前回では車両販売店の業務を総合的に支援が受けられるオークネット・モーターサイクル(オークネットMC)が運営する中古バイクオークションをはじめ、各種のサービスの全体を体系的に取り上げた。以降では同社が提供する各種サービスについて、販売店業務にそうした支援サービスが「なぜ有効なのか?」「メリットは?」などについて取り上げていく。今回は同社の主力事業である、業者間の中古バイクオークション「i-moto-auc」について触れていく。
昨今では中古バイクのオークション相場が高騰し過去最高値の相場で推移している。日本二輪車オークション協会加盟のうちの主要10会場での中古バイクの取引相場の平均単価は、昨年の2023年が年間平均で初めて20万円を超える20万3847円とつけた。今年もこの勢いは止まらず1~4月までの平均単価は20万6095円で、じりじりと上昇して推移している。
中古バイクの取り引き価格の高騰により、小売販売価格も当然高騰する。市場相場が上がったとしてもその価格が市場や小売の相場価格として定着し、高騰したとはいってもその価格帯が市場で当たり前になり需要、希望があればユーザーの購買につながる。価格の高騰初期段階では高騰前の価格と比較してしまうことで高値の印象が残るが、現在の様に高い状態が日常化すると、それは高いとはいえなくなる。
オークネットMCの落札平均単価は昨年が約32万1000円で、今年4月までは約32万5000円で、中古オークションでも単価が比較的に高い方だ。基本としては商品である車両を「安く仕入れて」「高く売る」ことだろう。
しかし、オークネットMCの場合は、車両が多少高いものの、車種により相場の上下がある。同社のオークションのでは、四輪オークションで車両評価検査を行い全国統一した基準となるAISが車両の検査を行い、10点評価のうちの4点以上の評価車両については、オークションで仕入れてそのまま整備などを加えることなく、店頭展示やユーザーに販売できる比較的に良質車となる。このため仕入れを行った店舗は整備の手間が大幅に削減できるメリットがある。
一方で、人気車種や人気の車種のボディカラーなどは比較的に取り引きが活発なため価格が上昇しやすいが、出品車の中には人気はそれほどでもないものの、人気度ランクを下げた走行距離が少ないなどの良質車両は比較的に値が上昇せずに仕入れられる。こうした車両を狙って仕入れ、ユーザーへの販売ではセールストークを活かし販売する店舗もあり利益を上げている。
また、同社のオークションでは比較的に値がつきにくく購入が容易な出品車両も少なくない。同社のオークションでは比較的に人気が高く車両評価も高い出品のイメージがあるだけに、こうした車両を目的に仕入れる方法もある。
逆に良質車を求める販売店は落札が容易な車両についての応札が低いため、オークション会場の平均単価が比較的に低い会場よりも、値が上がらない出品車両も少なくない。いわば穴場といえる。
ただ、こうした安価な車両の価値を高めるには、整備などの手間がかかるものの、良質車に仕上げることで販売価格を格段に上げることができ利幅も高められる。平均単価が高い会場だからこそ低額取引車両はかえって注目されないため、比較的に安く仕入れることも可能だ。
また、同社の中古バイクオークション「i-moto-auc」を利用する場合の入会のハードルも比較的に低い。通常の入会金は5万円となる。入会キャンペーン期間中の場合は、入会金が無料(月額無償プランの場合の入会金は2万円)になるケースもあり、出品・成約、落札の手数料も良心的な設定となっている。出品車両の品質、入会金・手数料などを考慮すると同社のオークションはバランスが取れており、それ以上に活用するメリット充分に大きいといえる。
次回は、入会から料金設定について取り上げていく。