユーザーの毎日に寄り添うEVとして、2026年度内の量産化を目指すコンセプトモデル。「ユニーク・スマート・ポジティブ」をテーマとし、前向きで明るい気持ちになれる、スズキらしいデザインを表現した。航続距離は270km以上としている。

Vision e-Sky
◆毎日の“働く”に寄り添うBEV商用軽バン「e EVERY CONCEPT」(参考出品車)
スズキとダイハツ、トヨタの3社で共同開発している、BEVシステムを搭載した商用軽バンのEVモデル。軽バンとしての使い勝手の良さはもとより、EVならではの静かで力強い走りを実現するだけではなく、非常時にはクルマの電気を外部に供給するなど、地域社会へ貢献できるモデルとして提案する。航続距離は200kmとしている。
◆「うれしい未来」のそばに寄り添う環境技術「フロンクス FFVコンセプト」(四輪技術展示車)
カーボンニュートラル実現に向けたスズキのマルチパスウェイでの取り組みのひとつとして、エタノール燃料を活用した環境技術のフレックス燃料車を紹介。スズキはユーザーそれぞれの地域にあったカーボンニュートラル実現の選択肢を広げていくことを目指すという。

フロンクス FFVコンセプト
◆その他に市販車の新型で「eビターラ」「クロスビー」「ジムニー ノマド」「スペーシア」を展示する予定。
【電動小型モビリティ】
◆次世代四脚モビリティ「フロンクス FFVコンセプト」(参考出品車)
2023年の同ショーで参考出品した「MOQBA」を技術的に進化させた「MOQBA(モクバ)2」を展示Sる。四脚のプラットフォームをベースに荷物配送仕様・バイク仕様など、ユーザーの多様な用途に対応できる様々なバリエーションを用意。

フロンクス FFVコンセプト
◆電動パーソナルモビリティ「SUZU-RIDE 2」(参考出品車)
2023年の同ショーで参考出品した「SUZU-RIDE」から進化させた「SUZU-RIDE 2」を展示。日常、商用、レジャーまで、いつでも楽しく軽快な気分になるスタイリング・使い勝手の良いラゲッジスペース・簡単で扱いやすい操作により、もっと気軽に移動を楽しみたいという願いを叶える電動小型モビリティとして提案する。
◆セニアカー40周年記念展示(参考展示)
同社のセニアカーは、1985年10月の発売から40周年を迎える。常に高齢者の足として生活に密着し、移動の自由を守り続けてきたとしている。40年を振り返る初代セニアカーET11と現行セニアカーET4DBの実機やセニアカーの歴史を紹介するパネルを展示。
【船外機】
◆船外機60周年記念展示(参考展示)
同社の船外機は、水上の「楽しむ」と「働く」を支える頼れるパートナーになることを目指し、1965年4月の発売から今年で60周年を迎える。ブースでは、初代船外機D55と現行のフラッグシップモデル「DF350A」の実機や船外機の歴史を紹介する。
◆「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」(参考展示)の取り組み
スズキは海洋プラスチックごみに焦点を当てた「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」を2020年に始動。これまでマイクロプラスチック回収装置の開発、水辺の清掃活動、船外機や部品の梱包資材からプラスチックを削減する取り組みなどを実施してきた。ブースではマイクロプラスチック回収装置を搭載した「DF140B」の実機や、スズキクリーンオーシャンプロジェクトで取り組んでいる水辺の環境保護活動をパネルや映像で紹介する。
◆フレックス燃料の「DF60A FFVコンセプト」(船外機技術展示)
カーボンニュートラル実現に向けたスズキのマルチパスウェイでの取り組みのひとつとして開発中の、エタノール燃料を活用したコンセプトモデル。世界で広がっているアルコール含有燃料に対応し、安心して使用できる船外機を提案する。
【事業紹介】
◆電動モビリティベースユニット「MITRA コンセプト」(参考展示)
MITRAコンセプトは、多様なロボットの足回りとして活用できることを目指し、開発中の電動ユニット。同モデルにパートナーとなる企業が、自律走行やAIなどの技術を組み合わせることで、物流や農業、土木建設など、様々な分野でロボットによる課題解決ができるよう、パートナーとともに目指すもの。ブースでは同モデルのほかに、LOMBY株式会社の自動配送ロボット「LM-A」や株式会社HBAの「屋外巡視点検ロボット」、オムロン株式会社の「作物育成モニタリングシステム」を展示する。

MITRA コンセプト
◆CBG(圧縮バイオメタンガス)事業
海外仕様モデル)「ビクトリス」(参考展示)・二輪技術展示車「ACCESS」(試験車両)は、酪農廃棄物の資源化により、インド農村の活性化や各種社会課題解決への貢献と、カーボンニュートラルに向けたマルチパスウェイ実現の両立を図ることができると考え、2022年よりCBG事業に取り組んできた。ブースでは、9月にインドで発表した「ビクトリス」の圧縮天然ガスと圧縮バイオメタンガス(CNG/CBG)仕様、「ACCESS」をCNG/CBG仕様とした試験車両や、同社がインドの酪農組合などと共同で立ち上げたバイオガスプラントのミニチュア模型などを展示する。
◆協業の都市交通システム開発のスタートアップ「Glydways」(参考展示)
Glydwaysは、軽自動車並みの小型電動車両を専用レーンで隊列自動運転させる、オンデマンドの都市交通システムを開発しているスタートアップ。スズキは「Glydways」と協業し、インフラ整備や運用コスト、車両台数を抑えながら必要な時に必要な台数だけ配車することが可能な、効率的で利便性の高い新しい交通システムにより世界中の都市の交通問題の解決を目指す。ブースではGlydwaysで使用する車両「Glydcar」の実車や想定される走行シーンなどをパネル展示する。