
20代に「“上司の熱意”が仕事のモチベーションに与える影響」に関するアンケート調査で、上司に仕事への熱意が感じられない場合、過半数が「自身の仕事の意欲が下がる」などの回答結果がでた。企業向け教育研修事業と採用支援事業を展開する株式会社ジェイック(東京都千代田区)が、調査結果を公表したもの。
調査は同社の就職支援サービスを利用して正社員就職した20~29歳を対象に、今年5月13日~8月8日の期間、インターネットにより実施し、118人の回答をまとめたもの。
質問では「職場の上司に仕事への熱意が感じられない場合、あなたの仕事の意欲は下がりますか?」との回答で「とても下がる」が16.1%、「やや下がる」は42.4%、「あまり下がらない」が33.9%、「まったく下がらない」が7.6%であった。「とても下がる」と「やや下がる」を合わせ、半数以上が「意欲が下がる」と回答した。若手社員のモチベーションを維持向上させる上で、身近な存在である上司の仕事に対する姿勢が影響していることが見受けられたとしている。
仕事への意欲が下がる傾向を示した回答者に、上司の行動として「上司のどのような行動が、あなたの仕事への意欲を下げますか?」との質問では、「指示が雑で、部下の育成に意欲がみられない」が73.9%、「チームや部下の意見に耳を傾けない」が56.5%、「仕事への責任感が感じられない」が55.1%、「会社や仕事に対する不満や否定的な言動が多い」が42.0%、「部下や同僚と必要最低限の会話しかしない」が37.7%、「新しい技術やツールを取り入れようとしない」が31.9%、「最低限の仕事しかせず、新しい業務や改善策に取り組まない」が30.4%であった。
「あなたが『仕事への熱意がない』と感じた上司について」と質問したところ、「会話のほとんどが生返事で返される」といったほかに、「仕事を部下に押しつける」「仕事中に定期的に私用の携帯を確認している」「バックヤードに上司だけの休憩場所を作り、休んでいる」「始業後、部下に指示を与える前にタバコ休憩に行ってしまい、30分程度仕事が進まないことがままある」「仕事中ずっと喫煙室でタバコを吸いながら携帯を触り、仕事をしているところをほとんど見たことがない」「上司からいまだにまともな業務研修を受けたことがない」といった意見を得た。
職場に仕事への熱意が感じられない上司がいることの影響について、「職場に仕事への熱意が感じられない上司がいることで、どのような影響があるか?」と質問では、「業務効率が低下する」が68.1%、「職場の雰囲気が悪くなる」は66.7%、「チームワークが悪化する」「自身の仕事へのモチベーションが下がる」がそれぞれ62.3%、「部下の会社への不信感が増す」が53.6%、「会社の評価制度への不信感が高まる」が49.3%、「部下が退職を検討しはじめる」が43.5%、「自身のキャリアアップに不安を感じる」が40.6%であった。上司個人の問題が、チーム全体の生産性やエンゲージメントの低下にまで波及することを、若手社員が懸念していることがわかったとしている。
同社では調査結果について、20代正社員は上司層に、単に指示命令を下すのではなく、仕事のやり方や目標達成の道筋を具体的に示し、自身の成長を導く伴走者としての役割を求めている。こうした上司の行動から伝わる熱意は、職場の魅力や定着率に直結するとしている。
一方で、人手不足もあり、上司がプレイングマネージャーとして多忙な日々を送る中で、若手社員に熱意が伝わりにくくなっていることも指摘する。従って企業に求められるのは、管理職層に若手社員の価値観や不安を理解し、信頼関係を築くための具体的なスキルとマインドを学ぶ場を提供することを挙げる。
「背中を見せて育てる」という旧来型の育成方法を脱し、具体的なフィードバックと対話を通じて部下の成長を支える力を養うことが、若手社員のモチベーションを引き出し、チームの力を底上げするとしている。企業が主体的に管理職教育へ投資し、上司の熱意が若手社員に伝わる環境を整えることが、若手社員の定着と組織の成長を促す確実な一手となるという。