ホンダの英国現地法人ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドは、11月5~10日に開催されたEICMA (ミラノショー)2024で、ヨーロッパ向けの2025年モデル発表、展示した。2030年までに世界市場で電動モデル30機種の投入目標を見据え、電動バイクのグローバル展開元年として、ワールドプレミアの2つのコンセプトモデル、世界初とするV型3気筒内燃機関(ICE)エンジンなどを公開した。
【コンセプトモデル】
◆EV Fun Concept
Honda初の電動スポーツモデルで、中型の内燃機関(ICE)モーターサイクルに匹敵する性能を持ち、2025年の市販化を予定している。数十年にわたり培ってきたハンドリング性能に加え、電動ならではの静かで振動の少ない乗り心地を、扱いやすいネイキッドバイクのパッケージと、流麗で近未来的なデザインで実現したという。バッテリーは、四輪車と同規格の急速充電器CCS2に対応し、急速充電も可能。車体重量とのバランスを最適化した結果、街中での使い勝手に必要十分な航続距離100km以上を想定して開発したという。
◆EV Urban Concept
Hondaが考える都市型電動モビリティを、機能を研ぎ澄ましたデザインやコネクテッド技術、自社開発のバッテリーパックを搭載することで具現化した電動モデル。機能を研ぎ澄ますことで生まれる本質的かつ精緻なスタイリングデザインや、直感的なHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)、ソフトとハードの融合が生み出す新しい体験によって、人や社会と協調・共鳴していく近未来のモビリティの姿を具現化したという。より多くのライダーへ移動の自由を開放するとともに、一人ひとりのモビリティライフの可能性を拡張することを目指すとしている。
◆V型3気筒エンジンコンセプト
大型二輪車向けに新たに開発中の高効率・高性能の内燃機関(ICE)コンセプトを展示した。スリム&コンパクトを追求した水冷75度Ⅴ型3気筒エンジンは、二輪車用としては世界初の電動過給機を採用し、エンジン回転数に関わらず任意に過給をコントロールすることで、低回転からハイ・レスポンスなトルクデザインを実現したという。加えてスペースが限られている二輪車において、過給機の冷却に使うインタークーラーを必要としない設計を行うことで、マスの集中化と軽量化にも貢献したとしている。
【2025年モデル】
◆CUV e:(日本導入予定)
2024年に導入された電動二輪パーソナルコミューターEM1 e:に続き、欧州で販売するHondaの電動二輪の第2弾となるモデル。CUVはClean Urban Vehicleの略で、CUV e:は110ccのICEスクーターに近い動力性能とハンドリングで、クリーンな走りを提供するという。交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」2個を動力源に使用し、航続距離は70kmを超えるという。5インチTFT液晶メーター(フル・コネクテッドのHonda RoadSync Duo®対応モデルは7インチTFT液晶メーター)、フルLEDライト、USB-Cソケット、3つのライディングモード、リバースアシストなどの豊富な機能を備えたとしている。
◆NC750X(日本導入予定)
よりシャープな新しいデザインに加え、デュアルフロントディスクブレーキによる安心感のある制動力、シート形状見直しによる快適性の追求、Honda RoadSyncに対応した新しいTFT液晶メーターを採用。デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)搭載車は、低速域からスムーズで快適な走りを提供するという。外装には今回、着色されたDURABIOを二輪車として初めて採用した(アースアイビーアッシュグリーン、アースブラックの2色)。塗装の工程が無くなることにより製造工程におけるCo2削減にも寄与するという。
◆CB750 HORNET(日本導入予定)
欧州におけるホーネットファミリーCB750 HORNETは、高輝度LEDヘッドライトユニットを採用した新しいフロントフェイスとフェアリングにより、最先端のストリートファイタースタイルを強調。アップデートした5インチTFT液晶メーターを採用し、サスペンションのセッティング変更により、さらにスポーティーな走りを追求したという。
◆XL750 TRANSALP(日本導入予定)
新しいLEDデュアルプロジェクターヘッドライトなど、印象的なフロントフェイスに一新。刷新されたカウルは空力とライダーの快適性を向上させ、新たなサスペンションセッティングにより、荒れた路面での安定感ある走りを提供するとしている。
◆CL500(日本導入予定)
欧州のA2ライセンスに準拠したHondaのアーバン・スクランブラー「CL500」が、人間工学に基づく快適性やスタイリングをアップデートして2025年モデルとして登場する。新型LCDメーターは、さまざまなシーンでの視認性を高めたほか、シートとステップの配置を見直すことでライダーの快適性をより高めたという。また、ブラウンとイエローの新色を追加した。日本市場ではCL250も導入予定。
◆GB350S
Hondaの伝統的デザインの、A2ライセンスモデル。普遍的なスタイリング、手頃な価格帯と、アシスト&スリッパー®クラッチ、LEDライト、Hondaセレクタブルトルクコントロールなどの最新技術の組み合わせにより、エントリーからベテランまで幅広いライダーが純粋に走りを楽しめるという。
◆CRF300L/CRF300 Rally(日本ではCRF250L、CRF250 Rallyとして導入予定)
デュアルパーパスマシンとして根強い人気を誇る「CRF300L」と「CRF300 Rally」は、サスペンションセッティングの見直しによるスムーズな乗り心地や、熱マネジメントの効率化によりライダーの快適性向上を追求するとともに、USBソケットやグラフィックの変更など細部にわたるアップグレードを実施したという。
◆SH350i
絶大な人気を誇るSHシリーズの最上級モデルとして、イタリアのアテッサ工場で生産されるSH350iは、LEDヘッドライトに、便利な内蔵ライトを備えた大型のグローブボックスなど装備を充実。またデザインを一新するとともに4色の新色を追加。
◆ADV350
アテッサ工場で生産されるADV350は、Honda RoadSync採用の5インチTFT液晶メーター、4方向トグルスイッチ、ラゲッジボックス内ライト、ウインカーオートキャンセラーを新たに採用。プリロード調整可能なリアサスペンションを新たに採用し、使い勝手を向上したとしている。
◆PCX125(日本ではPCXとして導入予定)
2023年に欧州でベストセラースクーターとなったPCX125は、アバンギャルドで流麗なデザインを採用。新たに追加されたデラックスバージョンでは、5インチTFT液晶メーターの採用とHonda RoadSyncに対応したという。
【その他】
◆Pro Hondaオイル
ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドが、Honda純正オイルの全シリーズを「Pro Honda」として統一することを発表した。Pro Hondaオイルは、優れた油膜保持性能を提供し、Hondaエンジンの性能を最適化するために開発したとしている。