ハーレーダビッドソンジャパンは10月20日、世界に戦略車として中型モデルの新型車「X350」「X500」を投入した。世界市場への戦略モデルとして若年層を狙い市場拡大を図る。製品の品質やハーレーダビッドソン(HD)の個性を醸し出すモデルであることはもとより、価格でも競争力ある設定として若いユーザーや新規需要の取り込みでHÐブランドの市場拡大を図りたい考え。一方で販売ではディーラーの取り組みも重要になる。
同社は10月29日までの期間限定で、若者の街である東京のJR原宿駅前に位置する施設で「HARLEY-DAVIDSON X Cafe」を開設した。10月20日にはX両モデルの発表を同カフェで行った。同社の野田一夫・社長は、今年「HÐにとって歴史的な年と位置付けている」と開口語った。米HÐは今年、創立120周年を迎えこれまで3度に及ぶ危機に直面しこれまで生きながらえてきた。
米HÐ社はヨッヘン・ツァイツCEO(最高経営責任者)を迎え入れ、2008年のリーマンショック以来の低迷に終止符を打つため、それまでの肥大化したモデル構成や停滞していた収益構造など抜本的な改革の必要性を掲げた「リワイヤー」を打ち出し、2021年は5か年計画の「ハードワイヤー」戦略を掲げた。野田社長は、戦略の6つの柱である収益性へのフォーカス、製品カテゴリーの再定義などを取り上げ、このうち特にHÐカテゴリーの再定義では「特にHÐが強い領域に特化し、新しい製品を投入していくことに注力している」ことを挙げた。
この一環で、今年は7機種の120周年記念限定モデルをはじめ、HÐの伝統でもあるカスタムのカテゴリーではブレイクアウトを春先に投入、初夏にHÐ究極のCVO(カスタム・ビークル・オペレーション)モデルを発表してきた。そして今年の締めとなるのが新カテゴリーのX350、X500が位置づけられる。
X両モデルでは、HÐブランドの市場拡大の戦略車として位置付けており「エントリーモデルとして、より多くのユーザーに買ってもらえるモデルだ。HÐは世界中で最も“あこがれる”ブランドになる目標もあり、この一環ですべてのユーザーに届けたい」と述べ、特にX両モデルの発売を機に若いユーザーの取り込みで市場拡大を図る考え。
訴求も若者の街である原宿の一等地で、建物の外観にはXシリーズを大々的にデザインしたXカフェを開設し若年層へアピール。店内ではX両モデルやX専用アパレルなどと、お茶や特製ドーナツを用意してひと時を過ごせる空間とした。