
バイク関係の販売店からメーカーに至るまで、バイク業界でも多くの関係各社が、インスタグラムやX、ユーチューブなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用している。ただし、「炎上」といった、社員やアルバイトなどの不適切なSNSの投稿により、企業ブランドや採用、売上にまで影響を与えている実態が浮き彫りになっている。コミュニケーション戦略におけるリスク管理について展開する一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)が、企業のSNSリスクに関する消費者意識調査で明らかになったもの。
同協会は企業の従業員によるSNS投稿炎上に対する印象・行動変容について、今年5月16~18日の期間にインターネット調査により、全国の一般生活者307人(20~60代、性別問わず)を対象に行ったもの。調査によると、企業のSNS炎上はもはや一部企業の例外ではなく、あらゆる組織が直面しうる“現実のリスク”となっているという。さらに、そうした企業の商品は、消費者の5割超が「購入をやめる」可能性が高く、9割弱が「見合わせる可能性がある」などとしている。対応次第で印象は「良くも悪くもなる」などが判明したとしている。
調査では、企業・団体の従業員・アルバイト、大学であれば教授や学生などが、不適切な内容をSNSに投稿し、所属先の名称が分かる形で問題となった事例(いわゆる「炎上」)を見聞きしたことがあるかの質問で、「よく見聞きする」は51.1%、「見聞きしたことがある」との回答は40.7%、「ない」が8.1%であった。同協会では91.8%が「従業員のSNS炎上」を見聞きしたことがあるとの結果を得たとしている。
そのような事例を見聞きした際、その問題を起こした従業員などが所属する企業・団体に対して、どのように印象に変わったかの問質問では、「非常に悪くなった」と答えた者が25.2%、「少し悪くなった」とする者が48.6%、「変わらない」が21.6%などと続く。全体として73.8%がネガティブ印象を持ったとしている。
また、質問では、普段利用している、あるいは購入を検討している企業の従業員の不適切なSNS投稿による炎上が起きた場合、その企業の商品やサービスを購入・利用したりするのかについては、「ほぼ間違いなく見合わせる、やめる」と回答した者は14.5%、「見合わせる、やめる可能性が高い」は36.9%、「見合わせる、やめる可能性がある」が36.2%、「少し気になっても継続利用する」は10.3%、「全く気にならない」は2.1%であった。見合わせる・やめる可能性があるといった傾向の回答は全体の87.6%になり、炎上が購買行動に直結するという結果になったとしている。
さらに、影響は人材集めにも影響する。もしあなたが就職活動中または転職を考えている場合、従業員の不適切なSNS投稿による炎上があった企業へ応募することに対して、どのように感じるかについても質問している。回答では「絶対に応募しない」とする者が20.2%、「応募をためらう可能性が高い」では57.1%にのぼる。「あまり気にしない」は19.9%、「全く気にしない」が2.8%であった。人材確保でも影響は77.3%に達するなどとしている。
一方で、SNS炎上事案が発生後、当該企業の対応による印象についての質問では「対応が真摯であったり、問題解決に向けて迅速かつ適切であったため、印象が良くなった経験がある」が42.9%におよび、「対応が後手、謝罪文やステイトメントが不適切だったため、さらに印象が悪くなった経験がある」は53.9%、「どちらともいえない。特に意識したことがない」は26.2%であった。炎上後の企業の対応により、印象が大きく変わることなどがわかった。