日本自動車輸入組合(JAIA)は2023年1月1日付けで、上野金太郎・氏(メルセデス・ベンツ日本社長 兼CEO)が、それまで理事長であったクリスチャン・ヴィードマン氏(ビー・エム・ダブリュー社長)の後任として理事長に就くと発表した。上野氏は3度目の理事長就任となる。
理事長就任にあたり上野氏は「市場を取り巻く環境は依然として不安定であるが、お客様の需要にお応えできるよう努力して参ります。現下のウクライナ情勢や半導体不足等により自動車の供給が遅れ、お客様にご迷惑をおかけしているなかでの就任となり、その責任に改めて身が引き締まる思い」としている。
また「世界各国でカーボンニュートラル実現の機運が高まっているなかで、JAIAは電動車の普及などを含む輸入車市場の活性化に一層取り組むとともに、日本の持続可能なモビリティ社会の発展に貢献すべく最大限の努力をして参ります」と姿勢を述べている。
退任するヴィードマン氏はビー・エム・ダブリューの日本法人の社長で、同社はモーターサイクル部門のモトラッドを展開していることで、JAIA活動における輸入モーターサイクルへの理解が比較的に高いといえる。一方で、新理事に就く上野氏は、モーターサイクル事業を持たない四輪メーカーの社長とあって、モーターサイクルへの姿勢や見識がヴィードマン氏に比べて浅薄になることはやむを得ないと、モーターサイクル関係者からはそう思われるかもしれない。
ところが、上野氏はそうした予想に反して異なる。前回理事長着任時の会見で上野氏は、JAIAでのモーターサイクルの取り組みについての記者の質問に対し、事務局サイドが答えようとしたところを遮るような形で、自らが記者の質問に答えた。おそらく会見前にモーターサイクルを取り巻く環境や現状についての情報を事前に取り入れていたものと思われ、四輪メーカーの社長とはいえモーターサイクルへの一定の姿勢や理解を示してくれたといえる。今回の上野氏の就任はヴィードマン氏のモーターサイクルでの活動などが引き継がれ、今後一層期待が寄せられるところでもある。