川崎重工業は2025年3月期の第2四半期連結業績が、前年同期比で増収・増益、同期における売上収益としては過去最高であった。円高にともなう為替差損で税前利益・純利益の増益幅は縮小した。二輪車を含むパワースポーツ&エンジン事業は、二輪車は堅調に推移したが、事業全体での売上と収益では減益となった。
連結売上収益は前年同期比1148億円増の8841億円、事業損益は前年同期比806億円改善して477億円の利益、税引き前中間損益は前年同期比582億円改善して237億円の利益、親会社の所有者に帰属する中間損益は前年同期比370億円改善して136億円の利益を上げた。
エネルギーソリューション&マリン事業などで減少となったものの、航空宇宙システム事業、精密機械・ロボット事業などでの増加により全体で増加した。売上収益については、航空宇宙システム事業、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業などでの増収により全体では前年同期比で増収となった。
利益では事業損益はパワースポーツ&エンジン事業での減益はあったものの、航空宇宙システム事業、精密機械・ロボット事業での改善などにより前年同期比で改善した。親会社の所有者に帰属する中間損益は、事業損益の改善などにより前年同期比で改善した。
このうちパワースポーツ&エンジン事業では、売上収益では前年同期比138億円減収の2533億円、事業利益が減収や固定費の増加などで、前年同期に比べ82億円減益の149億円であった。米国と欧州では二輪車の需要は堅調に推移したものの、四輪車は軟調傾向であった。東南アジア市場は一部では回復が見られたが、低い水準が続いた。中国市場は景気悪化の影響から需要が減少した。他方、売上収益は二輪車の増加と円安による影響で収益を押し上げたものの、北米向けの四輪車でリコールや生産遅延などにより一時的に減少したことが売上に影響した。
二輪車の販売台数は、前年同期比で2万台の増加で11万8000台であった。先進市場の日本が前年同期比4000台減少の1万1000台、北米が同5000台増加の4万3000台、欧州は同2000台増加の3万3000台、その他は前年同期同の3000台。新興市場ではフィリピンが2万4000台増加し8万6000台、インドネシアは1000台増加の1万2000台、中南米では前年同期と同じ1万3000台であった。
2025年3月期の連結業績の見通しについては、売上収益は前回見通し予想よりも700億円減収の2兆1800億円、事業利益は前回見通しの値据え置きで1300億円となる見通し。
航空宇宙システム事業における民間エンジンの採算性改善やエネルギーソリューション&マリン事業における船舶海洋事業の持分法投資利益の増加、一方でボーイング向け分担製造品の販売計画見直しや、パワースポーツ&エンジン事業における北米向け四輪車の販売減により、実勢レートと前提為替レートの差の影響などを金融損益に反映し、税引き前利益は前回公表値から150億円減益の950億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前回公表値から50億円減益の730億円を見込むものの、連結配当性向を勘案し、年間配当金予想は140円を据え置く。税後ROICは6.5%、ROEは11.2%となる見通し。
連結受注高はパワースポーツ&エンジン事業における北米向け四輪車の販売減による影響があるが、エネルギーソリューション&マリン事業のLPG、アンモニア運搬船の受注増加等により前回の見通しよりも200億円増加の2兆4300億円となる見通し。為替レートは、1ドル140円、1ユーロ150円を前提としている。